胃がんを見つける「胃カメラ」を楽に受ける方法を医師が解説! つらい検査とはおさらば!
従来と比較して、つらさを軽減できる胃カメラをご存じですか? 流れや費用、胃カメラを受ける際の注意点についても「青葉台かなざわ内科・内視鏡クリニック」の金沢先生に解説していただきました。
監修医師:
金沢 憲由(青葉台かなざわ内科・内視鏡クリニック)
編集部
極力、不快感を軽減して胃カメラの検査を受けるには、どうしたらいいでしょうか。
金沢先生
できるだけつらい思いをしたくない人には、鎮静剤を使った胃カメラ検査がおすすめです。人間ドックなどを予約するときに鎮静剤の有無を問われることもあるので、その際に「鎮静剤有り」で申込みましょう。
編集部
検査の流れや準備について教えてください。
金沢先生
食事は前日の21時までに済ませてください。検査当日の朝食は摂らず、検査1時間前以降は水以外禁止となります。検査室では胃の中の泡や余分な粘液を除去する液体を飲み、ゼリー状またはスプレーの麻酔薬で喉の麻酔をしてから、点滴で鎮静剤を投与しながら検査をおこないます。眠ったことを確認してからカメラを入れて、食道、胃、十二指腸を観察します。なお、検査時間は4分程度です。
編集部
費用はどれくらいかかりますか?
金沢先生
保険適用なので、胃カメラのみであれば1割負担で2000円前後、3割負担で6000円前後です。もし、ピロリ菌検査や組織検査もおこなう場合には、その分の費用が上乗せされます。
編集部
鎮静剤を使用すると、費用は上がるのですか?
金沢先生
保険適用で検査を受ける場合、鎮静剤の有無で金額はほとんど変わりません。
編集部
検査を受ける際の注意点はありますか?
金沢先生
胃カメラの検査のつらさの度合いは、医師の技量も大きく影響しています。検査を受ける際には内視鏡の専門医が担当するかどうかなど確認するといいでしょう。あるいは、総合病院など大きな医療機関よりも院長自身が検査や診察をおこなうクリニックの方がいいという意見もあります。クリニックのホームページなどで院長の経歴や実績などを確認できるため、安心感につながるからでしょう。もし、どこで検査を受けようか迷っている場合には、こうした情報も参考にしてください。
編集部
鎮静剤の使用にリスクはありませんか?
金沢先生
鎮静剤の使用後は、薬の効果が切れるまで院内で安静にしていただく必要があります。また、稀に呼吸が一時的に弱くなったり、血圧が低下したりするといったリスクはあります。ただ、呼吸状態や血圧を測定しながら安全に検査がおこなわれますし、患者さんの体格などをみながら、使用する薬剤の種類や分量を調整するので、安心してくださいね。
編集部
鎮静剤を使用できない人はいますか?
金沢先生
例えば、普段からお酒をたくさん飲む人や睡眠薬、抗不安薬などを常用している人は、薬理作用の影響で鎮静剤に耐性ができていることもあります。鎮静剤が効きにくくなりますが、鎮静剤が使えないというわけではありません。検査前に医師にご相談ください。
編集部
あらためて、胃カメラを受ける重要性について教えてください。
金沢先生
胃カメラで発見できるがんに、胃がんや食道がんがあります。これらは早期のうちに発見すれば、内視鏡で治療できる可能性が非常に高いのです。そのため、定期的に胃カメラの検査を受けると、食道がんや胃がんで命を落とすリスクを極力、軽減することができるでしょう。また、胃の検査にはバリウムもありますが、胃カメラの方が早期のうちにがんを発見しやすいということが研究によって判明しています。「胃カメラがつらいから検査を受けたくない」という人が1人でも少なくなるよう、私自身も普段から苦しくない胃カメラ検査の普及に努めています。もし、胃カメラの検査で不安やお困りのことがあったら、率直に担当医に相談してみてください。一人ひとりに適した、苦しくない胃カメラ検査の方法を提案してくれると思います。
※この記事はMedical DOCにて【「辛い胃カメラが楽になるコツ」を専門医が解説 内視鏡検査は鼻と口や鎮静剤の有無でも変わる?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。