「心筋梗塞」で併発する肩や歯などの痛み(関連痛)はどのように治療するの?
心筋梗塞の患者が心臓以外の箇所から痛みを感じる「関連痛」はどのように治療するのでしょうか? 調べる方法などと併せて宮田医院の宮田先生に詳しく教えてもらいました。
※この記事はMedical DOCにて【心筋梗塞と併発する上半身の「関連痛(放散痛)」とは? 症状・治療・対策を解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修医師:
宮田 和幸(宮田医院)
編集部
今回の「心筋梗塞」とは、心臓の血管に詰まりが起きることですよね?
宮田先生
そうです。心臓には3本の冠状動脈という血管があります。心筋梗塞は心臓に酸素や栄養素を送っている血管の詰まりです。そして、詰まりがひどくなると血液の通っていない箇所に「壊死(えし)」を起こし、死亡に至ることもあります。なお、自覚として心臓の痛みはもちろん、心臓から離れた上半身に痛みを覚えることもあります。
編集部
とはいえ、体の痛みで「心臓内科へ直行」という気も起きません。
宮田先生
そうですよね。ですから「どういうタイミングで痛みが出るのか」に注目しましょう。そして、心臓に負担がかかっている状態、例えば「階段を上るときに限って肩が痛む」のであれば、狭心症の関連痛かもしれません。高血圧などの心筋梗塞リスクを元々もっていらっしゃる方は、より注意してみてください。また、冷や汗も1つのサインです。心筋梗塞を自発的に疑ってかからないと、この問題ははじまりません。原因がわからなければご自身で判断せず、ぜひ内科医へご相談ください。
編集部
一方で、医師はどのように関連痛を鑑別しているのでしょうか?
宮田先生
まずは、痛みの出ている部位の器質的な異常や病気から診ていきます。例えば、歯ならむし歯、肩なら関節の異常などを調べるわけです。これと並行して、高血圧や糖尿病、喫煙習慣といった冠動脈疾患のリスクもチェックします。そのうえで、患部に異常がなくて、狭心症や心筋梗塞の背景が濃厚なら、関連痛を疑います。加えて、必要により造影剤とCTを使って心臓の血管の詰まりを確認することもあります。あるいは、運動時の鼓動の様子を心電図で計測します。
編集部
続けて、治療方法についても教えてください。
宮田先生
カテーテルを心臓の血管まで通して、詰まりを取り除きます。このとき、再発防止のためにステントという人工的なパイプを埋め込むこともあります。手術後は、このパイプに血栓ができないよう「血液がサラサラになる薬」を服用していただきます。3本ある心臓の血管次第では、バイパス術が必要となるケースもあります。担当の先生と十分に話し合って、治療法を決定していただければと思います。
編集部
「市販の湿布を痛い場所に貼る」のは、根本的な間違いですよね?
宮田先生
その症状が「心筋梗塞の関連痛」であれば、当然ですが効果はありません。ですので、湿布がなかなか効かなくて、歯科や整形外科でも「原因不明」でしたら内科医、あるいは循環器内科医へご相談ください。関連痛も含めて、しっかりと診察をさせていただきます。