歯や肩・腰の痛みの原因が「心筋梗塞」の可能性があるって本当? 「関連痛」を医師が解説
心筋梗塞の患者が「脳の勘違い」で心臓以外の箇所から痛みを感じることがあるそうです。口や歯も含めた上半身、しかも左側が多いのだそうです。この「関連痛」(別名、放散痛)について、宮田医院の宮田先生に詳しく教えてもらいました。
※この記事はMedical DOCにて【心筋梗塞と併発する上半身の「関連痛(放散痛)」とは? 症状・治療・対策を解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修医師:
宮田 和幸(宮田医院)
編集部
今回の「心筋梗塞」とは、心臓の血管に詰まりが起きることですよね?
宮田先生
そうです。心臓には3本の冠状動脈という血管があります。心筋梗塞は心臓に酸素や栄養素を送っている血管の詰まりです。そして、詰まりがひどくなると血液の通っていない箇所に「壊死(えし)」を起こし、死亡に至ることもあります。なお、自覚として心臓の痛みはもちろん、心臓から離れた上半身に痛みを覚えることもあります。
編集部
心臓以外にも痛みを生じるのですね。
宮田先生
はい。どちらかと言えば、心筋梗塞に特有の関連痛が知られています。簡単に言うと「脳の勘違い」で心臓から発せられたサインなのに、脳がほかの箇所から出されたサインと受けとってしまうのです。全身の神経は脊髄に集められているのですが、このときに心臓から出たサインが別の神経に「乗り換えてしまう」イメージでしょうか。
編集部
そして、脳に届いた段階で、「別の箇所の痛み」として感じるわけですか?
宮田先生
そういう理解でいいと思います。関連痛の出やすい場所は口や歯も含めた上半身で、しかも左側が多いですが、みぞおちにくることもあります。いくらかは「心臓の名残」があるのでしょう。なお、痛みを感じる箇所は毎回、固定されています。
編集部
例えば、「歯が痛い」と普通は歯科医院に行きます。
宮田先生
そして、「なんともありませんね、少し歯周病が出ているくらいですか」ということになりかねませんよね。歯科医院に限らず、肩や腰の痛みで整形外科に行くことも考えられるでしょう。しかし、背後には心筋梗塞が隠れているかもしれないというわけです。