「セックス依存症」の治療法はご存じですか? 医師が教える“性欲との向き合い方”とは
「セックス依存症」はどのように治すのかご存じですか? 完治することがあるのかも気になるところです。今回は、セックス依存症の治療法や性欲との向き合い方について、医師の榎本先生に解説していただきました。
※この記事はMedical DOCにて【セックス依存症(性依存症)になりやすい人とは? 知っておきたい実態】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修医師:
榎本 稔(医療法人社団明善会)
編集部
セックス依存症は、どのような治療で改善を目指すのでしょうか?
斉藤さん
性依存症の治療について、簡単に紹介したいと思います。これまで性依存症に対する認知行動療法は、主に性犯罪の問題を対象にしたものが多く、セックス依存症に対するものではありません。したがって、治療プログラムは嗜癖モデルに立脚した集団精神療法(教育プログラム・ミーティング)、薬物療法、自助グループといったプログラムを組み合わせながら、同じ問題をもった仲間とともに「今日一日」性的なクリーンな日々を積み重ねながら、依存症の問題で失ったつながりを再構築していくプロセスが依存症からの回復といえます。
編集部
完治することはありますか?
斉藤さん
性依存症からの回復は、今後全くセックスをしないことではなく、プログラムの中で対等な人間関係の作り方や、否定的な感情を問題行動によって解決しようとしない、性行動に関する態度・価値観・ライフスタイルの修正を目的とするなど多岐にわたります。性の問題はカミングアウトをすることが困難で、当事者や家族、医療関係者を含む社会の側にも大きな偏見を持ちやすいものです。今後、我々医療関係者に求められる視点は自らの性についてオープンに語ることができる言語を獲得することと、自らの意識改革ではないかと考えています。
編集部
セックス依存症とどのように向き合えばいいのでしょうか?
斉藤さん
セックス依存症というと「性欲のコントロールができない人」のようなイメージをもってしまいがちですが、実際には過去のトラウマや、ストレス、不安、焦燥感など現在の環境、他の依存症なども関連する複雑な病気であるようです。この病気の問題点は、自分ではどうにかしなければと思っていても他人に相談しづらく、かつ自覚もしにくいという部分にあるのかもしれません。「もしかして自分も」と思ったら、依存症を扱っている医療機関や自助グループに相談してみましょう。