「子どもの夜尿症(おねしょ)」は薬で治療することをご存知ですか? 【医師が解説】
「夜尿症(おねしょ)」というと、成長するに連れて自然と治っていくイメージがありますが、「薬で治療することができる」ことをご存知でしょうか。しかし、薬で治療して根本的な解決になるのか疑問が残ります。そこで今回は、Sunnyキッズクリニック」の若林先生に夜尿症(おねしょ)を治療する意味について、詳しく伺いました。
監修医師:
若林 大樹(Sunnyキッズクリニック)
編集部
ところで、薬でおねしょを止めても、本質的な解決になっていない気がします。
若林先生
「お薬の服用をやめたら、元に戻ってしまうかもしれない」ということですよね。その議論は多々なされています。しかし、夜尿症を止める目的も、一緒に考えていただきたいのです。単にぬれた寝具のお掃除という手間なのか、それとも、お子さんの「心の成長」を大切に思うのか、どちらが大切だと思いますか?
編集部
「心の成長」を重視するなら、薬に頼るのもひとつの方法だと?
若林先生
お薬は治療の導入として、とても重要な効果があります。お薬と一緒に「夜尿症ノート」をつけていただくと、見た目でも効果がわかりますよね。そのときの自己肯定感が、最終的な卒業につながっていく印象です。生活指導も含めた治療介入をすると、自然経過に比べて治癒率や治療期間が短くなるとされています。
編集部
その一方、おねしょが怖い病気のせいだったということはないのでしょうか?
若林先生
ありえる話です。ですから、医師としては、定義や問診だけで夜尿症と診断せず、考えられる各種検査を必ず挟みます。夜尿症のお薬が効くか効かないかも、怖い病気を推し量る重要な材料になるでしょう。
編集部
そう考えると、やはり日本泌尿器科学会の定義が参考になりそうです。
若林先生
夜尿症の定義は、「一般的に考えると、なにかしらの病的な状態を抱えているかもしれませんね」という判断材料として用いるのが適切でしょう。このとき、「お子さんを叱って解決しよう」とは考えないことです。ご家庭でなんとかしようとせず、小児科へご相談ください。治療の必要性は、その後に考えましょう。