白内障手術後に度数が変えられる「ライトアジャスタブルレンズ」をご存じですか?
白内障手術に用いられるレンズには、術後に度数を決められるライトアジャスタブルレンズというものもあるそうです。そんな眼内レンズ(IOL)について、眼科医の市川一夫先生(中京眼科・視覚研究所所長)に解説してもらいました。
監修医師:
市川 一夫(中京眼科)
編集部
手術後に度数を変えることはできるのですか?
市川先生
従来の眼内レンズはすでに決まった形状をしており、目の中に入れた後に、変えることはできませんでした。白内障の手術の際は手術前に多種の検査やレンズの度数を計算し、手術後の見え方を予測して眼内レンズの種類や度数などを決めなければいけなかったのです。また、度数は0.5刻みなので、どれにもピッタリとは当てはまらないという方も多くいらっしゃいました。しかし、最新の眼内レンズには、目の中に入れたあとに変形できるものも出てきています。
編集部
もう少し詳しく教えてください。
市川先生
保険適用ではありませんが、ライトアジャスタブルレンズ(Light Adjustable Lens™)というレンズは、特殊な感光性材料でできており、紫外線の光を当てることでレンズの形が変わり、度数が変化するのです。そのため、手術後に実際の日常生活で見え方を体験したうえで、 最適な視力を決定することができます。手術後はしばらくの間、紫外線を避けるためのサングラスが必要となるのがやや不便かもしれませんが、時間が経っても見え方の質が落ちないという大きなメリットがあります。
編集部
再手術の必要はないのですか?
市川先生
ありません。度数の変更のための照射は1回約90秒。回数に個人差はありますが、2回程度行います。
編集部
最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。
市川先生
どのレンズにするかというよりも、度数をどこに定めるかが重要です。ご自身の生活習慣や、どうなりたいかを踏まえたうえで決めていきましょう。多焦点レンズは便利ですが、合わない人もいます。信頼できる医師とよく相談してから手術しましょう。また、「ライトアジャスタブルレンズ」以外のレンズの場合は、どうしても合わなかった際に、入れ替えのできる医療施設を選ぶことも大切です。