【花粉症治療の“舌下免疫療法”】リスクや副作用、効果の持続期間を医師に聞く
花粉症の治療方法として用いられる舌下免疫療法は、リスクや副作用を理解した上で受けることが重要です。治療や効果が持続する期間の目安を医師の深谷先生に聞きました。
監修医師:
深谷 和正(深谷耳鼻咽喉科クリニック)
編集部
舌下免疫療法での治療中の注意点についてもお願いします。
深谷先生
繰り返しになりますが、経過観察と処方のための定期受診を続けてください。そして、タブレットは毎日、欠かさず服用していただきます。そのうえで、「舌下免疫療法の効き目は、すぐに現れない」ことをご理解ください。1年くらいは頑張って継続していただきたいですね。
編集部
ということは、花粉症のシーズンになってからはじめても間に合わないということですか?
深谷先生
そういうことになります。加えて、花粉症の時期にタブレットを服用すると、「本物の花粉に疑似的な花粉を重ねる結果」になって怖いですよね。ですから、“春先のスギ”だとしたら、6月くらいのオフシーズンが、舌下免疫療法の一般的な開始時期となります。そこから、来年のハイシーズンの発症を抑えていく流れです。一方“秋に顕著なダニ”だとしたら、冬からのスタートです。スギとダニの舌下免疫療法を同時におこなうことも可能で、その場合は、各タブレットの服用時間を1日の中でずらします。
編集部
舌下免疫療法は「副作用が激しい」とする説も見かけるのですが?
深谷先生
何をもって「激しい」とするかですよね。「免疫が正しく敵を認識する」まで、一定のトレーニング期間を要します。したがってこの間、一時的に「イガイガ感」のような諸症状が出ることもありますが、すぐに引いていくでしょう。舌下免疫療法の本番はここからで、一般に3~5年間かけて免疫をトレーニングしていきます。
編集部
免疫が適切に働きだせば、舌下免疫療法から「卒業」ということですか?
深谷先生
卒業される方もいますが、必ずしもそうとも言えないのです。学校で習ったことって、次第に忘れてしまいますよね。免疫も同様で、人によっては学習効果が次第に弱まっていきます。治療の効果がある程度持続するのは、平均して3~4年程度とお考えください。効き目が弱くなってきたと感じたら、再び、舌下免疫療法を検討しましょう。なお、日本アレルギー学会によると、舌下免疫療法の有効率は「ダニアレルギーで80~90%、スギ花粉アレルギーで約70%」となっています。