【医師監修】下肢静脈瘤の治療方法をタイプ別に解説 手術は必要?
下肢の静脈が逆流することで起こる「下肢静脈瘤」は症状のタイプによって治療方法が変わるようです。具体的な治療法を医師の橋本先生にお聞きしました。
監修医師:
橋本 千尋(さいたま静脈瘤クリニック)
編集部
続けて治療方法も教えてください。まずは「コブになるタイプ」からお願いします。
橋本先生
その前に、「コブになるタイプ」を「身体症状が伴うタイプ」に言い換えましょう。まだコブが目立たない段階からむくみなどを自覚しているパターンや、コブが目立たない人も含まれるからです。足の血流の状態は、エコー検査で容易に調べることができます。血流の逆流があり、その結果として血管径が拡大していたら、コブの有無にかかわらず、下肢静脈瘤と診断されます。ただし、どの血管で起きているかによって、その後の治療方法は変わってきます。
編集部
足の静脈の種類を問うわけですね?
橋本先生
はい。「身体症状が伴うタイプ」の治療では、逆流が生じている静脈をふさぎます。このとき、例えるなら「国道クラス」、つまり足の深部を流れる太い静脈は「ふさいではならない」ことになっています。国道を通行止めにしたら、とんでもないことが起こりますよね。よって、「深部静脈」が逆流を起こしている場合は外科的処置をせず、「医療用弾性ストッキング」の着用などで対処していきます。なお、「医療用弾性ストッキング」は処方ではなく販売という位置づけなので実費負担となり、価格は5000円程度になります。ただし、膝下タイプやパンストタイプなど長さにより、費用は多少異なります。
編集部
他方の「脇道クラス」であれば、封鎖しても構わないわけですか?
橋本先生
はい。血液にほかの逃げ道がありますから、通行止めにできます。保険適用のある治療方法としては、カテーテルを血管内に通して熱で固める方法や「医療用接着剤」で封鎖してしまう方法などがあります。保険適用ですから、同じ手術内容・同じ箇所数なら、クリニックによる価格差はあまりありません。
編集部
封鎖する場合、日帰り手術が可能なのですよね?
橋本先生
可能です。ただし、「身体症状が伴うタイプ」だとしても、命に直接関わる病気ではないですから、「ただちに手術」ということでもないでしょう。検査と診断だけはしておいて、「医療用弾性ストッキング」で様子見でも構いません。職場などの環境が変われば、それだけで症状が落ち着くかもしれませんので、ケース・バイ・ケースです。