【座り過ぎ注意】慢性前立腺炎になってしまうかも? 急性前立腺炎との違いとは?
コロナ以降のリモート勤務などによる「座り仕事」が増えていることに伴い、慢性前立腺炎も増加傾向にあるそうです。字面から前立腺に炎症が起きると考えがちですが、血流障害による悪影響が本質なのだと神楽坂泌尿器科クリニックの室宮先生は言います。詳しく教えてもらいました。
監修医師:
室宮 泰人(神楽坂泌尿器科クリニック)
編集部
慢性前立腺炎は、男性にしか起きない病気なんでしょうか?
室宮先生
はい。前立腺は、男性の尿道を囲むように位置する男性にしかない器官です。そして昨今、慢性前立腺炎の患者さんが増加傾向にあります。理由としては、リモート勤務などによる自宅作業での「座り仕事」が増えているのが考えられます。座っている体勢はお尻の周辺に長時間圧がかかり、前立腺に血流障害を起こしてしまう可能性があります。
編集部
この血流障害が前立腺の「炎症」を引き起こすわけですか?
室宮先生
いいえ、慢性前立腺炎は炎症を生じさせません。字面的に誤解の起きやすいところですが、血流障害による悪影響がこの病気の本質です。具体的な症状としては、お尻や陰のうの周りの痛み、排尿時の違和感、残尿感など様々で、「血流不足による弊害」を総じて慢性前立腺炎と呼んでいます。ただし、血流不足そのものが起きていても症状に現れなければ病気とはみなしませんし、受診しようとも思わないですよね。
編集部
「慢性」と言うからには、症状が長期化しているのでしょうか?
室宮先生
その点もわかりにくい部分で、「血流障害」の長期化を問います。つまり、背景にうっ血状態などがあって、“急に”患部の痛みや違和感を覚えたとしても、慢性前立腺炎とみなすということです。ですから、「慢性骨盤痛症候群」という別の名前が用いられることもあります。痛みが主訴という印象で、各種検査の異常には現れにくく、「ただ、痛みや違和感だけがある」といったイメージですね。
編集部
参考までに知りたいのですが、急性の前立腺炎もあるのですか?
室宮先生
あります。急性前立腺炎は文字どおり炎症で、菌による感染が認められた場合に診断されます。急性前立腺炎の自覚は、炎症なので発熱を伴うほか、主に排尿時の痛みです。ただし、慢性・急性の症状に問わず「陰部の違和感」を覚えたら、受診するようお願いします。