【医師解説】男性罹患率“第一位”の前立腺がんとは? 原因・初期症状について
「前立腺がん」は男性が罹患するがん疾患第一位ですが、具体的にどような症状かご存知ですか? 前立腺がんは自覚症状がほとんどないそうで、食生活や生活習慣が発症の原因となるようです。詳細を医師の高田先生にお聞きしました。
監修医師:
高田 将吾(たかだウロクリニック)
編集部
前立腺は、男性の尿道のまわりにある組織と聞いたことがあります。
高田先生
はい、尿道を取り囲むように位置しているのが前立腺です。なお、自覚症状に関して言うと「前立腺肥大症」なら尿道を圧迫するように“内側に”進行してきますので、残尿感などが出やすいです。ところが、前立腺がんの場合は主に“外側に”がんができやすく、一般的に大きくなるスピードは早くありません。ですから、前立腺がんでは、かなり進行してから痛みや血尿などを自覚するようになります。
編集部
前立腺がんの初期の自覚は、ほとんどないということですか?
高田先生
そうなりますね。にもかかわらず、前立腺がんの罹患(りかん)率は男性のがんの中で第一位です。つまり、「50歳を過ぎたら、自覚の有無に関わらず疑ってみるべき」ということになるのでしょう。また、前立腺肥大症を併発することも少なくないので、残尿感が出たら念のため調べてみてください。実際に、私もこのパターンで前立腺がんを発見しています。
編集部
前立腺がんが男性のがんの中で第一位とは驚きです。
高田先生
第一位になったのは近年の出来事です。じつは、大豆に含まれるイソフラボンに、前立腺がんの予防効果があるとされています。かつての日本食には大豆が多く含まれていましたので、日本人の前立腺がんの罹患者数をある程度、抑え込めていました。しかし、食事内容の欧米化により、罹患者数が押しあげられたのだと思います。
編集部
前立腺がんの原因はなんでしょうか?
高田先生
遺伝、上記のような食生活、加齢などが考えられるものの、前立腺がんの大きな特徴は「男性ホルモンとの関係」ですね。これは、ほかのがんには見られない傾向です。また、統計から「親が前立腺がんだと子どもの前立腺がんリスクを“3~5倍”に引き上げる」ことがわかっています。