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橋本病に有効な予防法はある? 治療法についても知りたい【医師解説】

 公開日:2024/01/24

むさしの糖尿病・甲状腺内科の田口学先生曰く、今のところ橋本病の予防法に有効なものはないそうです。治療法は、甲状腺機能低下症を生じている場合には、ホルモン療法が必要になることもあるようですが、甲状腺ホルモンの数値が正常な場合は経過観察だけで過ごせると言います。詳しく教えてもらいました。

田口 学

監修医師
田口 学(むさしの糖尿病・甲状腺内科)

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岩手医科大学医学部卒業。その後、国家公務員共済組合連合会虎の門病院、東京大学医学部附属病院、国立病院機構災害医療センターで内科、糖尿病・甲状腺を中心とする内分泌疾患の治療に携わる。2019年、東京都武蔵野市に「むさしの糖尿病・甲状腺内科」を開院。これまでの経験を活かし、地域で専門的な医療を提供するクリニックづくりを心がける。医学博士。日本内分泌学会評議員、日本糖尿病学会専門医・指導医、日本内分泌学会内分泌代謝科専門医・指導医、日本甲状腺学会専門医。

編集部編集部

まず、橋本病について教えてください。

田口先生田口先生

一言で言えば、橋本病は自己免疫疾患の一種です。自己免疫疾患とは、外部から体内に侵入してきた細菌やウイルスを攻撃するはずの免疫細胞が、誤って自分の細胞を攻撃してしまう疾患のことを指します。橋本病は、この免疫細胞の攻撃によって「甲状腺」という喉の下のあたりに存在する組織が攻撃されてしまうのです。

編集部編集部

橋本病を予防する方法はあるのでしょうか?

田口先生田口先生

残念ながら、今のところ有効とされる予防法はありません。しかし、甲状腺ホルモンの数値に異常が生じている場合には、ヨードと呼ばれるミネラルの摂り過ぎが原因の場合がありますから、ヨード摂取を控えることでホルモン値が改善することがあります。また、ヨードは海藻類以外に、一部のうがい薬などにも含まれています。

編集部編集部

では橋本病になってしまった場合、どのような治療がおこなわれるのでしょうか?

田口先生田口先生

甲状腺ホルモンの数値が正常な場合には、定期的な検査で経過観察をして様子をみます。一方で甲状腺機能低下症を生じている場合には、ホルモン剤の内服や先述したヨードの摂取制限などをしてもらうこともあります。また、甲状腺ホルモンの異常が軽度の場合でも、妊娠を希望する場合や不妊治療をおこなっている場合、妊娠中の場合には、ホルモン剤の内服をすることがあります。

編集部編集部

ホルモンの数値がそれほど悪くなくても、妊娠を希望する場合や妊娠中の場合などにホルモン療法をおこなうのはどうしてですか?

田口先生田口先生

軽度であっても、流産や早産などのリスクを高めてしまうことがあるためです。しかし、これから妊娠することが分かっている場合や妊娠中の場合には、ホルモン療法でリスクを回避できることが分かっています。

編集部編集部

日常生活での注意点はありますか?

田口先生田口先生

ホルモンの数値が正常であれば、それほど神経質になる必要はありません。規則正しい生活習慣を心がけたり、疲れを溜めたりしすぎしなければ問題ないです。しかし、随時ホルモンの数値や症状に異変がないかを調べることは重要です。自分で自覚するのも困難なため、定期的な受診は怠らないようにしてほしいですね。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

田口先生田口先生

橋本病は女性の10人に1人に発症する、決して珍しくない疾患です。多くの場合、経過観察だけで過ごすことができますが、甲状腺機能低下症を生じてしまうと、ホルモン療法を続けなければなりません。また、喉の違和感や便秘、むくみなどの煩わしい症状が慢性的に生じてしまうこともあります。その一方で、予防することが困難な疾患であるため、早期発見がカギになってきます。健康診断で判明することもあるため、定期的に受けるようにしてください。

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