【睡眠時無呼吸症候群の死亡リスク②】なぜ睡眠時無呼吸症候群は命を脅かすのか?
睡眠中に何度も呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」。実は睡眠時無呼吸症候群は死亡する可能性のある疾患であることをご存知でしたか? 睡眠時無呼吸症候群の死亡リスクについて「みらいメディカルクリニック茗荷谷」の松本先生に学ぶ特集の第2回。
今回は「命の危険がある理由」について解説していただきました。
監修医師:
松本 昌和(みらいメディカルクリニックグループ)
編集部
なぜ、睡眠時無呼吸症候群が脳卒中や心筋梗塞などを引き起こすのですか?
松本先生
それは、睡眠時無呼吸症候群になると動脈硬化が促進されるからです。睡眠時無呼吸症候群になると、低酸素の状態がしばらく続き、その後、呼吸が再開されると正常な酸素状態に戻ります。この状態を何度も繰り返すと、体内で酸化ストレスが惹起(じゃっき)され、それによって血管が傷つけられてしまいます。血管が傷つけられると、プラークというコレステロールや脂肪の塊が沈着してしまい、動脈が詰まる原因となってしまいます。
編集部
動脈硬化が促進されるため、心筋梗塞などが起きるのですね。
松本先生
そうです。脳の血管で動脈硬化が起きれば脳卒中に、心臓で動脈硬化が起きれば狭心症や心筋梗塞になってしまいます。
編集部
ほかに、睡眠時無呼吸症候群が命のリスクを引き起こすことはありますか?
松本先生
不整脈のひとつである心房細動も、睡眠時無呼吸症候群が原因で起こるときがあります。心房細動は、それだけでは直接命に関わる病気ではありませんが、症状が悪化すると脳梗塞や心不全につながることがあります。
編集部
どれも危険な病気ばかりですね。
松本先生
睡眠時無呼吸症候群のことを、単純に睡眠に関する問題と捉える人が少なくありません。しかし、実際に、睡眠時無呼吸症候群の運転手による列車やバスの事故が起きており、社会問題になったこともあります。もっと深刻に考え、早期発見に努めることが大切です。