【糖尿病の基礎知識①】「糖尿病」とはどんな病気?
日本をはじめ、世界中で患者数が増加している“糖尿病”。漠然と「糖尿病は怖い」というイメージを持っているかもしれませんが、具体的にどのような病気かご存知でしょうか? 糖尿病の基礎知識について「日暮里内科・糖尿病内科クリニック」の竹村先生に学ぶ特集の第1回。
今回は「糖尿病がどのような病気か」について解説していただきました。
監修医師:
竹村 俊輔(日暮里内科・糖尿病内科クリニック)
編集部
そもそも糖尿病とはなんですか?
竹村先生
簡単にいえば、インスリンが十分に働かないことが原因で、慢性的に高血糖の状態が続く病気を「糖尿病」といいます。インスリンとは、膵臓で作られるホルモンのことです。インスリンには、血液に含まれるブドウ糖を細胞に取り込ませ、血糖値を一定に保つ働きがあります。
編集部
もう少し、インスリンの働きについて詳しく教えてください。
竹村先生
食事によって体内に糖分が取り込まれると、消化酵素の働きによってブドウ糖に分解されます。そして、ブドウ糖が小腸から血液中に取り込まれると、血糖値(血液に含まれるブドウ糖濃度)が上昇します。そのとき膵臓からインスリンが分泌され、細胞の表面にある受容体と結合します。そうすると、血液中のブドウ糖は細胞の内部に取り込まれ、エネルギー源として活用される仕組みになっています。
編集部
つまりインスリンがないと、細胞はブドウ糖を取り込むことができないのですね。
竹村先生
そのとおりです。言ってみれば、インスリンは鍵、細胞にあるインスリン受容体は鍵穴のようなもの。つまり、鍵穴にインスリンが結合することで、初めてドアが開き、ブドウ糖が血液中に取り込まれるのです。そのため、インスリンがなければブドウ糖は細胞の内部に入ることができません。
編集部
インスリンが十分に働かなくなると、結果的に血液中にブドウ糖がたくさん余ってしまうということですか?
竹村先生
そうです。血糖値を下げる働きがあるホルモンは、基本的にインスリンだけです。インスリンが正しく働かなければ、血糖値はずっと高いままになってしまい、さまざまな健康障害を引き起こします。