【医師に聞く】大腸カメラと胃カメラの同日受検 クオリティが下がることはない?
大腸カメラを受けるには、事前の食事制限と下剤での処置が必須。胃カメラだけの受検でも、事前の食事制限が求められます。それなら同時に済ませる方が効率は良さそう。しかし、検査の質は下がることなどはないのでしょうか? 浦和消化器内視鏡クリニックの勝山先生に話を聞きました。
監修医師:
勝山 泰志(浦和消化器内視鏡クリニック)
編集部
大腸カメラと胃カメラを同日に検査することで、ポリープ切除などに時間が取れない、クオリティが下がるということは?
勝山先生
それぞれ検査自体の手間が圧縮できるわけではありません。検査・処置のクオリティは、胃と大腸の別々で受ける内視鏡検査と相違ありません。内視鏡でできる範囲なら、ポリープ切除や組織の採取なども、責任をもって対応します。
編集部
胃と大腸は調べられても、小腸は別になるのですか?
勝山先生
胃や大腸に比べて、小腸のポリープやがんは頻度が少ないのです。胃と大腸の内視鏡検査などを行った後、小腸の病変が疑わしい場合は、小腸内視鏡やカプセル内視鏡での検査が必要になる場合もあります。
編集部
同時検査とはいえ、内視鏡を胃からそのまま大腸へは通さないですよね?
勝山先生
そんなに長い内視鏡はないので物理的に無理ですね。一般的には、胃の内視鏡検査をして、その後に大腸の内視鏡検査をします。検査時間そのものは合計で30分ほどです。ただし、大腸の内視鏡検査をする際には、腸管内をきれいにする必要があるので、下剤を飲む前処置時間を含めると5~6時間かかります。実質「1日がかり」の検査です。
編集部
あらかじめ「胃が怪しい」のに、同時検査を“受けさせられて”しまうことは?
勝山先生
大腸の内視鏡検査は下剤の前処置が欠かせず、時間のかかる検査です。その手間を必要もないのに含めるということは、考えづらいですね。逆に大腸の検査が主体で、万が一を考えて胃も診ておくということは、ありえる話だと思います。胃の内視鏡検査は、比較的短時間で診られるからです。いずれにしても、患者さんの同意を得てからの話です。