「心不全」になりやすい生活習慣はご存じですか? 予防法・対策も医師が解説!
「心不全」になりやすい生活習慣があることをご存知でしょうか? 今回は心不全にならないよう、避けたい生活習慣や予防法を「松井クリニック」の松井先生に解説していただきました。
監修医師:
松井 さおり(松井クリニック)
編集部
心不全になりやすい生活習慣はありますか?
松井先生
肥満の人、タバコを吸っている人、過度の飲酒をする人、塩分の摂り過ぎなども心不全になりやすいとされています。そのなかでも、とくに気をつけたいのは肥満の人です。太っていると心臓に対する負荷が大きくなり、ポンプ機能にダメージを与えやすくなってしまいます。
編集部
喫煙は、なぜ心不全と関わりがあるのですか?
松井先生
タバコには血液を固まりやすくする作用があるため、喫煙すると血栓ができやすくなってしまいます。血栓が冠動脈の内側でできると心筋梗塞が起きやすくなり、その結果、心不全に至ってしまいます。また、タバコを吸うと交感神経が優位になり、心拍数や血圧が上がります。これによって心臓に負担が与えられることも、心不全の原因になります。
編集部
飲酒と心不全には、どのような関係があるのですか?
松井先生
飲酒をすると心拍数が増えて、それにより心臓の負担が大きくなります。少量の飲酒であれば問題ありませんが、過度の飲酒を継続している場合は心不全を発症しやすくなります。
編集部
様々なことが心不全の要因になるのですね。
松井先生
はい。そのほかにも、ストレスを抱えやすい人も心不全のリスクが高くなります。なぜなら、ストレスがかかると心拍数が増え、心臓に負担がかかるからです。また、加齢も心不全のリスクを高める要因の1つです。
編集部
そう考えると、誰にでも心不全のリスクがあるということになりますね。
松井先生
そうですね。心不全の患者数は毎年1万人ずつ増加していると言われ、近年では「心不全パンデミック」とも呼ばれています。食生活に気をつけたり、運動習慣を身につけたりすることで、ある程度は心不全を予防することができますから、これを機に日常生活を振り返ってみることをおすすめします。
編集部
あらためて、心不全とどのように向き合えばいいのか教えてください。
松井先生
動悸や息切れがあっても「心不全かどうかわからない」と、受診をされない人は実際に多くいらっしゃいます。しかし、少しでも心不全を疑う兆候があれば、必ず受診するようにしましょう。受診を受けるかどうかわかりやすい目安は、「1週間で2kg体重の増加」を受診の目安にしてください。まずはかかりつけの内科などで診察を受け、もし専門的な検査が必要であれば、循環器科などを紹介してもらうといいでしょう。
編集部まとめ
肥満、喫煙、飲酒、塩分の過剰摂取などが心不全を引き起こす要因であることが分かりました。心不全は悪化すると死亡にもつながるので、生活習慣を見直して予防に努めましょう。