性行為が「膀胱炎」の原因になり得るのはご存じですか? 治療法・予防法も医師が解説!
性行為などが原因で発症する「膀胱炎」ですが、対処法を知っていれば発症や再発をある程度は防げるそうです。今回は、膀胱炎の治療法や予防法を「つくばウロケアクリニック」の黄先生に解説していただきました。
監修医師:
黄 鼎文(つくばウロケアクリニック)
編集部
膀胱炎の治療法について教えてください。
黄先生
主な治療法は抗生物質の内服です。しかし、抗生物質が効き、尿検査の結果でも改善しているにも関わらず、症状だけが続く場合は、漢方薬を使用することもあります。内服に加え、治療中は十分な水分摂取を心掛け、排尿とともに細菌を体外へ排出するようにすることも重要です。治療が遅れると菌が腎臓まで移行し、腎盂腎炎になって高熱が出る恐れもあるため、注意が必要です。
編集部
膀胱炎は何日ぐらいで治りますか?
黄先生
通常、抗生物質の内服から1~2日程度で症状は軽減し、3~5日程度で治癒するでしょう。しかし、抗生物質を内服しても治らない場合には、菌の種類が異なることが考えられるため、追加検査を行ったり、専門医を受診したりする必要があります。
編集部
自然に治ることもありますか?
黄先生
急性膀胱炎の場合は、自然治癒することもあります。症状が出始めた早期にはそれほど細菌が増えていないため、免疫力が正常である状態で適切に対応すれば、薬を飲まなくても自然治癒することがあるのです。薬を内服してもしなくても、膀胱炎の治療では水分を十分に摂ることが重要です。実際に、軽度の膀胱炎であれば、しっかりと水分を摂るだけで治るケースもあります。
編集部
膀胱炎を繰り返さないための予防法はありますか?
黄先生
水分を多めに摂ることです。また、尿を我慢していると膀胱内に細菌が繁殖しやすくなるので、なるべく我慢しないようにしましょう。女性は肛門や膣、尿道口の距離が近いため、排尿や排便後は拭き方に注意し、前から後ろ(尿道口から肛門の方)に拭くことも意識してください。また、温水洗浄便座(ビデ)は膣内の細菌を尿道に押し込むことがあるので、膀胱炎を繰り返しやすい人は使用を控えた方が良いでしょう。
編集部
ほかにも予防法があれば聞いておきたいです。
黄先生
このほか、おなかを温めると膀胱への血流量が増え、細菌と戦う白血球や酸素、栄養が膀胱に届き、炎症を起こした膀胱粘膜の修復を速やかに行うことができます。寝不足や体の疲れは免疫力の低下を招くため、規則正しい生活習慣を心がけ、体を休めることも重要です。さらに、性行為の後は排尿するようにすることも有効でしょう。
編集部
性行為が膀胱炎の原因になるとはどういうことですか?
黄先生
しばしば膀胱炎の原因となりますね。性行為によって、一部の細菌が膀胱内に侵入してしまうことが考えられます。また、性交渉により尿道にダメージを受けると、そこで細菌が繁殖する可能性もあるのです。そのため、性交直後にトイレで排尿をし、膀胱内を空にすることで、細菌の繁殖を防ぎ、膀胱炎を予防することができます。また、性交中の膣の乾燥は尿道のダメージを引き起こす恐れがあるため、性交中に膣の乾燥が気になる場合には、潤滑剤を使用することも有効です。
編集部
あらためて、どのように膀胱炎と向き合えばいいのか教えてください。
黄先生
膀胱炎は、普段の免疫力を高めることで、ある程度再発を予防することが可能です。免疫力を高めるためには、日頃の規則正しい生活習慣が重要です。十分な水分摂取とともに、バランスの良い食生活や十分な睡眠を心がけましょう。
編集部まとめ
膀胱炎を予防するためには、性行為後の排尿や規則正しい生活習慣を心がけるほか、尿意を感じたらトイレを我慢しないようにすることも重要です。治療の有無に関わらず、十分な水分摂取もおこないましょう。