「フレイル・サルコペニア」は何のリスクが高い?筋肉と脳を健やかに保つ方法を医師が解説!

フレイルとサルコペニアの違いはご存知でしょうか?メディカルドック監修医が気を付けたい病気や対処法について解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「フレイルとサルコペニア」の違いは何かご存じですか?それぞれの特徴を医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
岩佐 沙弥(医師)
山口大学医学部卒業。初期研修医終了後、整形外科医として勤務。現在はリハビリテーション医学を専門とし、幅広い疾患による障害の治療を行っている。地域の医療に携わってきた経験が長く、現在も地域のクリニックに勤務。一人一人の生活に合った運動や食事の提案を行えるよう心がけている。
【資格】
医学博士、整形外科専門医、リハビリテーション科専門医・指導医、日本医師会認定産業医、障害者スポーツ医
目次 -INDEX-
フレイルとは?加齢による虚弱・総合的な機能低下
フレイル(Frailty)とは、加齢に伴い、心身の活力が低下し、外部からのストレス(病気、怪我など)に対する脆弱性が高まった状態を指します。身体的な衰えだけでなく、精神的・社会的な側面も含む、多面的な概念です。フレイルは、早期に発見して適切な介入を行い対策すれば、健康な状態に戻ることが可能とされています。
フレイルの症状
フレイルは、さまざまな側面から現れることがあります。たとえば、身体的な衰弱として、筋肉量の減少(サルコペニア)、意図しない4.5kg以上の体重減少、握力の低下、歩行速度の低下、疲れやすいといった症状が見られます。これらは、フレイルを診断するための重要な指標となります。また、活動意欲の低下や、抑うつ状態、無気力な状態になるなどの精神的な落ち込みもフレイルの一部と考えられています。
さらに、外出が減り、友人や家族との交流が少なくなることもフレイルの兆候です。社会的なつながりの希薄化により、心身の機能低下がさらに加速する悪循環に陥ることがあります。記憶力や判断力の低下、新しいことを学ぶ意欲の減退といった認知機能の低下もフレイルと関連しています。
フレイルの原因
フレイルの原因は一つではなく、複数の要因が複雑に絡み合って生じます。年齢を重ねることで身体機能が自然に低下する加齢がまず挙げられます。特に、ホルモンバランスの変化や、炎症性サイトカインの増加が関与していると考えられています。また、身体を動かす機会が減る運動不足は、筋肉量や筋力の低下を招きます。食事量が減ったり、偏った食事を続けたりする低栄養も原因の一つです。このような加齢に伴う変化に加えて、心不全などの慢性的な病気を持っていることによって、筋肉量や筋力が減少するサルコペニアになります。サルコペニアのような身体機能の低下に加えて、友人や家族との交流が少なくなり社会的な孤立や、精神的・認知的な機能低下が加わり、フレイルが起こってしまいます。
サルコペニアとは?筋肉量減少・筋力低下による身体能力の低下
サルコペニア(Sarcopenia)は、加齢に伴う筋肉量と筋力の低下、それに伴う身体能力の低下を特徴とする症候群です。フレイルの構成要素の一つであり、特に身体的な虚弱に深く関わっています。サルコペニアは、身体の活動を制限し、転倒や骨折のリスクを高めることから、フレイルの進行を加速させる重要な要因と考えられています。
サルコペニアの特徴
サルコペニアの主な特徴は、身体機能の低下です。歩く速度が遅くなる、階段を上るのがつらくなる、立ち上がりにくいなどの症状が見られ、特に移動能力の低下が顕著です。筋力低下によりバランスを崩しやすくなるため、転倒リスクの増加も大きな問題です。身体機能の低下により、外出や趣味の活動が困難になり、生活の質の低下にもつながります。
サルコペニアの原因
サルコペニアの原因もまた、複数の要因が絡み合っています。筋肉細胞は加齢とともに数が減少し、再生能力も低下するため、加齢が最も大きな原因となります。また、身体を動かさないと筋肉はどんどん衰えていく運動不足、そして筋肉の維持・生成に必要なタンパク質やエネルギーが不足する低栄養も、サルコペニアを加速させます。最後に、糖尿病や腎臓病、がんなどの疾患もサルコペニアを引き起こす原因となることがあります。
「フレイルとサルコペニア」で気をつけたい病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「フレイルとサルコペニア」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
ロコモティブシンドローム
運動器(骨、関節、筋肉、神経など)の衰えが原因で、歩行や立ち上がりなどの移動機能が低下した状態がロコモティブシンドロームです。サルコペニアもロコモティブシンドロームの一部と考えられています。加齢や運動不足が主な原因となりますが、運動療法が中心となり、筋肉トレーニングやバランス訓練、ストレッチなどを継続的に行うことが重要です。歩く速度が遅くなった、片足立ちが5秒以上できない、階段を上るのがつらいなど、移動に不安を感じ始めたら、整形外科やリハビリテーション科に相談しましょう。かかりつけ医に相談するのも良いでしょう。
認知症
様々な原因で脳の神経細胞が破壊され、記憶力や判断力などが低下し、日常生活に支障をきたす状態が認知症です。フレイルやサルコペニアは、認知症のリスク因子であると考えられています。認知機能の低下を遅らせる薬物療法や、脳を活性化させるリハビリテーションなどが行われます。物忘れがひどくなった、同じ話を繰り返す、日付や時間がわからなくなるなど、認知機能の低下を疑う症状が見られたら、早めにかかりつけ医、もしくは精神科、神経内科、脳神経外科などに相談しましょう。
「フレイルとサルコペニア」の正しい対処法・改善法は?
フレイルは身体的・精神的・社会的な要素が複雑に絡んでいます。ご自身の生活の質を上げるという意識で、少しずつ運動や食事を見直し、交流を行っていくと良いでしょう。
身体的な衰えを感じる場合は、運動習慣を身につけることが第一です。ただし、無理な運動は怪我の原因となるため、自分の体力に合わせて無理のない範囲で行いましょう。精神的な落ち込みには、趣味やボランティアなど、楽しめることを見つけて積極的に取り組むことが大切です。また、社会的な孤立を感じる場合は、友人や家族とのコミュニケーションを意識的に増やすようにしましょう。
規則正しい睡眠を心がけ、質の良い睡眠を確保しましょう。また、好きな音楽を聴く、湯船にゆっくり浸かるなど、自分に合った方法でストレス緩和やリラックスする時間を作り、心の健康を保ちましょう。
積極的に摂ると良い栄養素として、筋肉の材料となるタンパク質を毎食摂りましょう。肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などがおすすめです。また、骨の健康に不可欠なビタミンD・カルシウムは、きのこ類や魚、乳製品、小松菜などに多く含まれます。活動のエネルギー源となる炭水化物も不足しないように適量を摂りましょう。そして、脱水は身体機能の低下を招くため、水分をこまめに補給することが大切です。
ご病気を持たれている方は、かかりつけ医と相談し、持病のコントロールを行うこともフレイルの予防に繋がりますので、通院は定期的に行いましょう。
「フレイルとサルコペニア」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「フレイルとサルコペニア」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
フレイルやサルコペニアが進行すると寝たきりや認知症になる可能性がありますか?
岩佐 沙弥 医師
はい、その可能性はあります。フレイルは、健康と要介護状態の中間地点に位置する状態です。適切な対策を講じなければ、身体機能がさらに低下し、寝たきりや認知症へと進行するリスクが高まります。早期発見と早期介入が重要です。
サルコペニアになりやすい人の特徴を教えてください
岩佐 沙弥 医師
高齢者、慢性疾患(糖尿病、腎臓病など)を抱えている方、食が細い方、運動習慣がない方などがサルコペニアになりやすい傾向にあります。
フレイルやサルコペニアは何歳頃から意識的な予防が必要ですか?
岩佐 沙弥 医師
筋肉量の減少は40歳頃から始まると言われています。しかし、特に50歳を過ぎたら、意識的に予防に取り組むことが大切です。
まとめ
フレイルとサルコペニアは、決して避けられない老化現象ではありません。日々の生活習慣を見直し、適度な運動、バランスの取れた食事、社会とのつながりを意識することで、その進行を遅らせ、健康な状態を維持することが可能です。
もし、ご自身やご家族がフレイルやサルコペニアの兆候に気づいたら、決して一人で悩まず、かかりつけ医や専門医に相談してください。早期の対策が、将来の健康な生活を守る鍵となります。
「フレイルとサルコペニア」で考えられる病気
「フレイルとサルコペニア」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
内分泌・代謝系の病気
精神系の病気
その他の病気
- がん
フレイルは、加齢に伴う身体的な衰えだけでなく、精神的・社会的な側面も含む、多面的な概念です。そのため上記のようなさまざまな病気が関連します。
「フレイルやサルコペニア」と関連する症状・関連する症状
「フレイルやサルコペニア」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する病気
- つまずきやすくなった
- 椅子から立ち上がりづらい
- 痩せて手足が細くなった
- 重い荷物が持てない
フレイルは、身体症状や精神症状などさまざまな側面から現れることがあります。何らかの兆候に気づいた場合は、まずはかかりつけ医に相談しましょう。