「尿検査の前日」にしてはいけないことはご存知ですか?【医師解説】

尿検査の前日に注意すべきことやしてはいけないことを医師が徹底解説
※この記事はMedical DOCにて『「尿検査の前日」にしてはいけないことはご存知ですか?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
目次 -INDEX-
尿検査前日に注意すべきこと・してはいけないこと
尿検査は、尿の一部をコップで採取し、提出する検査です。体に侵襲なく行えることができ簡単な検査であるにも関わらず、腎臓病や糖尿病などの病気を発見する事ができます。そのため、健康診断や学校健診などで多く採用されています。皆さんも、今まで何度か尿検査を行ったことがあるのではないでしょうか?この記事では、尿検査を行う時に注意しなければならないこと、してはいけないことなどを解説いたします。
飲み物は2時間前まで
尿検査の直前の飲み物には注意が必要です。特に甘いジュースを摂取することで急激に血糖値が上昇し、尿検査で尿糖が出ることがあります。また、ビタミンCを含む飲み物はビタミンCの影響により、尿検査で潜血が偽陰性となり正確に判断できなくなることがあります。このように、ジュースなどのカロリーのある飲み物を2時間前からは飲まないようにしましょう。
しかし、真夏で汗をかき、喉が渇いた時に無理に飲み物を控えると脱水となり、尿検査に影響が出ることもあります。2時間前から直前までは水を少しずつのむのが良いでしょう。
飲酒・アルコールは前日は控える
前日に飲酒することで血糖値が上がり、翌日の尿検査で尿糖が出ることもあります。また、利尿作用があるため、尿が多く出て脱水をきたすこともあります。そのため、アルコールを飲むことで尿検査の結果が正確に出ない可能性があります。前日の飲酒は控えるべきです。
食事は12時間前まで
食事に関しても、食後で血糖値が上がると尿糖が陽性となるためできれば食事は12時間前までに済ませましょう。前日夜に、食事を摂りすぎたり、ラーメンなどの高カロリーの食事、ケーキなどの糖質を摂りすぎると翌日まで血糖値が高い状態が持続して尿糖に影響が出る可能性があります。前日夜は、飲酒をせず、高カロリーの食事を控え、その後はカロリーのない水分のみで過ごしましょう。
飴・ガムも12時間前まで
飴やガムも同様に血糖値をあげます。そのため、たとえ飴やガムでも、尿検査の前には食べないようにしましょう。食事と同様に、12時間前までにしましょう。
お酒・コーヒーは控える
アルコールは血糖値をあげ、尿糖が出やすくなったり、脱水傾向となったりするため控えるべきです。また、コーヒーも糖分が入っているものはアルコール同様に尿糖に影響が出ますし、ブラックコーヒーでもカフェインの影響で利尿作用があり脱水傾向となる可能性があります。コーヒーも控えましょう。カフェインが含まれるお茶(緑茶、紅茶など)は同様の理由で避けた方が良いでしょう。水分は、水もしくはカフェインを含まないお茶を少しずつ取り脱水にならないようにするのがお勧めです。
みかんなどのフルーツやジュースなどビタミンCの摂取に注意する
みかんなどのフルーツやジュースに含まれるビタミンCもサプリメントのビタミンC同様に尿潜血を偽陰性とする可能性があります。尿検査の前2日程度はとらない方が良いでしょう。
サプリメントやビタミン剤の摂取は2日前まで
サプリメントやビタミン剤は中には尿検査に影響があるものもあり、2日程度前までで中止がお勧めです。特にビタミンCのサプリは尿潜血を偽陰性としてしまうため、正確な評価ができなくなります。
前日は睡眠をしっかりとる
睡眠不足や疲れが強い時、体調が悪い時には尿検査で蛋白が陽性となりやすいです。尿検査を受ける際には、十分に睡眠をとり、体調を整えて検査をするようにしてください。
前日の過度な運動は控える
前日に過度な運動を行うと、尿蛋白が出やすくなります。このため、正確な判断ができなくなります。尿検査の前日、当日は過度の運動は控えましょう。
生理時の尿検査は避ける
生理の際には、経血が混ざり潜血が陽性となります。そのため、尿検査での評価ができなくなります。生理の際は尿検査を避けましょう。どうしても検査をするときには、検査する医療機関で確認をしましょう。
「尿検査の前日」についてよくある質問
ここまで尿検査の前日について紹介しました。ここでは「尿検査の前日」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
前日の尿や2日前の尿を提出しても良いでしょうか?
伊藤 陽子(医師)
前日や2日前の古い尿では正確な検査ができません。必ず当日の尿で検査をしましょう。
服薬している場合はどうしたら良いでしょうか?
伊藤 陽子(医師)
基本的には通常通り内服をして問題ありません。一部の薬に関しては尿検査に影響するものもありますので、必ず検査をする医療機関に申告しましょう。可能であれば、ビタミンCは尿潜血が偽陰性となってしまうため前日から内服しないようにしましょう。そのほかの薬に関して、心配であれば医療機関に確認をしましょう。
編集部まとめ 尿検査で異常があったら、腎臓内科・泌尿器科を受診しよう!
尿検査は、簡単に体に負担なくできる検査であるため学校健診や健康診断などで行われることが多いです。尿検査は軽度異常があっても、体調の変化がないことが多く放置する方も多くみられます。しかし、腎臓病や糖尿病、悪性疾患などの初期の症状の可能性もあり異常がみられた場合には、必ず内科もしくは泌尿器科の受診が勧められます。腎臓は症状が出にくい臓器ですが、一度悪化すると改善しづらい臓器でもあります。このため、早期に発見して、治療をすることが非常に重要です。尿検査の異常を放置せず、必ず内科もしくは泌尿器科を受診しましょう。
「尿検査」の異常で考えられる病気
「尿検査」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
内分泌科の病気
消化器科の病気
- 肝臓病
- 胆道系疾患(胆石、胆のう炎など)
尿検査だけでも、さまざまな疾患の異常を調べることができます。尿検査で異常がある場合には、そのまま放置せず、必ず内科もしくは泌尿器科を受診しましょう。