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「ヘモグロビンA1cが高い」ときの正しい対処法はご存知ですか?医師が解説!

 公開日:2024/07/24

ヘモグロビンA1cを下げる食べ物は何がある?Medical DOC監修医が血液検査の見方や基準値・主な原因と病気のリスク・対処法などを解説します。

※この記事はMedical DOCにて『「ヘモグロビンA1cを下げる食べ物」はご存知ですか?病気についても医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

中川 龍太郎

監修医師
中川 龍太郎(医療法人資生会 医員)

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奈良県立医科大学卒業。臨床研修を経て、医療法人やわらぎ会、医療法人資生会南川医院に勤務。生活習慣病や肥満治療、予防医学、ヘルスメンテナンスに注力すると同時に、訪問診療にも従事している。日本プライマリ・ケア連合学会、日本在宅医療連合学会、日本旅行医学会の各会員。オンライン診療研修受講。

健康診断・血液検査の「ヘモグロビンA1cが高い」ときに異常で気をつけたい病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「ヘモグロビンA1cが高い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

糖尿病

糖尿病とは、体内でのインスリンの作用不足により、血糖レベルが適切に調節されなくなる病気です。インスリンは、食事によって血液中に入ったブドウ糖が体の細胞でエネルギーとして利用されるために必要なホルモンです。糖尿病には主に2つのタイプがあります。
1型糖尿病:体の免疫システムが誤ってインスリンを作る細胞を攻撃し破壊してしまう自己免疫疾患です。外部からインスリンを補う治療が必要となります。
2型糖尿病:より一般的で、体が十分なインスリンを生産しないか、またはインスリンをうまく使用できない状態です。生活習慣の改善、内服薬による薬物療法、場合によってはインスリンの注射が必要になることもあります。
糖尿病の症状には、喉の渇き、頻繁な尿意、体重減少、疲労感などがあります。長期的な合併症としては、心臓病、腎臓病、視力障害、神経障害などが挙げられます。
糖尿病の管理においては、血糖値の測定と定期的なHbA1c(ヘモグロビンA1c)の計測が重要です。血糖値は計測したその時のものが、HbA1cは2~3ヶ月程度の長期間の状況が反映されます。血糖値は1日の中でもかなり変動するものなので、長期的な治療と管理にはHbA1cが利用されることが多いです。
ご自身でできる対処法は、これまでご紹介した食事療法や定期的な運動が重要です。
加えて医師の診察のもと血糖値を下げる薬を適切に使用することが治療の基本となります。
健康診断などで指摘された方は、早めに医師の診断を受けましょう。受診すべき診療科は一般内科や糖尿病内科です。

異常ヘモグロビン症

異常ヘモグロビン症とは、ヘモグロビンの構造に異常がある状態のことを指します。ヘモグロビンは赤血球内に存在し、酸素を体の各部に運ぶ役割を果たしています。このヘモグロビンが遺伝的な変異により正常に機能しない場合、さまざまな健康問題が生じる可能性があります。日本では約3,000人に1人の頻度でみられる病気で、常染色体優性遺伝(両親のうちどちらか一方がこの素因を持っていると、必ず次世代に出現する遺伝形態)です。ただし70%は無症候性(症状がでない)で、30%が症候性と報告されています。ヘモグロビンの構造異常による溶血性貧血(赤血球が壊れてしまうことで起こる貧血)や、酸素親和性(酸素との結びつきやすさ)亢進による多血症、酸素親和性低下によるチアノーゼ等の症状が見られます。
異常ヘモグロビン症の場合、HbA1cの測定値に影響を与えることがあります。なぜなら、異常ヘモグロビンは正常なヘモグロビンとは異なる方法でブドウ糖と結合するため、HbA1cの測定が不正確になる可能性があるからです。そのため、異常ヘモグロビン症が疑われる場合や確認されている場合には、HbA1cの値を血糖管理の唯一の指標とすることは適切ではありません。他の血糖測定方法や追加のテストを併用して、患者の血糖コントロールの状況を評価する必要があります。
異常ヘモグロビン症に関しての専門科は血液内科です。地域のクリニックで見かけることは少ない診療科ですので、一般内科で血液検査から異常を指摘されて、大きい病院の血液内科に紹介されるというケースが多いです。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)は、甲状腺が過剰にホルモンを分泌し、体の代謝を異常に活発にする状態を指します。この状態は、体内のさまざまな系統に影響を及ぼし、心拍数の増加、体重の減少、手の震え、不安、発汗の増加などの症状を引き起こす可能性があります。
糖尿病に関連している部分では、甲状腺ホルモンが食欲亢進を引き起こすため、消化管からのブドウ糖吸収が増加します。加えて、肝臓での糖新生(肝臓から糖を産生する機能)も更新するため、食後は著しい高血糖になることもあります。
治療は甲状腺機能亢進症を考慮に入れつつ、糖尿病の治療と並行して行う必要があります。
高度な管理が必要となることが多いので、内分泌内科や糖尿病内科を受診することをお勧めします。

腎不全

腎不全は、腎臓が血液から老廃物を効率的に濾過・排出できなくなる状態を指します。重度の腎不全では、体内に有毒物質が蓄積し、電解質バランスが崩れ、多飲多尿、倦怠感、息切れ、浮腫などの症状を引き起こすことがあります。末期では電解質異常による致死性不整脈や尿毒症に至ります。
また腎機能の低下は、HbA1cの値にも影響を及ぼす可能性があります。腎不全によって造血能が低下し、赤血球の寿命が短くなるため、HbA1cの値が実際の血糖コントロール状態を低く見積もってしまうことがあります。そのため、腎不全を有する糖尿病患者では、HbA1cの値だけに頼ることなく、他の血糖管理指標や追加のテストを行うことが重要です。
また、腎不全患者では、インスリンや糖尿病の薬剤の排泄が遅れるため、低血糖のリスクが高まることがあります。これにより、薬剤の投与量やタイミングの調整が必要となる場合があります。
腎不全の治療には、透析や腎移植が含まれることもありますが、糖尿病患者では血糖管理が特に重要です。腎不全と糖尿病の両方がある場合は、特に腎臓専門医の定期的な診察が必要となります。

「ヘモグロビンA1cが高い」ときの正しい対処法・改善法は?

ヘモグロビンA1cを下げるためには、食事療法が最も重要です。
糖尿病診療ガイドラインによれば、食事療法の基本としては、摂取する総エネルギー量の管理が重要である、とされており、炭水化物の摂取量や栄養素の比率(PFCバランスなど)については糖尿病発症リスクと因果関係は確認されていません。
炭水化物や甘いものさえ辞めれば良い、というわけではなくトータルでどれだけ摂取しているか、が最も重要になります。総摂取カロリーを管理した上で、でこれまでご紹介した食材を選択するように心がければ、より糖尿病のリスクを減らすことができます。
また運動療法も効果が認められています。
具体的には、有酸素運動であれば中強度(ちょっときついかな程度)で週に150分以上、週に3回以上、運動をしない日が2日以上続かないように行います。レジスタンス運動(いわゆる筋トレ)では連続しない日程で週に2~3回行うことが勧められています。お持ちの病気の兼ね合いで制限などがある場合は別ですが、特に制限がなければ両方を行うことが理想的です。

「ヘモグロビンA1cを下げる食品」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「ヘモグロビンA1cを下げる食品」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

ヘモグロビンA1cを下げる食品のランキングを教えてください。

中川 龍太郎医師中川 龍太郎(医師)

特にランキングはありませんが、先述の玄米、卵、豆類、ナッツ、チアシード、亜麻仁、低脂肪ヨーグルト、しらたき麺、シナモン、エキストラバージンオリーブオイル、ニンニク、ターメリック、リンゴ酢などが効果的とされています。
日本食で導入しやすいかどうかを加味すると、玄米や豆類、低脂肪ヨーグルトやナッツはランキング上位の食品と言えるかもしれません。

ヘモグロビンA1cを下げるための食べ物以外の対処法はありますか?

中川 龍太郎医師中川 龍太郎(医師)

運動療法が効果的です。

HbA1cが高いと食事に気をつけても糖尿病になる危険性がありますか?

中川 龍太郎医師中川 龍太郎(医師)

数値にもよりますが、HbA1cが高いのであればすでに糖尿病になっている可能性も大いにあります。

コンビニで買える食材でHbA1c・血糖値を下げる効果があるのは何ですか?

中川 龍太郎医師中川 龍太郎(医師)

下げる効果のある食材はありません。

まとめ 「ヘモグロビンA1cを下げる食品は」低GIの玄米や豆類!

今回は糖尿病に関連した食品のテーマで解説しました。
ヘモグロビンA1cをあげにくい食材を意識的に選択し、さらに総摂取エネルギー量も計算することで糖尿病リスクを下げていきましょう。

「ヘモグロビンA1cが高い」ときに考えられる病気

「ヘモグロビンA1cが高い」から医師が考えられる病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

血液内科の病気

  • 異常ヘモグロビン症

腎臓の病気

HbA1cの数値に関わる疾患は上記が挙げられます。糖尿尿以外にこれらを合併している際は、病気のコントロールに専門性が必要になりますので、糖尿病内科などの専門科を受診することをお勧めします。

この記事の監修医師