根管治療の成功の鍵は?根管治療の進歩と最先端技術の活用ポイント【医師解説】

大切な歯を残す「最後の砦」ともいえる根管治療。近年は、マイクロスコープや歯科用CTなどの導入により、治療の精度が大きく向上し、これまで諦めていた歯でも保存できる可能性が高まっています。そこで、進化する根管治療:成功率を高める最先端技術とそのメリットについて、亀戸とよむら総合歯科の村野先生に解説してもらいました。

監修歯科医師:
村野 浩気(亀戸とよむら総合歯科)
編集部
根管治療を成功に導くうえで必要なこと、患者さんができることは何ですか?
村野先生
根管治療は歯の内部の、外に通じていない部分に対する治療なので、むし歯や歯周病に比べるとドクターの技術に依存する部分が大きい治療と言われています。したがって、初回の治療でできるだけ成功率の高い条件下で治療を受けることが非常に重要です。具体例を挙げると、ラバーダムによる無菌的治療にくわえ、近年はマイクロスコープや歯科用CTなどの最先端技術を活用した治療も成功率を高める大きな要素となっています。
編集部
根管治療で活用されている最先端技術について、もう少し詳しく教えてください。
村野先生
「マイクロスコープ」「歯科用CT」「ニッケルチタンファイル」は、私たちにとっての”三種の神器”といえる機材です。これら3つの機材は精密な治療を行い、予後を良くするためには不可欠で、これがなければ予知性の高い治療は不可能と考えらえています。これにくわえ、近年は「MTA」と呼ばれるバイオセラミックスも注目されています。MTAは神経を残す治療にもよく使われる材料で、体の親和性が非常に高く、以前であったら抜歯になるケースでも、適切な治療によって歯を残せるようになっています。
編集部
マイクロスコープや歯科用CTなどの機材は、根管治療にどのような変化や進歩をもたらすのでしょうか?
村野先生
マイクロスコープの導入により、感染している部分だけを正確に確認しながら治療を行えるようになりました。また、歯科用CTを活用すると、治療前に根管の形状や感染部位を立体的に把握することができます。これにより、削る量を最小限に抑えながら、感染した部分だけを的確に削りとることが可能になるほか、治療期間の短縮にもつながります。
編集部
そのほかに、患者さんにとってのメリットはありますか?
村野先生
患者さんにとってもう1つのメリットは、治療の見通しを正確に立て、無駄な治療を減らせる点です。根管治療のなかには、どんなに的確な治療を行っても完治が難しいケースも少なくありません。このようなケースに対し、何度も何度も治療を繰り返すことは、患者さんにとって時間的にも肉体的にも大きな負担となってしまいます。このように治療をしても完治できないケースを、マイクロスコープや歯科用CTでいち早く見つけて、患者さんにしっかり説明することも非常に重要だと考えています。
編集部
最後に、読者へメッセージをお願いします。
村野先生
私たち根管治療(歯内療法)の専門とする歯科医師は、患者さんの希望に寄り添いながら、歯を残すための治療に日々全力で取り組んでいます。歯を残すための治療は日々進歩していますので、お困りのことがありましたら、ぜひ私たちにご相談ください。根管治療を通して、皆さんが毎日の食事を楽しみ、健やかな生活を送れるようにサポートしていきたいと思います。
※この記事はメディカルドックにて<歯を抜かずに守る「根管治療」の重要性と治療成功のカギを歯科医師が解説>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。




