スポーツ中の“歯のケガ”を防ぐには? 歯科医師が教える「マウスガードの選び方」

「マウスガード」と聞くと、ボクシングやラグビーなど激しい接触のあるスポーツで使用される歯のプロテクターをイメージする方も多いのではないでしょうか? しかし近年、マウスガードは単なる安全具としてだけでなく、スポーツパフォーマンスの向上にも効果があることがわかってきました。そこで、マウスガードの作製の手順や費用について、おおしか歯科医院の大鹿先生に解説してもらいました。

監修歯科医師:
大鹿 明完(おおしか歯科医院)
編集部
既製のマウスガードと歯科医院でつくるマウスガードは、どちらがおすすめですか?
大鹿先生
パフォーマンスへの影響を考えるなら、歯科医院で作製するカスタムメイドタイプをおすすめします。既製品は適合が悪いため、競技中に落ちてしまうことも多く、しっかり噛んでいないと使えないことも多々あります。一方のカスタムメイドタイプは、歯科医院で型取りして作製するため適合が良好で、競技中に外れる心配もありません。
編集部
歯科医院でつくるマウスガードには、ほかにどのようなメリットがありますか?
大鹿先生
異物感が大幅に軽減できるほか、選手一人ひとりの要望に応じて細かい調整ができるのも大きな利点です。例えば「もう少し薄くできないか」「長さを短くできないか」といった要望や、噛み合わせの調整などにも対応できます。マウスガードは実際に使ってみないとわからない部分も多いので、装着後も細かい微調整ができるのも既製品と比べて優れている点といえます。
編集部
作製に必要な通院回数や作製期間はどのぐらいかかりますか?
大鹿先生
通常は2回の来院で完成しますが、修正や調整が必要な場合はさらに2回程度の来院をお願いすることがあります。全体の期間としては、1週間から2週間程度で完成するのが一般的です。
編集部
歯科医院のマウスガードに保険は適用できますか? 具体的な費用の目安もあわせて教えてください。
大鹿先生
歯科医院でのマウスガード作製は自費診療となるため、健康保険は適用されません。費用は歯科医院によって異なりますが、一般的な費用の目安は1万5000円~2万円程度です。また、ラミネートタイプは作製に手間がかかるため、モノレイヤータイプよりも高額になります。
編集部
マウスガードの交換時期の目安について教えてください。
大鹿先生
使用していくうちにすり減ってきたり、穴が空いてきたりしたら交換の時期です。また、マウスガードのひび割れや緩みも交換時期を判断する目安となります。成長期のお子さんについては年齢にもよりますが、小中学生で背が伸びる時期は半年に1回程度の交換をおすすめしています。
編集部
最後に、読者へメッセージをお願いします。
大鹿先生
競技で使用が義務づけられている方はもちろん、スポーツに真剣に取り組んでいる方にはぜひ一度、マウスガードを試していただきたいと思います。スポーツによる歯のケガは深刻で、一度折れたり欠けたりしてしまうと元の状態に戻すことができません。マウスガードにはこうした歯の損傷を予防するだけでなく、競技に安心して集中できることで全体のパフォーマンスが向上するというメリットがあります。ぜひ歯科医院でご自身にあったマウスガードを作製し、安全で充実したスポーツライフを送っていただければと思います。
※この記事はMedical DOCにて<スポーツのパフォーマンスが向上 「マウスガード」の効果を歯科医師が解説>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。