歯科医が教える「親知らず」の抜歯が難しいケース、あなたの歯は難症例じゃない?
「親知らず」には、簡単に抜歯できるケースと難しいケースがあるのをご存じですか? 今回は親知らずの抜歯の難易度の判断基準を「ウィズ歯科クリニック」の大野先生に解説していただきました。
監修歯科医師:
大野 立人(医療法人社団オハナ会 ウィズ歯科クリニック)
編集部
親知らずの抜歯で「簡単」「難しい」というのはどこで決まりますか?
大野先生
親知らずでも真っ直ぐに生えていて頭がしっかり出ているものや、根っこが短いものは比較的簡単に抜けます。時間にすると10~30分程度です。一方で、真っ直ぐに生えていても根っこが3~4本に分かれていると、抜歯の時に根っこの先が残ってしまうこともあるため、難易度は高くなります。
編集部
親知らずの向きよりも「根っこの本数」が難易度の決め手なのでしょうか?
大野先生
確かに、横向きや斜め向きの親知らずは歯ぐきを切ったり、骨を削ったりという工程が増えるため、抜歯にかかる時間は長くなります。ただ、歯科医からみると必ずしも横向き・斜め向きが大変というわけではありません。抜歯の難易度としてはやはり根っこの本数や形が決め手になり、難易度が高くなると処置に45分~1時間ほど時間を要してしまいます。
編集部
根っこの本数や形のほかに、親知らずの抜歯を難しくする要因はありますか?
大野先生
下顎の骨の中には「下歯槽神経(かしそうしんけい)」という太い神経がありますが、親知らずがこの神経の近くにある場合も抜歯の難易度は高くなります。抜歯の際にその神経を傷つけてしまうと麻痺やしびれが残るおそれもあるため、刺激が加わらないように時間をかけて慎重に抜く必要があります。