【糖尿病患者の歯科治療③】糖尿病患者が歯科治療を受けるメリット
公開日:2023/12/30
「糖尿病」と「歯科治療」。一見両者は関係のないように感じますが、この二つは密接に関係していると言われています。糖尿病と歯科治療の関係について「いちやま歯科」の一山先生に学ぶ特集の第3回。
今回は「糖尿病患者が歯科治療を受けるメリット」について解説していただきました。
監修歯科医師:
一山 茂樹(いちやま歯科)
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北海道大学歯学部卒業。北海道大学大学院歯学研究科修了。その後、北海道大学歯学部にて助手、講師を務める。1984年、北海道札幌市に「いちやま歯科」を開院。「患者様第一」を治療方針に、30年以上にわたり地域に密着した診療をおこなう。歯学博士。日本補綴歯科学会の会員。
編集部
糖尿病患者が歯科治療を受けると、どのようなメリットがありますか?
一山先生
糖尿病の人は健康な人よりむし歯や歯周病になるリスクが高く、進行も早い傾向があります。これは血糖値が高くなると細菌に感染しやすくなることに加えて、唾液の量も減ってお口の中が乾きやすくなるためです。したがって、早い段階で歯科治療を受けておくことで、これらの疾患の重症化を防げるのがメリットとなります。とくに歯周病に関しては糖尿病と密接な関係があり、歯周病治療によって血糖コントロールが改善するというデータもあります。(※)
※糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン2014
https://www.perio.jp/publication/upload_file/guideline_diabetes.pdf
編集部
つまり、歯周病をしっかり治療すれば糖尿病の悪化も防げるわけですね。
一山先生
歯周病は糖尿病以外にも、動脈硬化や心臓疾患、脳血管障害など、様々な病気との関連も近年は指摘されています。ここ最近では、アルツハイマー病の悪化に歯周病菌や歯周病菌が出す毒素が関係しているという研究報告もありました。(※)お口の健康を維持することは、結果的にこれら全身の病気の進行や悪化を防ぐことにつながることも知っていだたきたいと思います。
※歯周病菌のアルツハイマー様病態誘発に関与する原因酵素を特定
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/141/
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
一山先生
今回は歯科治療に関する話でしたが、むし歯や歯周病はなる前に「予防する」ということが最も重要です。したがって、治療のときだけ受診するのではなく、異常がないときにも定期的に歯科医院を受診して、検査やクリーニングを受けることも忘れないようにしましょう。