「乳がんの抗がん剤」で手足に現れる”副作用”は?他の5つの症状も医師が解説!

乳がんの抗がん剤治療に伴う副作用と対策とは?メディカルドック監修医が、吐き気や脱毛、骨髄抑制、末梢神経障害など、注意すべき症状と対処法を詳しく解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「乳がんの抗がん剤」の副作用はご存知ですか?治療期間も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
山田 美紀(医師)
目次 -INDEX-
「乳がん」とは?
乳がんとは乳腺に発生する悪性腫瘍です。日本では女性が罹るがんの中で最も多く、約9人に1人の割合で罹患するというデータがあります。乳がんは手術治療、放射線治療、薬物治療を組み合わせて治療します。薬物治療の一つが抗がん剤です。乳がんのタイプや進行度を考慮し、抗がん剤が必要な場合があります。抗がん剤は体のどこかに潜んでいる微小ながん細胞をたたき、再発リスクを下げるために行います。手術前の抗がん剤はさらに、進行がんを手術可能な状態にする、またはがんを小さくして部分切除を可能にする効果が期待できます。また、抗がん剤の効果が判断でき、術後の治療を考えることもできます。
乳がんで使用する抗がん剤の副作用
抗がん剤を行う場合、何らかの副作用を伴うことが多いです。副作用が出るか、どの程度出るかは個人差がとても大きいです。代表的な副作用についてご紹介します。
消化器症状(吐き気や嘔吐)
抗がん剤によって吐き気や嘔吐の症状が出ることがあります。抗がん剤を使用して24時間以内に起こる急性嘔吐、1週間以内に起こる遅発性嘔吐、薬を使用する前に予期して吐き気や嘔吐が起こる予期性嘔吐があります。アンスラサイクリンやエピルビシンでは頻度が中等度(30~90%)、タキサンでは軽度(10~30%)とされています。症状が起こるリスクに合わせて、予防的に制吐剤を使用します。
骨髄抑制(発熱、貧血)
抗がん剤の影響で白血球、赤血球、血小板を作る骨髄の機能が低下することがあります。白血球(好中球)が減少すると免疫が低下し、感染症にかかりやすくなり、38度を超える発熱が出ることがあります。日常生活において感染症に気をつけ、発熱した場合は抗生剤の使用や好中球を増やす薬を使用します。赤血球が減ると、貧血になりだるさや息切れが起こることがあります。場合によっては、輸血が必要になることがあります。また、血小板減少により、血が止まりにくくなることがあります。
脱毛
アンスラサイクリンやタキサンではほぼ100%の確率で脱毛が起こります。髪の毛だけではなく、眉毛、まつ毛、体毛なども抜けます。治療開始してから2週間で抜け始めることが多く、治療終了後数ヶ月で再び生え始めます。最近は頭皮冷却装置で脱毛を軽減する試みもあります。
心機能の低下
アンスラサイクリン系抗がん剤は心臓に対する副作用があります。息苦しさ、むくみ、動悸など心不全の症状が現れることがあります。定期的に心機能検査を行う必要があります。
末梢神経障害(手足のしびれや痛み)
タキサン系抗がん剤は末梢神経に対する副作用があります。手足のしびれ、ピリピリとした痛み、指先の動かしにくさなどの症状があります。薬の投与回数が増えるほど、症状が出やすくなります。症状が強くなった場合は、抗がん剤の減量や休薬をすることがあります。しびれの症状は半年程度で気にならなくなることが多いですが、長期間続くこともあります。
手足症候群(手足の赤みや腫れ)
カペシタビンやS-1では手足の副作用が出ることがあります。手のひらや足の裏の痛み、腫れ、赤み、乾燥や色素沈着などの症状があります。保湿クリームやステロイド軟膏で改善します。症状が辛い場合は、抗がん剤の減量や中断を行うことがあります。
「乳がんの抗がん剤」についてよくある質問
ここまで乳がんの抗がん剤などを紹介しました。ここでは「乳がんの抗がん剤」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
乳がんはステージいくつで抗がん剤治療を行うのでしょうか?
山田 美紀 医師
どのステージで抗がん剤治療を行うかは乳がんのタイプによって異なります。ホルモン受容体陽性の場合は、ステージ3以上で抗がん剤を行いますが、ステージ1や2であっても再発リスクが高い場合は抗がん剤を行うことがあります。HER2陽性乳がんやトリプルネガティブ乳がんではステージ1であってもしこりが1cmを超えた場合、抗がん剤を行います。
乳がんの抗がん剤治療で一番きついのは何クール目なのでしょうか?
山田 美紀 医師
抗がん剤治療がつらいと感じるタイミングは個人差があります。だるさや吐き気は抗がん剤投与から2-3日目がピークのことが多いです。手足のしびれの副作用がある場合は、蓄積されるため、回数を重ねるごとに強く感じることがあります。
まとめ
乳がんの手術前後に使用する抗がん剤についてご紹介しました。抗がん剤は乳がんの進行を抑えるのにとても効果がありますが、さまざまな副作用を伴います。副作用にうまく対処しながら、治療を行います。治療中につらい症状がある場合は、我慢せずに医療者に相談しましょう。
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