「早くして」は禁句? 高齢者介護で絶対にやってはいけないNG対応【専門家解説】

高齢の家族を介護していると、ちょっとした日常のやり取りや段差でも不安が募り、ついイライラしてしまうことはありませんか? 介護の負担を軽減し、家族の安心につなげる方法について、介護福祉士の佐藤さんに解説していただきました。

監修介護福祉士:
佐藤 恵美(介護福祉士)
編集部
高齢者を介護する上で気をつける点は何でしょうか?
佐藤さん
・傾聴姿勢を心掛ける
・慌てない
・相手を「待つ」気持ちを持つ
・落ち着いた声かけ
高齢者は動作が遅くなり、想いを言葉にするのもゆっくりになります。大切なのは急かさずに待つことです。途中で言葉を遮られたり、「早くして」などと言われたりすると自尊心を傷つける結果に繋がります。介護者自身がゆったりと構えて受け入れる姿勢で臨むと、ご本人も安心できます。
編集部
傾聴とは何ですか?
佐藤さん
相手の話に耳を傾け、同意や共感を持って関わることです。認知症の高齢者は何度も同じ話を繰り返す人が多いので、聞いている介護者はイライラしてしまう時があります。しかし、本人の話に頷く姿を見せるだけで「この人は私の話を聞いてくれるのだ」という安心感を持ってもらえるので、結果的に落ち着いて過ごせるようになります。
編集部
身体的に注意すべき点はありますか?
佐藤さん
高齢者は注意力が低下しているケースが多いので、ちょっとした段差にもつまずきやすくなっています。そのため、転倒防止対策はしっかりおこなう必要があります。高齢になると骨がもろくなり、一度の転倒が骨折や寝たきり状態に繋がる恐れもあります。そのため住環境の整備は必須です。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
佐藤さん
在宅介護は大変負担の大きいものです。しかし、「家族のことだから家族で」と考えてはいけません。責任感を持って介護にあたるのは素晴らしいことですが、身内だけで介護を続けるのは限界があります。介護を頑張り過ぎてご家族が倒れてしまっては、元も子もありません。苦しい気持ちを誰かに聞いてもらったり、時には介護を専門家に任せたりして、自分が息をつける時間を作るのが介護うつを回避するコツです。
※この記事はメディカルドックにて【“介護疲れ”から“介護うつ”にならないために 介護のストレス・疲れを軽減する方法を介護福祉士が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。