“抗うつ薬”でも太りにくい薬はあるのか 種類・成分ごとに解説【薬剤師監修】
薬に副作用はつきものですが、できることなら「副作用のない・少ない薬」を選択したい方がほとんどだと思います。そこで今回は、“太りやすい薬”として知られる抗うつ薬を中心に、薬の副作用について薬剤師の長岡さんを取材しました。
監修薬剤師:
長岡 志帆(薬剤師)
編集部
薬によって太りやすい・太りにくいはありますか?
長岡さん
・三環系:アミトリプチリン、アモキサピン、イミプラミン、クロミプラミン
・ノルトリプチリン
・四環系:マプロチリン、ミアンセリン
・SSRI:パロキセチン、エスシタロプラム、フルボキサミン
・NaSSA:ミルタザピン
・トラゾドン
・スルピリド
以上の薬が、体重増加の副作用を認めやすい抗うつ薬です。NaSSA、三環系、パキシル、四環系とSSRI、SNRIの順で太りやすいと言われています。ほかにも、抗精神病治療薬で抗うつ薬としても使用するMARTAのオランザピン、クエチアピン、クロザピンでも体重増加がみられ、糖尿病患者には禁忌となっています。
編集部
逆に太りにくい薬はあるのですか?
長岡さん
抗うつ薬の中で、SNRIはほかよりも太りにくいと言われています。デュロキセチン、ベンラファキシン、ミルナシプランなどです。ほかには、抗精神病薬として使用するアトモキセチン、トピラマート、セルトラリンでは、逆に体重減少したという報告があります。
編集部
体重が増えたときは薬を減らしても良いですか?
長岡さん
ご自身の判断で薬をやめてしまうと、薬の成分が体内から急になくなることによる離脱症状が起き、体の不調が表れます。めまい、吐き気、頭痛、イライラ、不安、不眠といった症状を訴える方が多くいらっしゃいます。薬の服用を止めてから3日以内には離脱症状が表れると言われています。今後の治療にも影響するので、ご自身で判断するのではなく、かかりつけ医に必ず相談してください。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
長岡さん
抗うつ薬は太るというイメージは薬の作用としては間違いではありませんが、ご自身で体重増加を予防する方法はあります。また、体調不良により体重が減少していた方は、回復しているという証拠です。体重が増えることに不安を覚えるかもしれませんが、治療における一時的な症状ですので、まずは回復に向けて医師の指示通り服用しましょう。体重が急激に増えている、ほかに気になる症状があるときは、一人で悩まずにかかりつけ医や薬剤師に相談してください。
※この記事はMedical DOCにて【元記事タイトル】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。