親の介護で生活はどう変わる? 「経済」「身体」「精神」の負担を介護福祉士が解説
親の介護が始まると、これまでの生活とは変わってくるでしょう。介護が始まる前は具体的に変化が見えず、不安に感じる方も多いと思います。そこで、介護福祉士の資格を有する林さんに、「経済」「身体」「精神」の3つの観点からどのような負担があるのか、解説いただきました。
監修介護福祉士:
林 修造(介護福祉士)
編集部
親の介護によって、私たち現役世代の生活はどのように変化しますか?
林さん
遠距離介護の場合には、週末に実家を訪問するため時間的・経済的な負担が大きくなります。また、近距離・同居の場合には引っ越し費用がかかるうえ、これまでの生活習慣の変更が余儀なくされます。親の介護を理由に仕事量をセーブしたり、これまで貯金に回していたお金を介護費用に充てたりするなどの変化が起こるでしょう。場合によっては介護離職をせざるを得ない状況になるかもしれません。このように、親の介護問題は、私たち現役世代の社会的役割の変更・喪失などに影響を与える恐れがあります。
編集部
親の介護に伴い、どのような負担がありますか?
林さん
介護には3つの負担を伴います。経済的負担、身体的負担、精神的負担です。経済的負担とは、親の介護費用がかさみ、子がそれを負担して生じる経済的損失のことです。親の介護にかかる費用は、親の貯めた資金や年金から出すのが理想的ですが、十分な貯蓄や年金が無い場合は子が一部を負担することになります。
編集部
身体的負担と精神的負担についても詳しく教えてください。
林さん
身体的負担とは、親の身体を介護することによる疲労や腰痛などを指します。また、遠距離介護の場合は、移動に伴う疲労の蓄積もこれに含まれます。精神的負担とは、親の介護に伴う精神的ストレスです。これまでは自分の都合に合わせて時間やお金を使っていたのが、それが難しくなります。また、親の介護問題は先行きが見通せない(ゴールが見えにくい)ため、漠然とした不安を抱えてしまいます。
編集部
親の介護ではお金がいくらかかるのですか?
林さん
親の要介護状態や、受給する介護サービスの量によって異なるため一律に「○○円」とはいえません。調査結果によると、介護にかかる月額費用の平均は約8万3000円で、一時的な費用(住宅改修や介護用ベッドの購入など一時的にかかった費用)の平均は約74万円だったというデータがあります。親が介護を受けながら自宅で生活するのか、施設に入所して生活を送るのかによって費用は大きく異なります。介護は長期化する傾向にあるため、より一層の経済的な備えが必要です。
※この記事はMedical DOCにて【親の介護はどこでする? 遠距離・近距離・同居のメリット・デメリットを介護福祉士が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。