元芸人が「胃がん」で3分の2を摘出へ 胃がんになる“3つの原因”とは?【医師解説】
元お笑いコンビ「トラッシュスター」のマサ越前さん(34)が、SNSで「胃がん」であること、本日19日に胃の3分の2を摘出することを報告しました。手術前にもSNSを更新し、写真とともに「行ってきます」と綴っています。そこで、胃がんになりやすい「主な3つの原因」について、医師の烏山先生に解説してもらいました。
監修医師:
烏山 司(医師)
目次 -INDEX-
「胃がん」とは?
胃がんとは、胃壁の内側にがん細胞が発生し、無秩序に増えたものです。胃がんは進行するにつれて、胃の内側から外側へと進んでいきます。胃がんは、男性のがんで3番目に多く、女性のがんで4番目となっており罹患数の多いがんです。胃がんは初期段階では自覚症状がないことが多く、分かりづらいことが特徴的です。どんな時に胃がんを疑うべきか、原因について詳しく解説いたします。
胃がんの原因
胃がんの危険因子を中心に解説いたします。ピロリ菌の感染や食事、生活習慣の注意が必要です。
ヘリコバクター・ピロリ菌の感染
ヘリコバクターピロリ菌の感染は、胃がんの最も重要な危険因子です。ピロリ菌を除菌することで、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の再発を抑制したり、胃がんの発生や再発を減らしたりすることができると報告されています。胃がんを予防するためにも、ピロリ菌の除菌を行いましょう。しかし、除菌をしても100%胃がんにかからないわけではありません。主治医と相談し、定期的な胃の内視鏡検査を行いましょう。
喫煙、飲酒
喫煙、飲酒ともに胃がんの危険因子となっています。喫煙に関しては、非喫煙者と比較し喫煙者は男性で1.8倍、女性で1.2倍胃がんにかかりやすいと報告されています。喫煙はそのほかのがんの危険因子でもあり、是非禁煙をしましょう。
飲酒に関しては、男性においてお酒を飲まない人と比較し、1日1合~2合飲む人で1.09倍、2~3合で1.18倍、3~4合で1.21倍、4合以上で1.29倍胃がんになるリスクが増加しました。飲酒量が多くなるほど危険性が高いといえます。この研究では女性で有意な差はみられませんでしたが、男性と比較し飲酒量が少ないためと考えられ、女性でも飲酒量が増えることは胃がんの危険性が増えると考えられます。飲酒に関しては、1日当たり飲酒量が1合(日本酒1合、ビール500mL)未満の適量で楽しむようにしてください。
食塩・高塩分食品の摂取過剰
日本人の食事は塩分が多いことが特徴です。塩辛、いくら、漬物などの高塩分食品を多く食べることが胃がんの危険因子となっています。このため、塩分の摂りすぎに注意をすることも、胃がんを予防する効果があると考えられます。
「胃がんの原因」についてよくある質問
ここまで胃がんの原因を紹介しました。ここでは「胃がんの原因」について、よくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
胃がんが進行した可能性がある場合に出やすい症状について教えてください。
烏山 司 医師
黒っぽい便がありふらつきや動悸がある、食事がとれなくなり体重が減少してしまうといった症状がある場合には、重大な病気が隠れている可能性が高いです。胃がんでもこのような症状が起こることもありますし、そのほかの病気でも同様の症状となることもありうるため症状だけで区別をすることは難しいです。しかし、上記に挙げたような症状がある場合には病状が進行している可能性があり、早急に消化器内科を受診する必要があると考えられます。これらの症状が、必ずしも胃がんの手遅れの症状とは言えませんが、胃がんが進行しているときにも起こることがあり、注意が必要です。
まとめ 体調の変化に気をつけ、早めに消化器内科を受診しよう!
胃がんは自覚症状が出にくいがんです。特に早期では自覚症状がほとんどないことが多いです。しかし、胃がんは慢性胃炎に伴うことも多く、胃炎によるちょっとした体調の変化に気を付けることも大切といえます。げっぷやおならが多くなったり、口臭が気になったりするときに胃炎のサインかもしれません。ピロリ菌感染に伴う胃炎であれば、除菌をすることで胃がんの発症率を下げることができます。まず、体調の変化に気を付け、症状が続く場合には消化器内科で相談をしましょう。また、胃がんの早期発見のためにも定期的ながん検診を受診することも大切です。胃がんの発症は50歳以降で多くなります。40歳以降では胃がん検診を定期的に行うことがお勧めです。
※この記事はメディカルドックにて【「胃がんの主な3つの原因」はご存知ですか?医師が徹底解説!】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。