1. Medical DOCTOP
  2. 配信コンテンツ
  3. 「若年性認知症」の原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

「若年性認知症」の原因はご存知ですか?医師が徹底解説!

 公開日:2025/03/05
「若年性認知症」の初期症状やなりやすい人の特徴はご存知ですか?医師が解説!

若年性認知症とは?Medical DOC監修医が若年性認知症の原因を解説します。

※この記事はMedical DOCにて『「若年性認知症」の初期症状やなりやすい人の特徴はご存知ですか?医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

プロフィールをもっと見る
医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。

「若年性認知症」とは?

若年性認知症とは65歳未満で発症する認知症のことです。認知症は高齢になるにつれて有病率が高くなる病気であり、厚生労働省の報告では、本邦における認知症高齢者の数は2014年時点で約462万人に対して、若年性認知症の数は2009年時点で約37800人と少なく、2000人に1人に満たない程度です。また、若年性認知症の中でも有病率は年齢が65歳に近づくほど高く、若年性認知症の85%は50歳以上が占めます。
若年性認知症は発症頻度の低い病気ですが、勤務をしている現役世代に発症するため、発症により失職してしまうなど生活に与える影響は大きく、本人や家族に精神的にも経済的にも大きな負担が生じる病気です。若年性認知症の中には生活習慣の改善などにより発症を予防したり、早期の治療により認知機能の悪化を抑えたり、認知機能を改善できたりするものもあるため、適切な知識を身につけて発症の予防や早期の発見に努めましょう。

若年性認知症の主な原因

若年性認知症の多くは50歳以上に発症し、血管性認知症とアルツハイマー病がその半数以上をしめます。その他には前頭側頭型認知症やレビー小体型認知症など、加齢とともに発症しやすくなる疾患が代表的ですが、45歳以下を対象とした研究では自己免疫性脳炎やミトコンドリア疾患が原因として多く、年齢により原因と考えられる病気が大きく異なるため、注意が必要です。

血管性認知症

血管性認知症は脳梗塞や脳出血など脳血管障害を原因として発症する認知症です。脳の障害される部位により、PCや携帯電話が使えなくなる、計算ができなくなる、理解力や処理能力が悪くなるなど様々な症状が出現します。記憶障害が主体となることは比較的少なく、仕事の能率が下がったり、これまでできていたことができなくなったりすることが多いです。突然発症することもあれば、慢性的な脳虚血や繰り返す小出血などにより緩徐に認知機能が低下することもあります。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は記憶力の低下を主体とする進行性の認知症です。加齢とともに発症しやすい病気であり、高齢者の認知症としても代表的な病気です。65歳未満で発症する場合には遺伝子異常を伴っていることも少なくなく、血縁者に若年性認知症の方が複数いる場合には特に注意が必要です。

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症は非常識な行動をしたり、特定の動作にこだわってしまったりと、異常な行動がみられる認知症です。この病気では記憶力は比較的保たれますが、特定のルートでの散歩にこだわったり、怒りっぽくなったり、お店の商品を窃盗する、公共の場で放尿するなどのその時の欲求に従った非常識な行動をしたりと問題行動がみられます。話しにくさで発症し、経時的に失語症状が進行する進行性失語症を呈するタイプもあります。

頭部外傷後の認知症

交通事故などで強い頭部打撲をしたことがある人、ボクシングやラグビーなどの接触スポーツで比較的強い頭部打撲を繰り返している人では、受傷後以降に認知機能が低下することがあります。頭蓋内出血などがない場合でも、頭部への衝撃により脳神経が障害され(軸索損傷)、認知機能が低下することがあります。

「若年性認知症」についてよくある質問

ここまで若年性認知症について紹介しました。ここでは「若年性認知症」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

ストレスが原因で若年性認知症を発症することはありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

精神的なストレスや精神疾患と若年性認知症との関連に関しては報告がまちまちであり、現時点ではストレスが若年性認知症の原因となるとは言えません。一方でうつ病などの発症により認知症のような症状が出現することはあります。

編集部まとめ

若年性認知症は現役世代に発症し、身体的、精神的、経済的に大きな負担のかかる病気です。原因となる病気は様々ですが、自己免疫性脳炎やビタミン欠乏による脳症(Wernicke脳症)など、早期の診断・治療により認知機能の進行を抑える、認知機能を改善できる病気もあるため、認知機能の悪化がみられた場合には早期に脳神経内科に受診することが重要です。また、健康的な食事や適度な運動などの健康的な生活習慣は若年性認知症の発症を予防したり、遅らせたりすることが期待できるので、健康的な生活習慣の維持に努めることも重要です。

「若年性認知症」と関連する病気

「若年性認知症」と関連する病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経科の病気

  • レビー小体型認知症
  • 前頭側頭型認知症
  • 血管性認知症/ビンスワンガー型白質脳症
  • 自己免疫性脳炎
  • Wernicke脳症
  • アルコール性認知症
  • ミトコンドリア脳筋症
  • アミロイドアンギオパチー
  • CADASIL/CARASIL

若年性認知症の多くは50歳以上に発症し、ほとんどは血管性認知症とアルツハイマー病です。一方で45歳以下の場合は自己免疫性脳炎やミトコンドリア疾患が多いと言われ、年齢によって原因疾患が異なるという特徴があります。

「若年性認知症」と関連する症状

「若年性認知症」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 処理能力の低下
  • 計算ができなくなった
  • 記憶力が低下した
  • おかしな言動・行動が増えた
  • 怒りっぽくなった

これらのような症状が気になる場合は、早めに医療機関へ受診することをお勧めいたします。

この記事の監修医師

注目記事

S