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「アルツハイマー型認知症の3つの初期症状」はご存知ですか?末期症状も医師が解説!

 公開日:2025/12/03
アルツハイマー型認知症の初期症状や末期症状とは?メディカルドック監修医が解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

※この記事はメディカルドックにて『「アルツハイマー型認知症の症状」はご存知ですか?初期症状・予防法も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

「アルツハイマー型認知症」とは?

認知症とは、「記憶障害」や「見当識障害」、「判断力の低下」を引き起こす脳の認知機能障害によって日常生活に支障が出るようになった病気のことです。そして、認知症にはさまざまな種類がありますが、最も多いのがアルツハイマー病によって認知症を発症したアルツハイマー型認知症です。 アルツハイマー病は、神経原線維の変化(タウオパチー)、アミロイドの神経細胞への沈着といった病理学的な変化を特徴とする病気です。症状が現れるまでには長い年月がかかるとされています。アルツハイマー型認知症の主な症状としてまず現れるのは、最近の出来事を覚えられないということです。この出来事は記憶障害から始まり、次第に記憶と学習の障害も起こってきます。病気が進行すると、失語や人格変化なども伴うようになります。アルツハイマー型認知症では、初期から、てんかんやけいれん発作などの神経症状を認めることは少ないとされています。 アルツハイマー型認知症と診断されると、その後の寿命は認知症を合併しない場合と比べて半分ほどになるという研究があります。具体的には、診断を受けてからの平均予命は、男性で4.2年、女性で5.7年となっています。 アルツハイマー型認知症の治療法としては、コリンエステラーゼ阻害薬とNMDA受容体拮抗薬という薬が用いられます。

アルツハイマー型認知症の前兆となる初期症状

では、アルツハイマー型認知症の前兆となるような初期症状について解説していきます。

最近のことを忘れる

アルツハイマー型認知症では、最近の出来事を忘れてしまうという初期症状が現れます。 また、MCI(軽度認知障害)というアルツハイマー病の前触れとなるような症状が知られています。MCIの症状には以下のようなものがあります。
  • ・自分自身あるいは周りから見た記憶力の低下
  • ・同じ年齢や教育水準の人と比べた時の記憶力の低下
  • ・全体的な知能は正常
  • ・日常生活は問題なし
  • ・認知症とは言えない
このMCIから年間10〜15%の方が認知症、またはアルツハイマー病に移行するという報告もあります。そのため、同年代の周りの人よりも記憶力が下がっていると感じた場合には、認知症の前触れの可能性もあります。念のため、認知症の専門医を受診するようにしましょう。

同じことを周囲の人に何回も尋ねる

アルツハイマー型認知症の初期症状として、話したことを忘れて何回も同じ話を繰り返すということも特徴的です。

感情的になる、怒りっぽくなる

アルツハイマー型認知症に伴う、行動や心理症状の一つとして、以前と性格が変わってしまうということがあります。怒りっぽくなる他にも、以前は好きだった趣味に興味を示さなくなるという症状も現れることがあります。

アルツハイマー型認知症の末期症状

アルツハイマー型認知症が進行し、病気の末期になると以下のような重度の症状が現れます。

周囲が認識できなくなる

アルツハイマー型認知症が進行すると、全般的な知的機能が損なわれてしまいます。すると、周囲に対する認知ができなくなり、人と会っても誰なのかわからなくなります。

無言になる

アルツハイマー型認知症の末期には、言語能力も失われ、言葉の理解や自分で言葉を発することもできなくなります。

寝たきりになる

アルツハイマー型認知症では、最終的には身支度や食事、トイレ、入浴などのセルフケアもできなくなります。また、歩いたり立ったり座ったりするといった基本的な運動能力も失われ、寝たきり状態となります。 最終的には、低栄養状態や脱水、誤嚥性肺炎といった感染症などの合併により死亡するという経過をたどります。

すぐに病院へ行くべき「アルツハイマー型認知症の症状」

ここまではアルツハイマー型認知症の症状を紹介してきました。 以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

自覚がない物忘れの症状が出ている症状の場合は、脳神経内科へ

加齢による物忘れとアルツハイマー型認知症の違いは、体験したことを全て忘れてしまう(例として、食事のメニューを忘れるのではなく、食事をとったこと自体を忘れてしまう)、物忘れの自覚がない、また日常生活への支障がある、といったことがあります。 こうした症状が出ている場合には、まずは脳神経内科や脳神経外科、物忘れ外来、認知症外来を受診してみると良いでしょう。

受診・予防の目安となる「アルツハイマー型認知症の症状」のセルフチェック法

  • ・最近の出来事が覚えられない場合
  • ・料理などの家事の段取りがうまくいかなくなる場合
  • ・身だしなみに無頓着な場合

「アルツハイマー型認知症の症状」についてよくある質問

ここまでアルツハイマー型認知症の症状・予防法などを紹介しました。ここでは「アルツハイマー型認知症の症状」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

アルツハイマー型認知症の症状が進行すると最終的にどうなりますか?

木村 香菜医師木村 香菜(医師)

アルツハイマー型認知症の終末期には、全般的な知的機能が損なわれ、次第に周囲のことが認知できなくなり、会話も通じなくなります。そして、運動機能も失われ、寝たきりの状態となります。

アルツハイマー型認知症に顔つきが変わる症状はありますか?

木村 香菜医師木村 香菜(医師)

アルツハイマー型認知症になると、顔つきが変わることもありえます。アルツハイマー型認知症の初期症状のひとつに性格の変化があります。例えば、以前はおだやかだった人が怒りっぽい性格になる、というものがあります。そのため、顔つきも変わる可能性があります。

アルツハイマー型認知症になりやすい人の特徴を教えてください。

木村 香菜医師木村 香菜(医師)

アルツハイマー型認知症の発症の原因ははっきりとはわかっていません。しかしながら、生活習慣病である高血圧や糖尿病、脂質異常症が関係しているといわれています。そのため、こうした病気をもつ人においては、アルツハイマー型認知症になりやすい可能性があります。

編集部まとめ

この記事では、アルツハイマー型認知症の症状の特徴について解説しました。 「なんとなく、普通の物忘れと違う」という症状に気づいたら、認知症の専門医にまず受診することが大切です。認知症には誰でもなる可能性があります。おかしいなと感じたら、早めに専門医を受診しましょう。そして、早期発見・早期治療に繋げていきたいものですね。

「アルツハイマー型認知症の症状」と関連する病気

「アルツハイマー型認知症の症状」と関連する病気は8個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

神経内科の病気

脳神経外科の病気

  • 慢性硬膜下血腫
  • 正常圧水頭症

精神科の病気

アルツハイマー型認知症に関連した病気には様々なものがあります。せん妄などの一時的な症状のこともあります。また、幻視やパーキンソン病のような症状が特徴的なレビィ小体型認知症という病気もあります。

「アルツハイマー型認知症の症状」と関連する症状

「アルツハイマー型認知症の症状」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • もの忘れがあるが、自分では気づいていない
  • 慣れた道でも迷ってしまう、どこに行こうとしていたかわからなくなる
  • 物や人の名前が思い出せない
アルツハイマー型認知症の他にも、このような症状がでる病気はあります。原因が明らかなものについては、治療を行えば認知機能が改善するものもありますので、「おかしいな」と感じた際には、まずは神経内科や脳神経外科、認知症の専門外来などを受診しましょう。

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