目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 配信コンテンツ
  3. 「生存率が低い4つのがん」はご存知ですか?それぞれの病気の特徴も解説!

「生存率が低い4つのがん」はご存知ですか?それぞれの病気の特徴も解説!

 公開日:2025/11/21
「生存率が低い4つのがん」はご存じですか?医師が徹底解説!

がんは日本人の死因のトップであり続けていますが、すべてのがんが同じように治療しやすいわけではありません。部位によっては早期発見が難しく、発見時にはすでに進行していることも多いため、生存率が低くなる傾向があります。この記事では、生存率が低いがんについて解説します。

五藤 良将

監修医師
五藤 良将(医師)

プロフィールをもっと見る
防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。

生存率が低いがんとは?部位別に見る特徴

膵臓がん:沈黙の臓器、発見時には進行

膵臓がんは、5年生存率が最も低いがんのひとつです(全体で約10%前後)。その理由は、「沈黙の臓器」と呼ばれるほど初期症状が乏しく、早期発見が極めて難しいことにあります。膵臓は腹部の奥深くに位置し、小さな腫瘍では痛みなどの自覚症状がほとんど出ません。また、定期健診で行われる血液検査や腹部超音波では見つけにくいことが多く、発見されたときにはすでに転移しているケースも少なくありません。手術可能な段階で見つかる割合は2〜3割程度にとどまり、多くは化学療法中心の治療となり、生存率が低くなってしまいます。

胆道がん:症状が出るころには手遅れに

胆管や胆嚢にできるがんは、「胆道がん」と総称されます。これらも膵臓がんと同様に発見が難しく、進行も早いのが特徴です。初期は症状がほとんどなく、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)や腹痛、体重減少などが出るころにはかなり病期が進行していることが多いです。また、胆管は複雑な構造をしており、手術が技術的に難しいことも予後を左右する要因となります。5年生存率は部位や進行度によって異なりますが、10〜20%程度にとどまるとされています。

肺がん(小細胞型):進行が速く転移しやすい

肺がんは日本で最も多いがんのひとつですが、特に「小細胞肺がん」は進行が非常に速く、生存率が低いとされています。 小細胞肺がんは:
  • 成長スピードが速い(数週間〜数ヶ月で進行)
  • 初期から転移しやすい(脳・肝臓・骨など)
  • 再発しやすい(治療効果があっても長続きしにくい)
といった特徴を持ちます。早期発見できた場合には治療効果が期待できますが、進行例では5年生存率が10%を下回ることもあります。

肝臓がん:背景にある慢性疾患と再発の壁

肝臓がんの厄介な点は、単独で発症することが少なく、ほとんどが“背景にある肝疾患”をともなっていることです。B型・C型肝炎ウイルス、アルコール性肝障害、脂肪肝などが長年かけて慢性化し、その過程でがんが発生するというケースが非常に多いのです。このため、たとえがんを切除できたとしても、元の肝臓の機能が低下していることが多く、再発もしやすいという二重の壁があります。さらに、肝臓は再生力が高いため、がんの進行がわかりづらいという面も。その結果、5年生存率は20〜30%前後と、比較的低めの水準にとどまります。 以上のように、生存率が低いがんには「早期発見が難しい」「再発が多い」「治療法が限られている」など、 いくつもの要因が重なっています。

まとめ

がんの生存率は、その部位や種類によって大きく異なります。 膵臓・胆道・小細胞肺がん・肝臓がんといった部位は、早期発見が難しく、再発や治療の限界もあるため、生存率が低くなる傾向があります。しかし、そうしたがんに対しても、早期発見の工夫や生活習慣の見直し、家族歴の意識など、私たちにできる予防策は確かに存在します。大切なのは、「怖い」だけで終わらせないこと。 がんを正しく知り、身近な変化に気づき、必要な検査や相談をする── それだけでも、未来の選択肢は確実に広がります。「知っている」ことが、生きる力になります。

この記事の監修医師

注目記事