がんにおける「5年生存率」とは?【医師監修】
公開日:2025/11/25

がんは日本人の死因のトップであり続けていますが、すべてのがんが同じように治療しやすいわけではありません。部位によっては早期発見が難しく、発見時にはすでに進行していることも多いため、生存率が低くなる傾向があります。この記事では、がんの生存率について解説します。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
目次 -INDEX-
がんの「生存率」とは何か?
5年生存率の意味と限界
がんに関する話題でよく耳にする「5年生存率」。これは「がんと診断されてから5年間、生存している人の割合」を示した統計です。たとえば、あるがんの5年生存率が40%という場合、100人がそのがんと診断されたとき、5年後にも生きているのが40人という意味になります。この数字は、がんの進行の速さ・治療の有効性・早期発見のしやすさなどを反映しています。そのため、がんの種類や部位によって、大きく差が出るのです。ただし、この「5年」という区切りはやや便宜的であり、次のような点に注意が必要です。- 5年を超えても再発のリスクがあるがんもある
- がんの種類によっては、治療直後の死亡率が高く、その後安定するものもある
- 診断の年によっても、治療技術の進歩により数字が変わる
統計に含まれる個人差と例外
生存率はあくまでも集団としての平均値です。その中には、早期に発見されて完治する人もいれば、進行してから発見された人も含まれます。また、同じがんでも以下の要因で大きく予後が異なります:- 年齢(若いほど体力や回復力が高い)
- 合併症の有無(糖尿病や心疾患があると治療が難しくなる)
- がんの悪性度(進行スピードや転移のしやすさ)
- 治療に対する反応(抗がん剤や免疫療法への反応性)