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喉の痛みと熱を併発する急性上気道炎

 更新日:2023/03/27

喉の痛みと熱を伴う疾患には何があるでしょうか?喉の痛みを引き起こす原因や、発熱につながる原因はさまざまあります。

喉の痛みだけであれば、逆流性食道炎でも起こり得ますし、軽度の発熱なら疲れただけでもあり得るものです。しかし、この2つを併せ持つ疾患となれば、考えられるものがある程度は絞られてきます。

その主なもののひとつが感染症であり、中でも多いとされるのが、誰にでも起こり得る急性上気道炎=「かぜ症候群」です。ここでは、ポピュラーな急性上気道炎を中心に、喉の痛みと発熱につながる疾患について、Medical DOC編集部がお届けします。なお、ここでは新型コロナウイルス感染症への言及はしておりません。

この記事の監修医師
高橋 通 (東京国際クリニック 医科 院長)

喉の痛みと感染症

喉が痛くなる原因はさまざまありますが、そのなかのひとつに感染症があります。ウイルスや細菌に感染することで、喉の痛みや熱につながるのです。

ポピュラーな急性上気道炎

感染を原因とする疾患で、主症状が喉の痛みと発熱といえば、急性上気道炎がポピュラーだといえます。急性上気道炎といわれてもピンとこないかもしれませんが、一般的な言葉でいえば「かぜ症候群」です。つまり、かぜをひいたために喉が痛くなり、熱が出てしまいます。「かぜ」と聞くと、なんだと思ってしまいそうですが、万病の元ともいわれており、軽視は禁物です。空気の通り道を気道といいます。気道は大きく上気道と下気道に分けられ、鼻から咽頭、喉頭は上気道、気管から気管支、肺を下気道といいます。急性の鼻炎、扁桃腺炎も急性上気道炎に含みます。

急性上気道炎は「かぜ」によるものだとはいっても、そもそもかぜの原因とは何でしょう。実は、かぜの原因の80~90%は下記の各種ウイルスです。
・ライノウイルス
・コロナウイルス(注:新型コロナウイルスは除く)
・RSウイルス
・パラインフルエンザウイルス
・アデノウイルス

ここで出てくるパラインフルエンザウイルスというのは、いわゆるインフルエンザウイルスとは全く別のウイルスです。ところで、喉の痛みや発熱といえば、かぜとインフルエンザに共通の症状としても知られています。インフルエンザにもかかわらず、よくあるかぜだと思っていると、自分だけでなく周囲にも悪影響を及ぼす危険性があるので注意が必要です。

インフルエンザ菌は別物

さらに急性上気道炎にはウイルス感染とは別に細菌感染によるものもあります。その原因菌のひとつがインフルエンザ菌です。インフルエンザウイルスと紛らわしいですが、あちらはウイルスであり、こちらは細菌という違いがあります。インフルエンザ菌はインフルエンザウイルスではないため、季節性インフルエンザとは無関係です。

また、急性上気道炎はウイルス感染だけでなる場合や細菌感染だけでなる場合のみならず、ウイルス感染と細菌感染の両方が重なることもあります。さらに、感染症以外の環境を原因とするケースもあります。

急性上気道炎の主な症状と受診の必要性

急性上気道炎の中でも、喉の痛みと発熱を主症状とするのが急性咽頭炎や急性喉頭炎です。ただ、これらの疾患にかかった場合でも、必ずしも発熱するとは限りません。かぜ症候群であることから、発熱するケースが多いことは容易に想像できますが、発熱しないケースもあることを知っておきましょう。その他の症状としては、咳や痰が出ることがあります。

急性咽頭炎にありがちな激痛

ちなみに、急性咽頭炎や急性扁桃腺炎になると、食べ物や飲み物だけでなく、ツバを飲み込むときにも激痛を感じることがあります。

症状次第で受診も必要

喉の痛みや発熱が起きていても、軽い場合は様子見をしたり、市販の薬で症状の改善を図ったりすることが珍しくありません。もちろん、それで軽快するケースも多いため、初期の対処法として悪いとはいえません。しかし、対応を誤ると悪化してしまうことがあります。

たとえば、急性咽頭炎の痛みが激しくなると、安静にして寝ることすら難しくなるケースもあり、そうなると、自然治癒するまで待つのは厳しいです。症状の改善がみられずおかしいなと感じたら、早めに内科や耳鼻咽喉科を受診するとよいでしょう。

治療の基本は対症療法

急性咽頭炎や急性喉頭炎の治療法は、原因によって分かれますが基本的には対症療法です。

ウイルス感染の場合

インフルエンザウイルスに感染している場合は、タミフルやリレンザといった抗ウイルス薬の使用が考えられます。しかし、その他のウイルスには効果的な薬がありません。そのため、必要に応じて消炎鎮痛剤などで症状を和らげることになります。

細菌感染の場合

細菌感染の場合は、抗生物質の投与によって細菌を退治する選択があります。つらい症状の緩和には、ウイルス感染時と同様に対症療法が考えられます。

喉の酷使や環境による場合

感染症ではなく、演説やカラオケなどで喉を酷使したとか、大気汚染などで物理的に喉を痛めている場合には、そうした環境から離れて喉を休めることが重要です。改善しない場合には、感染症と同様に対症療法としての薬物療法の出番となります。

かぜ症候群には安静と体力の回復が重要

かぜ症候群に特効薬はないといわれるように、薬物療法にしても基本は対症療法です。早く治そうと思うのであれば、安静にして栄養を摂り体力を回復させることが重要です。もちろん、炎症を起こしている喉は、できるだけ使わないように注意しなければなりません。

急性上気道炎で注意すべき慢性化

急性上気道炎は「かぜ症候群」であり、過度におそれる必要はないといえます。特効薬こそないものの、休養することで短期間に回復することが多いです。とはいえ、慢性化するケースもあるため注意が必要となります。また、悪化して合併症を引き起こす可能性も考えられます。

予防と早期の受診が健康維持の秘訣

喉の痛みと熱が出るケースの多くはかぜやインフルエンザに罹っていると考えられます。ウイルス感染にしても、細菌感染にしても、感染しなければ症状に苦しむこともありません。

つまり、予防が大切になってきます。感染症の予防としては、外出から帰ったときの手洗いやうがいが重要です。また、感染回避だけでなく感染拡大を防ぐためのマスクの着用も見逃せないでしょう。

また、一般には感染したとしても、それだけではすべてがすべて発症するとは限りません。逆に、他の疾患があったり体力が落ちていたりすれば発症のリスクが高まるといわれています。発症時の治療法のメインが安静と栄養補給であることを考えれば、予防にも同じことがいえそうです。

しかし、発症してしまったときには、症状の推移に注意する必要があります。改善が遅いようならば早めに医療機関を受診すべきです。かぜをこじらせてもいけませんし、別の病気が隠れている可能性もあるためです。気になることがあれば、医療機関にご相談ください。

監修ドクターコメント

高橋先生

かぜ症候群にかかられた小児やご高齢の方は発熱により脱水になりやすく、また、肺炎を合併することもありますので、元気がなさそう、とか反応が乏しいなど、いつもと違うご様子の場合には早めに医療機関を受診させてあげましょう。また、なかなかのどの痛みが治らないとか、激痛の場合には、ご自身でお口の中を鏡で確認してみましょう。もし、口の奥の両脇の扁桃腺に白いものが付着していたら、細菌感染を起こしている可能性があります。溶連菌という細菌感染の場合には、こじらせると1~2週間後に腎臓を傷めて血尿が出ることもあります。もし白いものが付着していた場合には、早めに内科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。一方、かぜのひき始めの場合にはウイルス感染がメインなので、最初から抗生剤は必要ありません。安静と、ビタミンB群やビタミンCなどを含む栄養補給が重要です。かぜには特効薬・即効薬はなく、病院で行う治療はあくまでも対症療法です。日頃のストレスや働き過ぎで免疫が落ちているのかもしれません。日々の忙しさでなかなか自分自身に目を向ける時間がないと思いますが、かぜ症候群になったときこそ、御自身の身体の声に耳を傾けてあげてみてはいかがでしょう。また、現在(2020年7月)は新型コロナウイルスが猛威を奮っていますが、特効薬がない今、我々ができる最大の防御は手洗いとマスク着用、換気です。引き続きみなさんで協力して感染対策を継続していきましょう。当初、この記事ができた時には、新型コロナウイルス感染症は出現しておりませんでした。現在は新型コロナウイルス感染が疑われる患者さんを診察できる発熱外来を設置している病院がございますので、発熱、息苦しさ、味覚障害、嗅覚障害のある方は、まずは発熱外来を予約されて受診されることをお勧めいたします(なお、東京国際クリニックには発熱外来はございません)。

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