手足のしびれや痛みは首まわりが原因? 頸椎症の症状や治療方法について
頸椎症(けいついしょう)とはどのような病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
河村 純 医師(河村クリニック 院長)
頸椎症とは
頚椎に加齢性変化が生じると、骨自体が変形することがあります。骨の変形が著明になると骨棘と呼ばれる骨軟骨性隆起が生じます。もともと脊柱管が狭窄(狭いこと)しているなどの因子が関与し、この骨棘が脊髄神経を圧迫すると様々な症状が出現します。
引用:医療法人徳洲会 庄内余目病院
頸椎症の症状
片側あるいは両側の上肢にしびれや痛みが出現します。進行すると、両手を使った細かい動作(箸を使う動作・ボタンをかける動作・字を書く動作)が出来にくくなります。
また、足のしびれ・歩行障害(ふらつき、わずかな段差でつまづく)を伴うこともあります。また、道で転倒するなどの比較的軽い外傷にもかかわらず、四肢麻痺などの極めて重い症状が出現することもあります。引用:医療法人徳洲会 庄内余目病院監修ドクターの解説痛みとしびれが代表的な症状です。頸椎は首回りにあるため、上半身の諸症状に関係すると思われがちですが、下半身への神経も通っている重要な部分です。脳と身体を結ぶ神経の連絡通路と言ってもいいでしょう。したがって、足の機能などに失調をきたす場合もあり得ます。頸椎症の原因
頸椎の変化は主に加齢や外傷が原因で起こります。加齢による頸椎の変化には個人差がありますが、一般的には40歳ごろから明らかになります。高齢になるほどその変化が強くなるため、頸椎症は中高年者で多く発症します。
引用:gooヘルスケア監修ドクターの解説典型的な原因は、やはり加齢です。骨の間にあるクッションのような部分は、加齢に伴い弾力性を失っていきます。また、体のバランスが前後左右に傾いていても、頸椎の間の神経を圧迫します。いつも同じ側の手で重たい荷物などを持っていたり、猫背で、姿勢の悪い方は、生活習慣を見直してみましょう。頸椎症の検査法
X線、MRI、CT、脊髄造影検査などを行います。
引用:医療法人徳洲会 庄内余目病院監修ドクターのコメントX線撮影でおおまかな所見が付いたら、疑わしき部分をMRIで精密検査します。クッションのつぶれ具合などにより、後述する治療方法が異なってくるからです。ただし、痛みやしびれなどが、頸椎の異常によるものではない場合もあります。原因と症状を厳密に結び付けるためにも、精密検査が欠かせません。頸椎症の治療方法
●保存的治療
しびれなど症状が軽い場合は、安静、薬剤の投与、神経や硬膜外の痛み止めの注射(ブロック)、カラー装着、牽引等により治療します。
●手術による治療
保存的治療を行っても、頚部〜上肢の強い疼痛・脱力が持続する場合、上肢の動作ができにくい場合、下肢症状・排尿排便障害を伴う場合は、手術により神経の圧迫を取り除き症状の軽快や進行予防をはかる必要があります。
また、外傷後に急激に四肢麻痺の症状が出た場合には、緊急手術の適応となります。引用:医療法人徳洲会 庄内余目病院監修ドクターのコメント治療方法は症状の軽重によって異なります。軽いものなら、痛み止めのお薬とコルセットなどでも対応できます。痛みがひどい場合は、院内にて、特殊な器具を使って首のけん引を行うこともあります。外科手術を行うのは、MRIによる画像所見と患者さんの訴えている症状が一致している場合に限ります。痛みやしびれなどが、頸椎の異常によるものではないかもしれないからです。
また、器質的な原因だけでなく、頸椎症のきっかけとなった生活習慣なども改善していかなければ、いずれ再発してしまうでしょう。とくに気をつけたいのは首回りの冷えです。冷えは、神経の過敏な状態を悪化させてしまうことがあります。首回りは露出していることが多いため、クーラーの使いすぎなどにご注意ください。この記事の監修ドクター