膵石症の症状や原因、治療方法とは?
更新日:2023/03/27

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膵石症とは
膵石症とは、慢性膵炎の患者に好発する病態です。 膵液を十二指腸に分泌するための主膵管やその分枝に、膵石が生じることで引き起こされます。 膵石が生じると、主膵管からスムーズに膵液が分泌されないため圧が上昇し、腹痛・背部痛をきたすことが知られています。
ドクターの解説膵石症は、慢性膵炎の診断基準にも入ります。
慢性膵炎は、何かしらの原因で繰り返し膵臓の炎症が起きる病気ですが、その経過の中で膵石ができると考えられています。
膵石症の症状
膵石症は慢性膵炎に伴って発症する多いことから、腹痛、背部痛、食思不振、下痢など、慢性膵炎の症状が見られます。 また、膵石による膵管の閉塞、その後の内圧の上昇により激しい上腹部痛や腹部の圧痛を生じます。
ドクターの解説膵石症は、慢性膵炎の経過で発生しますが、膵石があることによって慢性膵炎の炎症が徐々に進行してしまいます。
慢性膵炎が非代償期(膵臓の機能不全状態)まで進行してしまうと、腹痛はむしろ軽減します。
また、脂肪分解ができないために脂肪便(下痢便)になり、糖代謝が増悪して糖尿病の症状も出現します。
膵石症の原因
膵石症に至る原因ははっきりとはわかっていません。 膵石の成分を分析すると、たんぱく質が固まってできた場合と、たんぱく質に炭酸カルシウムなどのミネラル分が結合し石灰化してできた場合がある、といわれています。 アルコールの継続的な過剰摂取が、膵石の生成を促している可能性が考えられています。
ドクターの解説慢性膵炎がアルコールの飲みすぎで発症することが多いことから、膵石もアルコールの炎症が疑われますが、明確な原因は判明していません。
膵石症の検査法
膵石症の検査方法には、腹部レントゲン検査、腹部超音波検査、腹部CT検査が有用です。 膵石が膵管内にあるのか、膵組織にある石灰化なのかなどの判断も可能で、治療方法の検討に役立ちます。 その他、ERCPと呼ばれる内視鏡検査もありますが、やや侵襲的であるため第一選択にはなりません。
ドクターの解説膵石症に関しては、血液検査は診断補助程度の役割しか果たさず、画像検査が主な検査方法になります。
膵石症の治療方法
膵石症による疼痛など、症状の有無で治療方針を考えます。 症状が軽い場合は、経過観察や、アルコールを禁止する・油分の多い食事をさけるなどの食事指導をします。 症状が強い場合は、ERCPと呼ばれる内視鏡治療を検討します。 内視鏡治療で取れない結石に関しては、体外衝撃派結石破砕法(ESWL)や、外科手術を行う場合もあります。 膵石の場所(主膵管か、分子膵管か)や、内視鏡治療が可能か(十二指腸狭窄がないかなど)、石の大きさ、レントゲンに写る石か、などさまざまな要素を考慮して、ベストな治療を選びます。
ドクターの解説それぞれの治療方法には、メリットとデメリットがあります。
内視鏡治療は、大きい結石である場合には難しくなります。
体外衝撃派結石破砕法は、大きい結石に対しても有効ですが、石が割れないこともあり何度か繰り返す必要があります。
外科手術では、膵管と小腸をつなぎ膵液の流れ道をつくる手術や、膵石や炎症のある場所を部分切除する手術などの選択肢があります。




