胃アニサキス症の症状や原因、治療方法とは?
更新日:2023/03/27

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胃アニサキス症とは
アニサキスとは寄生虫の一種で、長さ2-3㎝、幅0.5-1mmの白色で細長い寄生虫です。 普段は魚介類の体内に生息していますが、それを人間が摂取することでアニサキス症を発症します。 胃アニサキス症とは、アニサキスが寄生する魚介類を生食することで生きたままのアニサキスが胃壁に刺入し、その結果、胃に差し込むような強い腹痛を生じるものをさします。
ドクターの解説
アニサキスは普段は魚介類の内臓に生息していますが、その魚介類が死亡してから時間が経過すると筋肉(普段食べる部分)に移動することが知られています。
寄生するのはすべての魚に可能性はありますが、特にサバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、イカなどが有名です。
胃アニサキス症の症状
胃アニサキス症では、食後数時間経過してからみぞおちや胃に差し込むような激しい痛みが出ます。 これは摂取したアニサキスが胃壁に刺入するまでに少し時間を要するからです。同時に嘔気・嘔吐を伴うこともあります。 痛みの性状は持続する痛みではなく、グーっという強い痛みと少し楽になる痛みが波のようにくる、間欠痛も特徴です。
ドクターの解説アニサキスによる食中毒報告件数は、2016年の統計ではノロウイルス、カンピロバクターについて第3位と報告されています。
胃アニサキス症の原因
胃アニサキス症の原因は、アニサキスが寄生した魚介類を生食することで発症します。 強い腹痛の原因は、アニサキスが胃壁に刺入することですが、その物理的な痛みではなく、局所でアレルギー反応が起きていると考えられています。
ドクターの解説刺身や寿司などが代表的な食品です。
アニサキスは酢では死滅しないため、シメサバなどでも感染する可能性があります。
日本では古来より魚介類の生食文化があり、諸外国に比べても発生件数が多く、かなり古くからあった病気と考えられています。
胃アニサキス症の検査法
胃アニサキス症の検査方法は、詳細な食事歴の聴取と、胃カメラ検査です。 疑わしい食品を食べたかどうかでアニサキス症の可能性を考え、疑わしければ胃カメラ検査を施行します。 胃粘膜に潜入しているアニサキス虫体を確認することで、確定診断となります。
ドクターの解説CT検査で胃壁が肥厚している所見があること、採血検査でアニサキス抗体価が上昇していることなども参考所見ですが、これはあくまで参考にしかなりません。
胃アニサキス症の治療方法
胃アニサキス症の治療方法は、胃カメラでアニサキス虫体を取り除くことです。 虫体を取り除けば痛みは1日もたてばなくなります。 また、アニサキス自体は、人体では数日しか生きていけません。 放置しておいても4-5日すると死滅し、痛みは消えていると思います。
ドクターの解説胃アニサキス症は、多くの場合、虫体を摘出すると今までの痛みが嘘のように消失していきます。
胃アニサキス症の予防法
胃アニサキス症を予防には、生きたアニサキス虫体を摂取しないようにすることしかありません。 生食を目的として魚を購入する際は、新鮮な魚を選びすぐに内臓を取り除いてください。 また、内臓を生で食べないようにすること、さばいた断面に目視でアニサキスを確認した際は除去することも大切です。 また、アニサキスは加熱(70度以上、または60度で1分)や冷凍(-20度で24時間以上)で死滅するため、加熱・冷凍後の食品なら心配はありません。
ドクターの解説酢、塩漬け、しょうゆ、わさびではアニサキスは死滅しませんので、注意が必要です。




