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精索静脈瘤の症状・原因・治療方法とは?

 更新日:2023/03/27

精索静脈瘤(読み方:せいさくじょうみゃくりゅう)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
河瀬 勇 医師(千葉静脈瘤クリニック 院長)

精索静脈瘤とは

精索静脈瘤は精巣の血液を心臓側に戻すつる状静脈叢の拡張で、一般男性の15%に認められるとされています [1]。精索静脈瘤は精巣内の造精機能(精子を作る力)に影響を及ぼすとされており、徐々に悪影響を及ぼしていくことから男性不妊の原因の代表的なものの一つになっています。

引用:帝京大学医学部泌尿器科アンドロロジー診療「精索静脈瘤に対する顕微鏡下低位結紮術」
http://male-urology.jp/varicocele_surgery/

河瀬勇 医師 千葉静脈瘤クリニック 院長監修ドクターのコメント
精索とは精巣(睾丸)にくっついている精管・血管・神経がまとまった束です。心臓からの新しい血液は精索の動脈を通って精巣に送られ、古くなった血液は静脈を通って戻ります。この機能がうまく働かず逆流し、老廃物を含んだ古い血液がうっ滞した状態を精索静脈瘤と言います。多くは無症状ですが、痛みを伴う場合もあります。また、陰嚢の温度が上昇することにより、精巣や精子に影響を与えることもあり、男性不妊の原因にもなります。左右ある精索のうち精索静脈瘤ができるのはほとんどが左側です。思春期以降に発症することが多い病気ですが、小児にも見られます。

精索静脈瘤の症状

多くは無症状で経過することもありますが、小児においては陰のうの内容が膨れたり、痛みや重苦しい感じを訴えて来院します。成人では 男性不妊症の原因の一つであることが明らかとなり、多くは不妊症外来の診察時に発見されます。

引用:日本小児泌尿器科学会
http://jspu.jp/ippan_020.html

河瀬勇 医師 千葉静脈瘤クリニック 院長監修ドクターのコメント
小児の場合、陰嚢が腫れることや痛み、なんとなくその部分が重苦しいといった症状を訴え、小児科に来院することが多いようです。身体の構造上、左側の精巣静脈が左腎静脈に流入し周囲構造物に圧迫されやすいこともあり、左右あるうち精索静脈瘤ができるのはほとんど左側です。痛みの箇所は陰嚢の場合もあれば、鼠径部に疼痛を感じる場合もあります。思春期になると痛みだけでなく、精巣の大きさが左右で異なるといった症状になって表れる場合があり、気になる場合は手術をおこないます。成人男性の場合は不妊患者の25〜30%に見られる病態なので、男性不妊の原因の一つだと考えられています。

精索静脈瘤の原因

解剖学的な特徴として左精巣静脈は右よりも長く、左腎臓の静脈に直角に合流します。さらに、左腎静脈が大動脈と上腸間膜動脈(じょうちょうかんまくどうみゃく:腸への動脈の枝)の間にはさまれて圧迫される(ナットクラッカー現象:クルミ割り器のように血管がはさまれる)ことがあり、静脈の圧力が高くなるため、あるいは精巣静脈の逆流をふせぐ弁のしくみが不十分で、静脈血が精巣へむかって逆流をしてしまう結果、静脈瘤ができると推測されています。精索静脈瘤のいちばん大きい問題点は、造精機能(精子を作り出す働き)さらには不妊症(子どもができなくなる)との関連です。精巣の温度上昇、副腎からの内分泌物質(ホルモン)の逆流、免疫状態の変化などにより、精細管(せいさいかん:精子を作る場所)の障害や精子の成熟をさまたげるとされます。

引用:日本小児泌尿器科学会
http://jspu.jp/ippan_020.html

精索静脈瘤の検査法

触診(さわる)、視診(よくみる)でほぼ明らかとなりますが、超音波検査によって、血管がスイスチーズのように膨らんで見えたり、カラードプラ(血液の流れをみる)により描出される血液の逆流所見が特徴です。

引用:日本小児泌尿器科学会
http://jspu.jp/ippan_020.html

河瀬勇 医師 千葉静脈瘤クリニック 院長監修ドクターのコメント
精索静脈瘤の場合、多くは触診や視診、超音波検査で病気を特定できます。

精索静脈瘤の治療方法

痛みがある場合や、精巣の発育が良くない場合には手術適応と考えて良いと思われます。少なくとも思春期や成人での手術では不妊症に対して効果があることが示されていますが、将来の不妊症を予防する目的で小児期に手術適応とすべきかに関しての証拠は十分ではありません。
治療については、レントゲンの透視下で血管を塞ぐ塞栓(そくせん)療法があります。手術としては、逆流を起こしている精巣静脈をそけい部の高い位置でしばって切断する方法があります。近年ではより小さい切開で顕微鏡下に精巣静脈をしばる方法や腹腔鏡下の手術もおこなわれていて、いずれも良い治療成績をあげています。

引用:日本小児泌尿器科学会
http://jspu.jp/ippan_020.html

河瀬勇 医師 千葉静脈瘤クリニック 院長監修ドクターのコメント
精索静脈瘤になると陰嚢の温度が上昇し、精巣や精子の形成に悪影響をもたらします。そのため、男性不妊の原因の一つと言われております。また、進行性の病気なので、一人目ができたときは軽度だったものが、二人目を計画する頃には症状が進んでいて妊娠しづらくなっているということもあり、近年では二人目ができない二人目不妊の原因としても注目されています。精索静脈瘤によって精子の運動率が低下していたり、作られる精子の数が少なくなっていることが主な原因です。手術を行なうことで痛みがなくなるのはもちろん、陰嚢の大きさに左右差があったものが改善されたり、不妊の改善も見られます。子づくりを考えている夫婦の場合、不妊治療からこの病気にたどり着く場合もあります。女性側だけが熱心に不妊治療に取り組んでいたのになかなか成果が得られなかった場合、実は男性の精索静脈瘤が原因だった、という例もあります。

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