精索静脈瘤の症状・原因・治療方法とは?
精索静脈瘤(読み方:せいさくじょうみゃくりゅう)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
河瀬 勇 医師(千葉静脈瘤クリニック 院長)
精索静脈瘤とは
精索静脈瘤は精巣の血液を心臓側に戻すつる状静脈叢の拡張で、一般男性の15%に認められるとされています [1]。精索静脈瘤は精巣内の造精機能(精子を作る力)に影響を及ぼすとされており、徐々に悪影響を及ぼしていくことから男性不妊の原因の代表的なものの一つになっています。
引用:帝京大学医学部泌尿器科アンドロロジー診療「精索静脈瘤に対する顕微鏡下低位結紮術」
http://male-urology.jp/varicocele_surgery/
精索静脈瘤の症状
多くは無症状で経過することもありますが、小児においては陰のうの内容が膨れたり、痛みや重苦しい感じを訴えて来院します。成人では 男性不妊症の原因の一つであることが明らかとなり、多くは不妊症外来の診察時に発見されます。
引用:日本小児泌尿器科学会
http://jspu.jp/ippan_020.html
精索静脈瘤の原因
解剖学的な特徴として左精巣静脈は右よりも長く、左腎臓の静脈に直角に合流します。さらに、左腎静脈が大動脈と上腸間膜動脈(じょうちょうかんまくどうみゃく:腸への動脈の枝)の間にはさまれて圧迫される(ナットクラッカー現象:クルミ割り器のように血管がはさまれる)ことがあり、静脈の圧力が高くなるため、あるいは精巣静脈の逆流をふせぐ弁のしくみが不十分で、静脈血が精巣へむかって逆流をしてしまう結果、静脈瘤ができると推測されています。精索静脈瘤のいちばん大きい問題点は、造精機能(精子を作り出す働き)さらには不妊症(子どもができなくなる)との関連です。精巣の温度上昇、副腎からの内分泌物質(ホルモン)の逆流、免疫状態の変化などにより、精細管(せいさいかん:精子を作る場所)の障害や精子の成熟をさまたげるとされます。
引用:日本小児泌尿器科学会
http://jspu.jp/ippan_020.html
精索静脈瘤の検査法
触診(さわる)、視診(よくみる)でほぼ明らかとなりますが、超音波検査によって、血管がスイスチーズのように膨らんで見えたり、カラードプラ(血液の流れをみる)により描出される血液の逆流所見が特徴です。
引用:日本小児泌尿器科学会
http://jspu.jp/ippan_020.html
精索静脈瘤の治療方法
痛みがある場合や、精巣の発育が良くない場合には手術適応と考えて良いと思われます。少なくとも思春期や成人での手術では不妊症に対して効果があることが示されていますが、将来の不妊症を予防する目的で小児期に手術適応とすべきかに関しての証拠は十分ではありません。
治療については、レントゲンの透視下で血管を塞ぐ塞栓(そくせん)療法があります。手術としては、逆流を起こしている精巣静脈をそけい部の高い位置でしばって切断する方法があります。近年ではより小さい切開で顕微鏡下に精巣静脈をしばる方法や腹腔鏡下の手術もおこなわれていて、いずれも良い治療成績をあげています。引用:日本小児泌尿器科学会
http://jspu.jp/ippan_020.html