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腹圧性尿失禁の症状や原因、治療方法とは?

 更新日:2023/03/27

腹圧性尿失禁(読み方:ふくあつせいにょうしっきん)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
名城 文雄 医師 なしろハルンクリニック院長

腹圧性尿失禁とは

腹圧性尿失禁とは、腹圧を加えた時、つまり力を入れたとき、くしゃみや咳をしたときに不随意的に尿が漏れるタイプです。軽度の時は少量ですが、重度になると多量に尿が漏れる場合もあります。

引用:TENA排泄ケアセンター
https://www.tena.co.jp/professionals/about-incontinence/types-and-causes-of-incontinence/female-incontinence/

名城 文雄 医師 なしろハルンクリニック院長ドクターの解説
お腹に力が入った時に尿が漏れてしまう症状を腹圧性尿失禁と言います。重い荷物を持ち上げた時、走った時、ジャンプをした時、咳やくしゃみをした時などに出現します。そのため、おむつや尿とりパットを常時必要とし、長時間着用することで陰部が常に蒸れてしまい、さらには皮膚がかぶれて悩んでいる方も多い事でしょう。女性の4割を超える2000万人以上が腹圧性尿失禁に悩まされているといわれており、これは加齢や出産を契機に骨盤底筋群という尿道括約筋を含む骨盤底の筋肉が緩むために起こります。荷重労働や排便時の強いいきみ、喘息なども骨盤底筋を傷める原因になるといわれています。男性の場合は前立腺の手術後に発症することがあります。

腹圧性尿失禁の症状

次のような強い腹圧がかかるような動作をした時、尿が漏れてしまいます。
・咳をする、くしゃみをする、笑う
・走る、テニスやゴルフなどのスポーツをする
・重い物を持ち上げる
・坂道や階段を昇り降りする

引用:アステラス製薬 排尿トラブル改善.com
http://www.hainyou.com/w/sui/

名城 文雄 医師 なしろハルンクリニック院長ドクターの解説

腹圧性尿失禁の患者さんの具体的な症状を以下に列記します。このような症状は腹圧性尿失禁です。

・朝、目が覚めてベッドから立ち上がろうとした時に尿が漏れてしまう。
・トイレへ行こうと立ち上がった途端に尿が漏れる。
・咳やくしゃみをした時に尿が漏れる。
・笑った時に尿が漏れる。
・お子様の運動会で、縄跳びやかけっこ、綱引き等の親子競技に張り切って参加したものの、おしっこが漏れてしまい往生した。
・テニスやゴルフ、バレー等スポーツをした時に尿が漏れた。
・思い荷物を持ち上げた時に尿が漏れた。
・階段や坂道を昇り降りした際に尿が漏れた。

腹圧性尿失禁の原因

骨盤底筋が弱くなったり傷んだりする原因の最も大きなものは、出産と言われています。難産で骨盤底筋やその周りへの負担が長時間続いた場合や、多産で損傷の修復が間に合わないような場合は特にその危険性が高まります。また、加齢や、血液中の女性ホルモン濃度の低下、肥満などが、骨盤底筋の傷みの原因となります。

引用:アステラス製薬 排尿トラブル改善.com
http://www.hainyou.com/w/sui/

腹圧性尿失禁の検査法

まず問診と診察をおこないます。排尿日誌を数日間つけてもらうことで排尿状態や尿失禁の程度がわかります。ほとんどの場合、検尿とpad(パッド)テスト、エコーによる残尿量測定といった身体に負担のない検査で診断がつきます。 必要に応じて、内診台での診察、チェーン膀胱尿道造影検査、尿流動態検査、膀胱鏡検査などの詳しい検査を行うこともあります。原因を特定するために脳や脊髄の画像検査を行うこともあります。

引用:日本泌尿器科学会
http://www.urol.or.jp/public/symptom/04.html

名城 文雄 医師 なしろハルンクリニック院長ドクターの解説

腹圧性尿失禁の診断を目的として以下の検査をおこないます。

【問診】排尿状況を聴取して尿失禁の状態、尿失禁のタイプを確認します。

【排尿日誌】数日間つけてもらい排尿状況、尿失禁の程度を確認します。

【尿検査】膀胱炎等の尿路感染症の有無を確認します。

【超音波検査】尿路の異常や残尿の有無を確認します。

【尿流量測定検査】膀胱の容量、おしっこの勢い、排尿にかかる時間、残尿量を機械で測定します。尿失禁が重症で、特に手術が必要と思われる患者さんに対しては下記の検査を行う事があります。

【内診台での診察】わざと咳をして腹圧に負荷を加えて、尿の漏れ具合、尿道の動き、子宮脱や膀胱脱の有無を確認します。

【パッドテスト】水分を摂取後に決められた運動を行います。 検査の前後で尿とりパットに漏れた尿量を計測します。失禁した尿量で腹圧性尿失禁の重症度がわかります。

【膀胱鏡検査】尿道や膀胱内の状態を内視鏡で観察します。

【チェーン膀胱造影検査】膀胱内に造影剤を注入し、さらにチェーンのついたカテーテルを留置してレントゲン撮影を行います。膀胱頸部(膀胱の出口)の開大状況や、膀胱と尿道の角度を計測します。

【MRI検査】膀胱と尿道の異常、尿道括約筋の状態を確認します。

腹圧性尿失禁の治療方法

軽い「腹圧性尿失禁」の場合は、骨盤底筋訓練で尿道のまわりにある外尿道括約筋や骨盤底筋群を強くすることで、改善が期待できます。また、肥満の方や最近急に太った方では、減量が有効なことがあります。骨盤底筋訓練などの保存的療法では改善しない場合、または不満足な場合は手術の適応となります。ポリプロピレンメッシュのテープを尿道の下に通してぐらつく尿道を支える「TVT手術」または「TOT手術」は、体への負担が少なく、長期成績も優れています。

引用:日本泌尿器科学会
http://www.urol.or.jp/public/symptom/04.html

名城 文雄 医師 なしろハルンクリニック院長ドクターの解説

腹圧性尿失禁の治療としては、まず骨盤底筋訓練が行われます。尿道のまわりにある筋肉(外尿道括約筋や骨盤底筋群)を強くすることで、失禁の改善が期待できます。道具も使わずにどこでも手軽にできるうえ副作用も無く理想的な治療ですが、筋肉のトレーニングですので継続しなければ効果がでないため根気強く続けていく必要があります。たいていの泌尿器科クリニックでは骨盤底筋体操についてわかりやすく解説したパンプレットが用意されていますので問い合わせてみてください。

また肥満の方や特に最近急に太ったという方は、ダイエットにより減量する事で尿失禁が改善する事が多いです。ダイエットや骨盤底筋訓練などの保存的療法で改善しない重症な腹圧性尿失禁に対しては手術の適応となります。ポリプロピレンメッシュのテープを尿道の下に通して尿道の固定を補強する「TVT手術」または「TOT手術」は、体への負担が少なく、長期成績も優れています。

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