中心性網膜症(中心性漿液性脈絡網膜症)の症状や原因、治療方法
中心性網膜症(中心性漿液性脈絡網膜症)(読み方:ちゅうしんせいもうまくしょう、別名:ちゅうしんせいしょうえきせいみゃくらくもうまくしょう)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
鈴木 美保 医師(トヨタ眼科クリニック 院長)
目次 -INDEX-
中心性網膜症(中心性漿液性脈絡網膜症)とは
中心性漿液性脈絡網膜症は、光を感じる神経の膜である網膜の中で、最も視力に関係する部分(黄斑)に網膜剥離が発生する病気です。30~50代の働き盛りの男性に多くみられます。片方の目に発症することが多いのですが、時に、両方の目の発症することもあります。ほとんどは良好な経過をたどり自然に治ることが多い病気です。
引用:日本眼科学会
http://www.nichigan.or.jp/public/disease/momaku_tyushin.jsp
中心性網膜症(中心性漿液性脈絡網膜症)の症状
視力低下は軽い場合がほとんどです。視野の中心が暗く見える中心暗点(図2)、ものが実際よりも小さく見える小視症、ものがゆがんで見える変視症(図3)が生じることがあります。普通は網膜剥離が治ると症状は軽快しますが、何らかの見にくさが残ることが多いようです。また、網膜剥離が長い期間続いたり、再発を繰り返したりするような場合には、視力も低下してしまうこともあります。
引用:日本眼科学会
http://www.nichigan.or.jp/public/disease/momaku_tyushin.jsp
3~6か月で自然に治癒することが多いですが、なかなか水が吸収されなかったり、再発を繰り返す場合は視力低下が残ることがあります。人間は日常生活では両目を使っているため、中心性網膜症のように片目だけに症状が出る病気には気づきにくいのです。早く発見するためには、ご自身で片目ずつ隠して見え方をチェックしてみてください。上記のような症状が気になったら、一度眼科に相談してみましょう。
中心性網膜症(中心性漿液性脈絡網膜症)の原因
原因ははっきりわかっていませんが、過労や睡眠不足、精神的ストレスがたまったときに多く発症するようです。
中心性網膜症(中心性漿液性脈絡網膜症)の検査法
眼底検査で黄斑に水ぶくれが発見され、この病気が疑われた場合、診断の確定のために蛍光眼底造影という検査が行われます。腕の静脈に造影剤を注射し、それが眼球内に到達するときの様子を観察する眼底検査です。色素上皮のバリア機能が低下していると、注射後しばらくして、造影剤がある一点から漏出〈ろうしゅつ〉し(漏れ出し)、眼底に広がってくるのが確認されます。
バリア機能が回復して病気が治りつつある段階では、徐々に造影剤の漏出が少なくなります。
中心性網膜症(中心性漿液性脈絡網膜症)の治療方法
この病気は、なにも治療せずにいても3~6か月すると自然に治る病気です。ただ、経過が長引いたり再発を繰り返していると、視細胞の機能が低下して、水ぶくれがひいた後(漿液が脈絡膜に吸収された後)も、視力が元通りにならないことがありますので、そのようなケースでは積極的な治療が必要です。
治療は主に、色素上皮機能の回復を早めて網膜内に溜まっている漿液の吸収を促す目的で、レーザー光凝固術を行ったり、内服薬を服用します。