低血圧の症状・原因・治療方法のご紹介
低血圧(読み方:ていけつあつ)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
相澤 摩周 医師 医療法人相沢内科医院 院長
低血圧とは
心臓から送り出された血液が、血管内で示す圧力、つまり、血管の壁を押す力が「血圧」で、これが一定の力以上に高い状態が「高血圧」です。
血圧は水銀柱を何ミリ・メートル(mm)押し上げる力があるか、つまり水銀柱の高さ(mmHg)であらわします(Hgは水銀のこと)。
健康な若い人では120/80mmHg(収縮期血圧/拡張期血圧)くらいです。
現在、WHOでは世界共通の基準として、
「収縮期血圧が100mmHg以下」、「拡張期血圧が60mmHg以下」の場合を低血圧としています。
低血圧の症状
低血圧の症状はたくさんあります。
立ちくらみ、めまいがもっとも多い症状ですが、朝起き不良、頭痛・頭重感、倦怠感・疲労感、肩こり、動悸、胸痛・胸部圧迫感、失神発作、悪心なども起こります。
一般に、このような低血圧症は、男性よりも女性の方に多く、女性の血圧は、高齢に達するまでは男性より低くなっています。
低血圧の原因
低血圧の原因には主に以下のものが挙げられます。
(1)本態性低血圧
低血圧の中で最も多いのが、原因がよく分からない「本態性低血圧」です。
多くは体質的なものですが、両親や兄弟(姉妹)に低血圧の人がいる場合には、遺伝による可能性もあります。病院では、ほかに病気の可能性がない場合に、本態性低血圧と診断されます。(2)起立性低血圧
ベッドから起き上がったときや、いすから立ち上がったときなどに、急にフラッとするのが「起立性低血圧」です。
一般に、横になった状態から立ち上がったときに、最大血圧が20mmHg以上下がる場合に、起立性低血圧とされます。原因として、低血圧によって脳の血液量が減少しやすい場合のほか、血圧を調節する自律神経の障害によっても起こります。そのためこの起立性低血圧は、日ごろ低血圧でない人にもみられます。(3)二次性低血圧(症候性低血圧)
病気や薬が原因でおこる低血圧です。
よく知られているのは、糖尿病で血糖値コントロールがうまくいっていないときにみられる起立性低血圧です。そのほか循環器系疾患(心臓の弁や血管などに異常がある場合など)、内分泌系疾患(アジソン病など)、パーキンソン病、がん、甲状腺異常などの病気でも、低血圧を引き起こすことがあります。
また高齢者に多いものでは、薬による副作用(降圧薬など)や、食後低血圧といって食事の後にめまいやだるさを感じるタイプもあります。日ごろ高血圧気味の高齢者でも、こうした一時的な低血圧がみられることがあります。
低血圧の検査法
一般的に「収縮期血圧が100mmHg以下」、「拡張期血圧が60mmHg以下」の場合を、低血圧とよびます。
しかし、血圧が低いこと自体は、病気ではありませんので、低血圧によって治療を必要とする何らかの症状があらわれると「低血圧症」という病名がつきます。
症候性(二次性)低血圧症の場合には甲状腺機能が低下しているなど特殊な場合もあります。
低血圧にも色々な種類があるため、その原因を調べることが大切になります。
原因によって検査方法は異なりますが、血圧検査(立位と座位の血圧の差)、心臓の超音波検査、血液検査などを行い、症候性低血圧症もしくは本態性低血圧症の判断をします。
低血圧の治療方法
低血圧は、原則として治療の必要はないとされます。ただし、低血圧が疾患として問題になるのは、血圧の低下によって各臓器へ送られる血液量が減少し、めまいや頭痛、動悸などのような自覚症状や臓器の機能障害があらわれた場合であり、まずその原因を調べる必要があります。その原因となっている病気の治療が優先されます。
原因疾患の治療が適切に行われれば、血圧は正常にもどり症候性低血圧の症状も改善します。しかし、低血圧が残り、血圧上昇薬の服用が必要になる場合もあります。何か異変に気づいたら、早めに診察を受けることが重要です。また、低血圧症では食生活、睡眠、適度の運動など、生活のリズムを見直すことも大切です。
本態性低血圧の場合は、生活改善をすることが第一優先となります。
起立性低血圧症の場合には、長時間立ちっぱなしにしないことや、立ち上がる際にゆっくり立ち上がるように指導することが大切になります。