子宮頸がんの症状や原因、治療方法とは?
子宮頸がん(読み:しきゅうけいがん)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
藤田 亨 医師(皿沼クリニック 院長)
子宮頸がんとは
子宮下部の管状の部分を子宮頸部、子宮上部の袋状の部分を子宮体部と呼び、それぞれの部位に生じるがんを子宮頸がん、子宮体がんといいます。 子宮頸がんは子宮がんのうち約7割程度を占めます。以前は発症のピークが40~50歳代でしたが、最近は20~30歳代の若い女性にも増えてきており、30歳代後半がピークとなっています。
引用:日本産科婦人科学会
http://www.jsog.or.jp/public/knowledge/keigan.html
子宮頸がんの症状
初期の子宮頸がんではほとんどが無症状のため、20歳を過ぎたら2年に1度は、子宮がん検診(子宮頸部細胞診)を受けることが勧められます。
進行にしたがい、おもな自覚症状として不正性器出血(月経以外の出血)や帯下(おりもの)の増加などが見られます。下腹部痛、腰痛、下肢痛や血尿、血便、排尿障害が現れることもあります。
子宮頸がんの原因
子宮頸がんが発生する原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)に持続的に感染する事と考えられています。HPVは性交渉により感染し、多くの女性が一生に一度は感染すると言われる、ありふれたウイルスです。通常はウイルスに感染しても、異物を排除する免疫機能により排除されますが、ウイルスが排除されずに長期間感染が続く場合があり、ごく一部の人の細胞ががん化する事があります。
引用:日本医師会
https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/type/cervix/cause/
子宮頸がんの検査法
塗抹細胞診:
子宮頚部および腟の表面から細胞を採取する方法です。綿棒、ブラシ、または小さな木製のヘラを使って子宮頚部および腟から細胞を優しくこすり取る目的で行います。異常箇所があるかを確認するために採取した細胞を顕微鏡下で調べます。この方法はパップテストとも呼ばれています。ヒトパピローマウィルス(HPV)検査:
特定の種類のHPV感染のDNA(遺伝物質)を検査する検査室検査です。細胞は子宮頚部から採取され、感染が子宮頚がんに関連した種類のヒトパピローマウィルスに起因するかどうか調べます。塗抹細胞診の結果がある異常な子宮頸部細胞を示したら、この検査が行われる場合があります。この検査はHPN DNA検査とも呼ばれています。コルポ診(腟拡大鏡診):
異常箇所があるかを確認するため腟および子宮頚部を調べるためにコルポスコープ(ライトの付いた、拡大器具)を使用する方法です。組織サンプルはキューレット(スプーンの形をした器具)を用いて採取し、がんの徴候がないか顕微鏡下で調べます。生検:
異常な細胞を塗抹細胞診で認めた場合、医師は生検を行うことがあります。組織のサンプルを子宮頚部から切り取り、病理医が顕微鏡下でがん細胞があるかないかを調べます。組織はほんの少量しか切り取らないので、通院先の外来で行われます。子宮頚部円錐切除診(もう少し大きく円錐状に頚部組織を切り取る方法)を行う場合には、病院に行く必要のある場合があります。内診:
腟、子宮頚部、子宮、卵管、卵巣および直腸の検査です。医師あるいは看護師が片手に薄い手袋を着用して指を腟に挿入し、もう一方の手を下腹部に置き、子宮および卵巣の大きさ、形、位置を調べます。検鏡も腟に挿入し、医師あるいは看護師が腟または子宮頚部に病気の徴候がないか調べます。通常、子宮頚部に対してパップテストが行われます。医師あるいは看護師が薄い手袋を着用して指を直腸に挿入し、しこりや異常箇所がないか調べます。子宮頚管内掻爬術:
キューレット(スプーンの形をした器具)を用いて子宮頚管から細胞または組織を採取する方法です。組織サンプルは病気の徴候がないか顕微鏡下で調べます。この方法は時にコルポ診と同時に行われます。引用:国際医学情報センター
https://www.imic.or.jp/library/cancer/022_cervical.html
子宮頸がんの治療方法
子宮頸がんの治療方法は、手術療法、放射線療法、化学療法(抗がん剤)の3つを単独、もしくは組み合わせて行います。
異形成や上皮内がんと診断され、今後、妊娠・出産の希望がある場合には子宮を残す治療として、子宮頸部のレーザー治療や円錐型に子宮頸部を部分的に切除する手術を行います。 子宮を残す希望のない上皮内がんまでの場合や、がんの入り込みが非常に浅い場合(微小浸潤)には、子宮のみの摘出が計画されます。
がんの子宮頸部の組織中への入り込みが強い場合、既に塊を形成している場合、がんが子宮の周囲に拡がりはじめている場合には、子宮に加えて腟の一部、周辺組織、靭帯(じんたい)、リンパ節を広範囲にわたって摘出する必要があります。卵巣も摘出することがあります。がんが既に塊を形成していても、将来妊娠できるようにしたいという希望が強ければ、子宮頚部周囲を広範囲に切除して子宮体部を温存する手術(トラケレクトミー)を行うこともあります。
がんが既に、骨盤内に拡がっている場合、または他の臓器にまで及んでいる場合の治療方法としては、放射線療法単独や、もしくは最近は抗がん剤の点滴と組み合わせた放射線治療を行います。またがんが他の臓器に転移している場合や再発した場合には、抗がん剤治療を行うこともあります。引用:日本産科婦人科学会
http://www.jsog.or.jp/public/knowledge/keigan02.html