副甲状腺機能亢進症の症状・原因・治療方法
副甲状腺機能亢進症(読み方:ふくこうじょうせんきのうこうしんしょう)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
遠藤 渓 医師(遠藤クリニック 院長)
副甲状腺機能亢進症とは
副甲状腺機能亢進症とは、血液中のカルシウムが正常またはそれ以上あるのに、副甲状腺ホルモンが必要以上につくられる病気です。そのために、骨の中のカルシウムが減少して骨そしょう症(骨がやせてもろくなり骨折しやすくなる病気)になったり、腎結石(腎臓や尿管に結石が生じる病気)、消化性かいよう(胃・十二指腸などにできる)、膵炎などを引き起こすことがあります。
引用:野口病院
http://www.noguchi-med.or.jp/about-illness/hyperpara
副甲状腺機能亢進症の症状
原発性副甲状腺機能亢進症の症状は、高Ca血症によるものが中心になります。初期症状としては、イライラ感、だるさ、食欲低下など一般に体調不良で出る症状が多く、吐き気や腹痛など胃腸症状が強く出ることもあります。高Ca血症の程度が進むと、尿量が増え、脱水になります。腎臓の機能も低下します。治療がなされないままでいると、意識がなくなることもあり、生命の危機に及びます。高Ca血症があっても、症状が出ない場合もあります。PTHは高Ca血症を招くだけでなく、骨からカルシウムを奪い骨の破壊が進むため、アルカリホスファターゼ(Alkaline phosphatase、略してALPと記載されます)などの骨に関連する検査値が上昇します。そのため無症状であっても、採血検査で、高ALP血症(こうエイエルピーけっしょう)として発見されることがあります。この病気が長く続くと、骨密度(こつみつど)が低下し、いわゆる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の状態になり骨折を起こしやすくなります。また、骨から放出されたカルシウムは腎臓など様々な場所に沈着します。腎臓に沈着したカルシウムは腎結石(じんけっせき)となり、腎結石としてこの病気が発見されることもあります。
引用:慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイトKOMPAS
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000130.html
副甲状腺機能亢進症の原因
ほとんどの症例では、現在までのところ病気の原因は見つかっていません。ただ、一部の症例では遺伝子異常との関連が証明されています。
引用:慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイトKOMPAS
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000130.html副甲状腺以外にカルシウムバランスをマイナスにする病気(腎不全など)があり、そのバランスを戻そうとPTHが過剰に分泌される場合もあります。このように副甲状腺以外に病気の根源があり、二次的にPTHの量が増えた病気は、二次性副甲状腺機能亢進症(にじせいふくこうじょうせんきのうこうしんしょう)といいます。
引用:慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイトKOMPAS
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000130.html
副甲状腺機能亢進症の検査法
血液中のカルシウムの濃度と副甲状腺ホルモンが両方高く、尿中カルシウム排泄量の高い場合、副甲状腺機能亢進症と診断されます。家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症(遺伝性の病気で尿にカルシウムを排出しにくいので、血液中のカルシウムが高くなる病気で、手術は必要なく経過観察だけでよい病気)の方も同じような検査結果のことがありますが、尿中のカルシウム排泄量を測定しますので識別できます。
引用:野口病院
http://www.noguchi-med.or.jp/about-illness/hyperpara
副甲状腺機能亢進症の治療方法
高カルシウム血症や骨塩量の低下などがあり、病的副甲状腺腫大の部位診断ができれば、治療の対象となります。
腺腫
術式:腫大した副甲状腺を摘出
病態:4つの副甲状腺のうち、普通は1つの腺のみが腫大します。過形成
術式:副甲状腺全摘(普通は4腺のためこれらを全部摘出)し、一部を自家移植
病態:4つの腺がいずれも腫大します。家族性に発生したり、脳下垂体、膵臓、甲状腺などの他の臓器も異常を伴うことがあります。癌(疑い)
術式:周囲組織(甲状腺の一部、リンパ節など)を含めて切除
病態:癌の場合、普通は1腺のみが腫大し、周りに浸潤したり、転移することもあります。