停留精巣の症状・原因・治療方法について
停留精巣(読み方:ていりゅうせいそう)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
名城 文雄 医師 なしろハルンクリニック院長
停留精巣とは
停留精巣(潜在精巣)とは、出生直前に陰嚢(いんのう)の中に下りてくるはずの精巣が腹部にとどまったままになっている状態です。移動性精巣とは、精巣が陰嚢の中まで下りてきているにもかかわらず、刺激に反応して容易に鼠径管(そけいかん)の中に戻ってしまう(移動する)ことです。
男児100人のうち約3人の割合で、出生時にこの停留精巣がみられます。それでも、ほとんどの場合は、生後6カ月頃までに精巣が自然に下りてきます。早産で生まれた男児や、停留精巣の家族歴がある男児は、停留精巣になりやすい傾向があります。患児のうち約10%では両側にみられます。
引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/23-小児の健康上の問題/乳児と幼児における健康上の問題/停留精巣と移動性精巣
停留精巣の症状
停留精巣に症状はありません。しかし停留した精巣が腹腔内でねじれる(精巣捻転— 精巣捻転を参照)場合があり、こうなると成長後の精子の産生に支障をきたし、ヘルニアと精巣腫瘍のリスクが高まります。1歳の時点で精巣が下りてこない場合は、手術で精巣を陰嚢まで下ろします。
移動性(遊走)精巣とは、陰嚢の中に下りてきた精巣が陰嚢と腹部の間で容易に行ったり来たりする状態です。移動性精巣は、がんその他の合併症を引き起こすことはありません。思春期までには精巣は動かなくなるため、手術その他の治療は必要ありません。
引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/23-小児の健康上の問題/乳児と幼児における健康上の問題/停留精巣と移動性精巣
停留精巣の原因
停留精巣の正確な原因は不明です。遺伝的要因や母体要因、環境要因などが、胎児期のホルモンの産生や神経系の成育、体の成育に影響を与え、停留精巣になると考えられています。
停留精巣の検査法
新生児の時期に注意深く陰嚢を触れば精巣が触れるかどうかわかります。精巣は6ヶ月までは自然下降が期待できますからそのまま様子を見てかまいません。6ヶ月をこえても精巣を陰嚢内に触れない場合は治療を考える必要があります。丁寧に診察して陰嚢内に精巣が触れるかどうかが検査としては最も重要です。
引用:東京女子医科大学病院 泌尿器科 腎臓病総合医療センター
http://www.twmu.ac.jp/KC/Urology/disease/child/testicle/
停留精巣の治療方法
治療の基本は手術的に精巣を本来の陰嚢内に固定することです。手術時期は自然下降の時期や妊孕性の面から1歳前後から2歳頃までに行うことが薦められています。非触知精巣の場合は術前に超音波検査(場合によりMRI)などでその位置を検索する場合もありますが、腹腔鏡という内視鏡的な検査・手術法を併用して検索して、下降、固定することができます。その際、精巣が痕跡的な組織の場合は摘除術が選択されます。自然下降を促進する目的で性腺刺激ホルモンを投与する方法もありますが、一般的ではなく、普及していません。
引用:日本泌尿器科学会
https://www.urol.or.jp/public/symptom/10.html