食物アレルギーの検査法や治療方法をご案内
食物アレルギー(読み方:しょくもつあれるぎー)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
時枝 啓介 医師 ときえだ小児科クリニック 院長
食物アレルギーとは
私たちの体には、有害な細菌やウイルスなどの病原体から体を守る「免疫」という働きがあります。食物アレルギーはこの「免疫」が本来無害なはずの食べ物に対して過敏に反応してしまうようになった状態のことをいいます。
引用:日本ハム株式会社 食物アレルギーねっと
https://www.food-allergy.jp/info/about/
食物アレルギーの症状
食物アレルギーの症状の多くはじんましんやそれに伴うかゆみなどの皮膚症状ですが、人によっては消化器や呼吸器などに症状が出たり、全身性症状がみられる場合もあります。また、原因となる食物を食べてから症状が出るまでの時間は通常2時間以内ですが、なかには4~6時間以上過ぎてから症状が出ることもあります。
引用:サノフィ アレルギーi
https://www.allergy-i.jp/kayumi/food-allergy/allergy-book/basic-03.html
食物アレルギーの原因
鶏卵、牛乳、小麦は“3大アレルゲン”とよばれます。この他にも食物アレルギーの原因となる食物には、そばやピーナッツ、えび・かになどの甲殻類、果物、豆類など幅広くあげられます。どの食物がアレルギーの原因になることが多いのかは年齢によって大きく異なり、乳幼児にとっての主な原因食物は3大アレルゲンである鶏卵、牛乳、小麦ですが、学童期以降になると甲殻類や果物類、小麦などが主な原因食物となります。
引用:マイラン「アナフィラキシーってなあに.jp」
https://allergy72.jp/food-allergy/symptom.html
食物アレルギーの検査法
ステップ1:問診
問診は原因食物を診断するために最も大切な過程です。症状を起こした半日前からの食べたもの、触った食品などを記録して具体的に詳しく話しましょう。
「食物日誌」を利用して、日ごろの食事内容を記録することも役に立ちます。
じんましんなどアレルギー症状が出たら食べた加工食品などの食品表示ラベルを保管しておきます。ステップ2:検査
問診で浮かび上がった疑わしい食物についてはアレルギー検査を行います。
IgE抗体を証明する方法として、血液検査、皮膚試験があります。ステップ3:食物経口負荷試験
問診やアレルギー検査でも診断がつかない場合は、疑わしい食物を一品ずつ少しずつ実際に食べてみてアレルギー症状が出るか調べます。この検査は、アナフィラキシーのようなアレルギー症状が出るおそれがあるので、医療機関で医師や看護師がみているところで行います。引用:ニッポンハム 食の未来財団
https://www.miraizaidan.or.jp/allergy/diagnosis.html
感作されているかどうかを調べるテストとして、IgE抗体検査、皮膚テスト(ブリックテスト)などがあります。これらが陽性であっても、耐性獲得の有無を見なければ最終的に食物アレルギーの診断はできません。離乳食開始前に検査をして、その結果のみで除去食を始めたり、食べられているにもかかわらず検査で陽性なので除去を始めたり、というのは検査の意味を理解していない誤った対応です。
実際に食べられるかどうかを調べる検査としては、経口食物負荷試験(チャレンジテスト)があります。これがクリアーできれば、IgE抗体検査や皮膚テストが陽性であっても、すでに耐性を獲得しているので食物アレルギーは治癒したと考えます。最終診断では、この検査を必ずやらないといけません。但し、食べられる場合は問題ないですが食べられない場合は症状が出るので、家で食べさせることは絶対にいけません。必ず病院で何が起きても大丈夫な体制で、この検査を行います。
食物アレルギーの治療方法
食物アレルギーの治療では、原因となっている食物を必要最小限に除去し、アレルギー反応を起こさないようにすることが最も重要になります。ただし、食物アレルギーは成長いちじるしいお子さんに多いため、除去した食物を補う栄養指導も必要です。また、原因食物を誤って食べてしまい、症状が出てしまった場合には、お薬を使って早めに適切な処置をすることが大切です。
引用:サノフィ アレルギーi
https://www.allergy-i.jp/kayumi/food-allergy/allergy-book/basic-05.html
食物アレルギーに対する考え方は、日進月歩で進歩しています。
代表的な例が、昔は「離乳食はなるべく遅らせましょう。」「食物アレルギーの原因となる代表的なもの(卵や小麦、大豆、牛乳など)は、離乳食を始めたらなるべく最後に与えましょう。」といったことが指導されてきました。
アメリカのアレルギー学会ではピーナッツアレルギー予防のため、生後早期(3~4か月)から極少量のピーナッツパウダーを赤ちゃんに与えるよう提言が出されました。日本でも国立成育医療センターから、卵アレルギー発症リスクのある赤ちゃんに、少量の卵白抗原を生後6か月から与えると、1歳でのアレルギー発症が有意に抑制できたと報告されています。
同じ非自己である外来たんぱく質(例えばウイルスと食物)の一方は抗体が産生され、他方は抗体産生が起こりません。なぜ、このような違いが生じるのかという疑問の答えとして、そのたんぱく質が最初にどの経路で体内に入ってくるかがとても重要な要素なのです。消化管から初めて入ってくればそのたんぱく質には免疫が誘導されない(抗体が産生されない)スイッチがあるようなのです。ですから離乳食を遅らせるとその食物たんぱく質が間違って(皮膚など消化管以外の経路で)最初に体内に入ると抗体が産生され、初めて食べた時に(既に産生された抗体によって)食物アレルギー症状が引き起こされると考えられています。