てんかんの症状や原因、治療方法とは?
てんかんとはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントを交えつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
村上 友太 医師(東京予防クリニック)
てんかんとは
脳は、神経細胞同士で電気的なやり取りを行うことで、機能しています。
てんかんとは、この電気的なやり取りが乱れて、部分的に、または、全体に、激しい電気的な乱れを起こした状態がみられる脳の疾患です。
電気的な乱れがおきた部位に応じて症状が異なり、ガクガクと手足や全身にけいれんが起きたり、急にボーっとして反応が鈍くなったりするなど、さまざまな症状が出現します。
意識を失ってけいれんする印象が強いと思いますが、それ以外の症状でも発作が起きている状態であれば、体の自由がきかなくなります。
てんかんでは、発作が起きないことが確認できるまで(最低2年間)は、自動車の運転は禁止です。
てんかんの症状
てんかんは、発作が起きていないときには無症状ですが、発作が起こったときには電気的な乱れが起きた部位に応じた症状が出現します。
意識を失わずに部分的にけいれんするもの、意識を失い全身がけいれんするもの、痙攣がなく意識障害を伴うもの、といったように発作の症状は多彩です。
てんかんでは、発作が落ち着いた後もボーっとした状態が続く、けいれん後にけいれんが起きた手足に麻痺が起きることがあります(トッド麻痺)。
また、発作時の記憶がないため、発作を起こした本人には発作を起こした自覚がないことも多くみられます。
てんかんの発作の症状は多彩ですが、患者さん個人の発作の症状は、ある程度決まっていることが多いといわれます。
突然に普段と様子が異なるような症状があって、同じようなことが繰り返しみられる場合には、けいれんしていなくても、てんかんの症状である可能性があります。
てんかんの原因
てんかんは、原因の有無によって2種類に分かれます。
原因不明である特発性てんかんと、原因が判明している症候性てんかんです。
特発性てんかんは、遺伝的な要因や発達障害、加齢などが関連していると考えられています。症候性てんかんは、脳炎や脳腫瘍、脳出血などによる脳細胞の障害が原因といわれています。
脳出血や脳炎の急性期の発作や薬物などの影響で出現するなど、一時的な外的要因で起きたものは急性症候性発作といわれ、てんかんとは区別して扱われます。また、てんかんとは異なりますが、過度なストレスにより発症する心因性発作でも類似の症状が出現します。
てんかんの検査法
てんかんの検査では、脳波検査や頭部MRI検査を行います。
脳波は、発作がでていない時には異常がない場合もあり、診断が困難な場合には、持続脳波モニタリングを行うこともあります。
てんかんは、発作が出ていないときの検査では異常がみつからないこともあり、診断には病歴(発症状況や発作時の症状、発作の頻度など)や過去にかかった病気(既往歴)、内服している薬剤、生活状況などに関する問診が、非常に重要です。
発作時の状況は本人ではわからないことも多いため、発作をみた家族と一緒に医療機関を受診してください。
てんかんは、診断された場合に運転が2年間禁止になる、継続的に抗てんかん薬の服用が必要になるなど、生活での制限が大きな疾患であるため、診断には特に注意を要する疾患です。
症候性てんかんは脳梗塞や脳出血、開頭手術などで脳に器質的な障害を受けたあと、障害を受けた神経細胞が異常な活動を起こすことが原因であるため、診断しやすくなります。
しかし、特発性てんかんは、けいれんや意識障害などの同様の症状を起こす急性症候性発作や心因性発作などと鑑別が難しいこともあります。そのような場合には、てんかんを専門とした医療機関(てんかんセンターなど)で、精密検査を必要とすることもあります。
てんかんの治療方法
てんかんの治療は、抗てんかん薬の内服が主ですが、局所的な異常が原因となる場合には手術を行うこともあります。
複数の抗てんかん薬を数年間にわたって服用しても発作を抑えることが難しい場合、外科的治療を検討します。
てんかん治療に関わる脳神経内科・脳神経外科・精神科・小児科の医師だけでなく、リハビリスタッフや心理士など他職種間で行うカンファランスで、治療方針を話し合います。
てんかんの予防法
予防法は特にありません。てんかんの中には、発熱などの体調不良や不眠、ストレス、過換気などが誘因になるものもあります。そのため、規則正しい生活を行い、感染予防をしっかり行うことが予防につながります。