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舌にぶつぶつができた!原因となる疾患や治療法、病院を受診する目安について解説

 公開日:2024/12/21
舌にぶつぶつができた!原因となる疾患や治療法、病院を受診する目安について解説

舌は、全身の健康状態をはかるバロメーターといわれることがあり、日々の体調によっていろいろな変化が現れます。そんな舌にぶつぶつができた場合は、細菌やウイルスへの感染によって引き起こされる病気や舌そのものに生じた異常などが疑われるため、症状が強い場合は専門の医療機関への受診が推奨されます。ここではそんな舌にぶつぶつができた場合の原因となる疾患や治療法、病院を受診する目安などを詳しく解説します。

舌のぶつぶつについて

舌のぶつぶつにはどのような種類のものがありますか?
ひと言で“舌のぶつぶつ”といっても、人によって表しているものが異なる場合があります。 舌のぶつぶつという表現が最も合っているのは「イチゴ舌」です。舌が赤く腫れて、ぶつぶつとした凹凸が舌背全体に広がることから、果物のイチゴのように見えます。舌の表面に複数の口内炎や水ぶくれなどが生じた場合も、見た人によっては舌のぶつぶつと表現する場合もあるでしょう。いずれにしてもその背景には、何らかの疾患や異常があることに間違いはありません。
イチゴ舌とはどのような状態ですか?
正常な舌はきれいなピンク色をしていますが、イチゴ舌になると赤く腫れて舌背に無数の凹凸が現れ、本物のイチゴのような見た目になります。これは舌背にある舌乳頭の糸状突起が抜け落ちて、キノコ状の突起だけが残ることが原因で現れる症状です。イチゴ舌では、顕著な接触痛は見られにくいのですが、舌に違和感が生じることは多いです。
イチゴ舌になる原因について教えてください。
イチゴ舌になる原因としては、溶連菌感染症(ようれんきんかんせんしょう)と川崎病と2つが挙げられます。・溶連菌感染症
溶連菌感染症とは、溶血性連鎖球菌(ようけつせいれんさきゅうきん)という細菌が喉に感染することで発症する病気です。発熱や喉の痛み、手足の発疹に加えて、舌の表面にぶつぶつが生じるイチゴ舌の症状も現れることがあります。 溶連菌への感染は、簡易的な診断キットによる検査や血液検査、培養検査などで調べることができますので、イチゴ舌の症状が見られた場合は、できるだけ早く専門の医療機関を受診しましょう。溶連菌感染症は、抗生剤を10日程度、服用することで症状が改善していきます。痛みや発熱に対しては、解熱鎮痛剤を用います。

・川崎病
川崎病とは、全身の血管壁に炎症が起こる病気です。川崎病の原因は解明されていませんが、もともと遺伝的な要因を持った小児が特定の微生物に感染することで、異常な免疫反応が引き起こされるものと考えられています。 川崎病を発症すると目が赤くなり、口腔や膣の粘膜に赤い発疹が現れます。その際、舌にぶつぶつができるイチゴ舌も見られ、唇は赤く乾いてひび割れることもあります。その後も手足が腫れたり、皮膚がむけ始めたりするなど、全身にまで症状が広がっていきます。 そんな川崎病は、できるだけ早期に治療を開始するのが望ましいです。具体的には、免疫グロブリンを静脈投与し、アスピリンを経口投与します。治療の開始が遅れると、冠動脈疾患のリスクが上昇するため、十分な注意が必要です。

イチゴ舌以外の舌にぶつぶつができる疾患

舌にぶつぶつができる疾患にはどのようなものがありますか?
舌にぶつぶつができる疾患としては、アフタ性口内炎、ウイルス性口内炎、口腔扁平苔癬、舌扁桃炎、舌がんなどが挙げられます。それぞれの病気で現れるぶつぶつの症状は、原因や治療法には違いがあるため、専門の医療機関で診察を受けて、正確な診断を下す必要があります。
アフタ性口内炎の症状と治療法について教えてください。
アフタ性口内炎とは、ストレスや疲労などで全身の免疫力が低下した際に発症しやすい口内炎です。口腔粘膜に2〜10mm程度の口内炎が単独、もしくは複数個が群がって発生し、10〜14日ほどで自然に消失します。それが舌背に現れると、舌にぶつぶつができたと感じる場合もあるでしょう。【治療法】
アフタ性口内炎は、基本的に自然治癒する病気なので、必ずしも医療機関での治療が必要となるわけではありません。ただ、口内炎の症状が強い場合は、医療機関で処方されたステロイド剤を使って、痛みを抑えることが大切です。ケースによっては、うがい薬やビタミン剤なども併用します。
ウイルス性口内炎の症状と治療法について教えてください。
ヘルペスウイルスなどに感染して生じる口内炎を「ウイルス性口内炎」といいます。単純ヘルペスウイルスが主な病原体で、舌背に多数の水疱が生じたり、発熱などの全身症状を伴ったりします。【治療法】
ウイルス性口内炎では、抗ウイルス薬を使った治療が行われます。痛みや腫れが強い場合は、消炎鎮痛薬を用いて、二次感染の予防には抗菌薬の投与が行われます。全身症状が強く現れる重症例では、入院治療が必要となることもあるため十分な注意が必要です。
口腔扁平苔癬の症状と治療法について教えてください。
口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん)とは、口腔粘膜において炎症性の角化異常を示す病気です。原因は不明ですが、細胞性免疫が関係していると考えられています。白いすじ模様が網目状や環状に見られ、発赤やびらんを伴うこともあります。口腔扁平苔癬の症状は、頬粘膜に認められやすいのですが舌に現れることもあり、それをぶつぶつができたと感じる人もいます。【治療法】
口腔扁平苔癬には、根本治療はありません。対症療法として、副腎皮質ステロイド軟膏や噴霧剤、貼付剤などが用いられます。重症例では、副腎皮質ステロイド薬やビタミンAの全身投与を行うことがあります。
舌扁桃炎の症状と治療法について教えてください。
舌の側縁後方で多数の舌小胞が集まったものを舌扁桃(ぜつへんとう)と呼び、そこに炎症が起こる病気を舌扁桃炎といいます。中年の女性に好発し、小児ではほとんど見られません。舌扁桃炎になると、舌の後方側縁に結節状に隆起した腫瘤が対称的に認められます。ぶつぶつの大きさは、米粒大から大豆大までさまざまで、違和感や疼痛を訴えることも珍しくはありません。【治療法】
舌扁桃炎は、基本的に治療は必要ありません。痛みなどの症状が強く現れている場合は、患部に薬剤を直接、噴霧したり、軟膏を塗布したりします。その他、必要に応じて鎮痛剤や解熱剤なども使用します。
舌がんの症状と治療法について教えてください。
舌に生じる悪性腫瘍を舌がんといいます。臼歯部の舌縁が最も後発しやすい部位で、舌尖や舌背の発生頻度は比較的少ないです。患部には、ピリピリとした痛みが生じるだけでなく、腫瘤や潰瘍も見られます。重症例では、舌全体が硬くなり、舌が動かしにくくなるなどの症状も現れます。【治療法】
舌がんの治療法は、外科手術による患部の摘出が原則となります。進行度に応じて切除する範囲が変わってくるため、予後にも大きな違いが見られます。進行度が浅い舌がんであれば、放射線療法で根治させることも不可能ではありません。

舌にぶつぶつができた際に病院を受診する目安

舌にぶつぶつができた際に病院を受診する目安

舌にぶつぶつができた際に病院を受診する目安について教えてください。
舌のぶつぶつがこれまで経験したことのない症状で、強い痛みや発熱、全身の倦怠感などを伴う場合は、早急に専門の医療機関を受診しましょう。これまで経験したことのある症状であっても、舌のぶつぶつがなかなか治らない、時間の経過とともに症状が重たくなっていると感じた場合は、できるだけ早く専門家に診てもらった方が良いといえます。
舌のぶつぶつを放置するとどうなりますか?
舌のぶつぶつの中には正常なものもあるため、必ず医療機関を受診しなければならないというわけではありません。例えば、日常的に生じるアフタ性口内炎が原因で舌にぶつぶつができているのであれば、放置していてもそれほど大きな問題には発展しないでしょう。それ以外の病気が原因で舌にぶつぶつができている場合は、基本的に放置はせず、医療機関での診察を受けた方が良いといえます。舌のぶつぶつの背景には、舌がんなどの重大な疾患の可能性もあるので、できるだけ早く医療機関で受診するようにしましょう。
舌のぶつぶつについて、何科を受診すれば良いでしょうか?
舌のぶつぶつが認められたら、耳鼻咽喉科や歯科、口腔外科などを受診すると良いです。口腔粘膜以外にも症状が現れている場合は、耳鼻咽喉科の受診が推奨されます。

編集部まとめ

このように、舌のぶつぶつが出来た場合は、イチゴ舌という症状が疑われます。イチゴ舌の背景には、溶連菌感染症や川崎病といった深刻な病気が潜んでいる場合があるため、十分な注意が必要といえます。また、舌のぶつぶつは、イチゴ舌以外でもアフタ性口内炎や口腔扁平苔癬、舌がんなどでも見られることがあるため、心配になったらまずは耳鼻咽喉科や歯科、口腔外科を受診することをおすすめします。

参考文献

この記事の監修歯科医師
酒向 誠歯科医師(酒向歯科口腔外科クリニック院長 東京女子医科大学口腔外科 非常勤講師 聖路加国際病院歯科口腔外科 非常勤嘱託)

酒向 誠歯科医師(酒向歯科口腔外科クリニック院長 東京女子医科大学口腔外科 非常勤講師 聖路加国際病院歯科口腔外科 非常勤嘱託)

1980年: 愛知学院大学歯学部入学 1986年: 愛知学院大学歯学部卒業 1986年: 愛知学院大学歯学部歯学研究科入学 1990年: 愛知学院大学歯学部歯学研究科卒業 1990年: 愛知学院大学歯学部第2口腔外科講座非常勤助手 1990年: 名古屋第一赤十字病院歯科口腔外科勤務 1993年: 東京女子医科大学歯科口腔外科学講座非常勤助手 1995年: 聖路加国際病院歯科口腔外科勤務 1998年: 東京女子医学大学歯科口腔外科学講座非常勤講師 2005年: 聖路加国際病院退職、酒向歯科口腔外科クリニック開業 2017年: 日本口腔科学会 認定医取得(5/31) 2020年: 日本口蓋裂学会 口腔外科 認定師取得(4/1) 2021年: 日本口腔ケア学会 評議員 2021年: 国際歯学会(ICD ) フェロー認定

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