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インプラント治療の流れを詳しく解説|手術後の注意点や治療にかかる時間もご紹介

 公開日:2024/12/19

歯科におけるインプラントとは、歯を失った際に生体素材で作られた歯根を埋め込んでその上に人工歯を取り付ける治療です。

天然歯と近い力で噛めて寿命も長いので、インプラント治療を受けたいと考えている方もいるでしょう。

インプラント治療がどのような流れで行われるのか、治療を受ける前にあらかじめ知っておきたい方も多いのではないでしょうか。

そこでこちらでは、インプラント治療の流れ・注意点・かかる期間・費用の目安などについてご紹介していきます。

インプラント治療を受けたいけれど迷っているという方は、ぜひ参考にしてください。

インプラント治療の流れ

インプラント

インプラントの治療を考えている方は、どのような流れで治療が行われるのかあらかじめ知っておくと安心です。

インプラント治療の一般的な流れは以下の通りです。

  • カウンセリング
  • 手術前検査
  • 治療計画の設計
  • インプラント手術
  • 手術後のメンテナンス

こちらで、インプラント治療の流れを詳しくみていきましょう。

カウンセリング

実際にインプラント治療が開始される前に、まずはカウンセリングが行われるのが一般的です。

カウンセリングでは既往歴・現在の持病・アレルギーなどを聞かれるケースが多いでしょう。

カウンセリングの結果インプラントが禁忌となっている疾患がある場合には、治療が受けられないこともあります。

特にご高齢の方で、既往症がある場合はインプラント治療を受けられない可能性があります。血液疾患や心臓疾患はリスクが高いため、インプラント治療はできません。

糖尿病の方も血糖値のコントロールができていない方は感染症のリスクが高くなるため、難しいでしょう。

血液をさらさらにする薬は血が止まりにくくなることがあるため、服用している方も注意が必要です。

既往症がある場合・基礎疾患がある場合・服用している薬がある場合は必ず歯科医師に相談し、インプラント治療を受けられるかどうかをよく確認しましょう。

またインプラント治療では外科的手術が行われるため、手術に対する不安や費用などについてカウンセリングで歯科医師に相談しておくと安心です。

手術前検査

看護師と患者

インプラント治療を行う前には、事前に次のような検査が行われます。

  • CT検査
  • パノラマX線撮影
  • 血液検査
  • 血圧測定
  • 心電図
  • 歯周病検査
  • 歯周病検査

インプラントの治療ではあごの骨に人工の歯根を埋め込む必要があるため、CT検査などを行って三次元的に診断をする必要があります。

また、歯周病にかかった状態でインプラント治療を行ってしまうとインプラント周囲炎を発症する危険があるため、歯周病検査が行われるのが一般的です。

歯周病がある場合は、インプラント治療の前に歯周病の治療を行う必要があります。

そのほか、申告した疾患以外の病気が隠れていないかどうかを確認するために、血液検査が行われます。

治療計画の設計

行われた検査をもとに、治療の方針が立てられます。
さらに、インフォームドコンセントが実施され、手術に関すること・上部構造の種類・費用に関すること・トラブルが発生した場合のことなどについての説明が行われます。

治療方針に関して理解したら同意書に記入する必要があるので、疑問に思った点はここでしっかり質問をしておきましょう。

インプラント手術

インプラントの手術には1回法と2回法があります。1回法は、インプラント体を埋め込むのと同時にアバットメントの装着も行う方法です。

2回法では、インプラント体を埋め込んだ後一旦歯茎を縫合します(一次手術)。その後一定の安静期間を経た後にアバットメントが装着されます(二次手術)。

1回法は身体にかかる負担が減らせるメリットがある反面、細菌感染のリスクが高まる可能性がある点を理解しておきましょう。

一方、2回法は細菌感染のリスクが減らせる点や、さまざまな症例に対応しやすいというメリットがあります。

しかし、その分患者の身体にかかる負担が大きくなる点がデメリットといえるでしょう。通院の回数も多くなり、インプラント治療にかかる期間も1回法に比べると長くかかるでしょう。

2回法の一次手術を行う際には麻酔を行った後に粘膜骨膜を切開し、インプラント体を埋め込む部位の顎骨を露出させます。

その後、インプラント体を埋め込む部分にドリルを使用して穴を開けます。

器具を使用してドリルで開けた後にインプラント体を埋めたら穴の上部にカバーを付け、縫合をして完了です。

2回法の二次手術では、麻酔後に粘膜骨膜を切開し、粘膜を円筒状に除去した後、カバースクリューを除去します。

インプラント体の周囲の骨を調整した後、仮のアバットメントを連結して切開部分を縫合します。

正式なアバットメントに交換されるのは周りの粘膜の傷が治ってからで、3週間後くらいに行われることが多いです。

その後、型取りを行って仮の上部構造が作られ、噛み合わせや形状などに問題がなければ正式な上部構造が装着されて手術が完了します。

手術後のメンテナンス

看護師と患者

インプラントは手術をして終わりではなく、その後のメンテナンスも非常に大事です。メンテナンスが適切に行われなかった場合、インプラント周囲のトラブルが増えるといわれています。

メンテナンスではインプラント体周囲の骨の吸収状況の確認やかみ合わせのチェック等が行われます。

また、普段の歯磨きを適切に行うことも重要です。歯科衛生士から指導を受け、専用の歯ブラシを使用して行うのが良いでしょう。

歯科医院でのメンテナンスはインプラントを装着してから1年までの間は1ヶ月後・3ヶ月後・6ヶ月後・1年後と頻繁に行われるのが一般的です。

それ以降は、通常年に1回程度行われます。

インプラント手術後の注意点

歯が痛い女性

インプラントの手術を受けたあとは、過ごし方・食事・飲酒などに注意が必要です。どのような点に注意すれば良いのか詳しくみていきましょう。

術後数時間は食事を控える

インプラント手術後は手術を行った部位に麻酔が効いた状態です。麻酔が効いている間は口もとの感覚がなくなった状態なので、手術後すぐに食事を行うとやけどや舌を噛む危険があります。

そのため食事は麻酔が切れてから行うようにしましょう。麻酔が切れるまでには、一般的に局所麻酔の場合は2〜3時間、静脈内鎮静法を行った場合は3〜4時間掛かります。

どうしてもお腹が空いてしまった場合には、飲み物・ゼリー・おかゆ・スープなど噛まずに摂れるものを活用すると良いでしょう。

麻酔が切れた後も、硬いもの・熱いもの・刺激物はなるべく避けるようにし、手術を行った部位とは反対側で噛むことをおすすめします。

また、食後の歯磨きに関しても1週間〜10日程度は手術した部位に行わないように注意が必要です。

手術した部位の歯磨きができない間は、うがい薬を活用して清潔を保つようにしましょう。

アルコールを控える

赤ワイン

アルコールを摂取すると血行が良くなるため、インプラント手術後すぐに飲酒をすると出血が多くなったり、痛みが強くなったりする危険があります。

アルコールの摂取は、少なくても手術後2〜3日は控えるようにしましょう。できれば1週間程度は控えるとベターです。

また、インプラント手術後は飲酒だけではなく喫煙も良くありません。喫煙を行うと歯肉の血行が悪くなる可能性があり、粘膜の傷の治りが遅くなる危険があります。

ひどい場合には化膿してしまうことも考えられるので、少なくとも手術後1週間程度は禁煙するようにしましょう。

痛みが出たら歯科医に相談する

インプラント手術後に麻酔が切れると痛みが出ることがあります。そのため、痛み止めが処方されることも多いです。

痛みが出た場合は、歯科医師から処方された痛み止めや市販の痛み止めで対処しましょう。

手術後の痛みは1週間程度で落ち着くのが一般的です。痛みが強い場合や痛み止めが効かない場合には歯科医師に相談しましょう。

十分に止血をする

インプラント手術後には手術を行った部位の止血をしっかり行いましょう。歯科医院で止血を行ってもらった後も、自分で止血をします。

清潔なガーゼなどを噛んで圧迫止血を行い、10〜15分程度で新しいガーゼと交換しましょう。

適切な止血を行っていれば、翌日には出血がおさまってくるのが一般的です。出血が止まらないようであれば、手術を受けた歯科医師に相談をしましょう。

インプラント手術の痛み

看護師と患者

インプラント手術では麻酔が行われます。麻酔は通常の虫歯の治療でも行われる局所麻酔のほか、静脈内鎮静法が併用されるケースもあります。

静脈内鎮静法は意識はあるけれど眠っているような状態になるため、手術に対する恐怖心が強い場合などに有効です。

麻酔を行っているため通常は手術中に痛みを感じることはありませんが、麻酔の効きが良くなかった場合は、麻酔が切れてきた場合などには痛みを感じる可能性もあります。

麻酔の注射を行う際に痛みを感じることもありますが、表面麻酔が行われる場合は痛みを感じにくいといえるでしょう。

そのほか、インプラント手術で痛みを感じる可能性があるのは麻酔が切れた後と抜糸の時です。

痛みの感じ方や手術に対する恐怖心には個人差があるため、不安な方は事前に歯科医師に相談することをおすすめします。

インプラント治療にかかる時間

時計

インプラント治療で行われる外科的手術はどのくらいの時間がかかるのか、また、トータルでの治療期間はどのくらいかかるのか知っておきたい方も多いのではないでしょうか。

インプラント治療にかかる時間はどのくらいなのか詳しくご紹介していきます。

1本あたりの手術時間の目安

インプラント1本当たりの手術時間は、1回法と2回法で異なります。1回法の場合、15〜20分程度のことが多いでしょう。

2回法の場合は、1回目の手術が10~15分程度、2回目の手術が5~10分程度です。

この時間はあくまでも目安なので、さらに時間がかかるケースもあると思っておきましょう。

また、歯をすべて失っている場合などに行われるAll-on-4(オールオンフォー)の場合には、40〜60分程度が目安となります。

トータルの治療期間の目安

カレンダー

インプラント治療ではすぐに手術が行われるわけではありません、手術前にカウンセリング・検査・治療方針の決定などが行われます。

検査の結果歯が抜けた箇所の歯槽骨が吸収されてしまったことが分かった場合など、骨の厚みが足りないケースでは、インプラント体を埋め込む手術の前に3骨造成が必要となります。

さらに、歯周病が確認された場合はその治療期間が必要です。

検査の進み具合・予約の取りやすさ・人それぞれの歯や骨の状態などによっても変わってきますが、手術までに2~3ヶ月程度かかるケースもあると思っておきましょう。

手術が完了した後は、顎の骨にインプラント体が結合するまでの治癒期間が必要となります。

手術方法が1回法か2回法か・事前の治療が必要かどうかなどによっても異なりますが、治療が全て完了するまでには3ヶ月~半年程度はかかると思っておきましょう。

そして手術から1年くらいまでの間は、定期的なメンテナンスが必要です。そのためメンテナンスも含めると、トータルで1年程度かかるといえます。

インプラント治療の費用の目安

お金マーク

インプラントの治療では、基本的に公的保険が適用されません。そのため、治療費は比較的高額になると思っておきましょう。

ただし、先天的な場合や事故による欠損など、一部保険適用になるケースもあります。

インプラント治療にかかる費用は以下のようなものがあります。

  • 検査費用
  • 手術費用
  • 人工歯などの費用

手術そのものの費用だけではなく検査費用や人工歯などの費用もかかってくるため、事前に把握しておきましょう。

全ての費用をトータルすると、1本あたり300,000〜500,000円(税込)程度になることが多いでしょう。

インプラントの治療費用は上部構造の素材の違い・メーカーの違いなどにより異なるため、治療を受ける歯科医院で事前にトータルの金額の目安を確認しておく必要があります。

インプラント治療は、審美目的ではなく機能回復が目的であれば医療費控除の対象となります。

確定申告を行うことで治療費の一部が還付されるので、医療費を抑えたい方はぜひ確認してみてください。

申請できるのは治療費だけではなく、治療にかかった公共交通機関の費用・処方された薬の費用・市販の薬の費用なども対象となります。

医療費控除が受けられる条件は以下の通りです。

  • 1月1日~12月31日までの医療費が10万円を超える場合(上限200万円)
  • 総所得の5%を超える場合(総所得が200万円以下の場合)

こちらは、生計を共にする扶養家族の医療費も含む金額となります。

医療費控除を受けることで治療費が軽減されるので、ぜひチェックしてみてください。

まとめ

ビジネスウーマン

インプラント治療は、実際に手術が行われる前に検査や治療などが必要となります。そのため、日程に余裕をもって計画を立てるようにしましょう。

事前に流れを知っておけば、実際に手術を受ける際に慌てずに済みます。さらに、流れの中で疑問を持った点をスムーズに歯科医師に確認することが可能です。

また、手術後には食事や飲酒などに注意が必要です。思わぬトラブルが起こる可能性もあるため、手術後に行わないほうが良いことをあらかじめ把握しておきましょう。

飲酒や喫煙だけではなく、手術当日は運動や入浴など血行が良くなることも避けるように指示されることもあります。

不安な点がある場合は、インプラント手術後に避けた方が良いことを歯科医師に確認しておくと安心です。

事前に検査・流れ・手術後の過ごし方・費用を把握し、安心した気持ちでインプラント治療を受けましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
宮島 悠旗歯科医師(宮島悠旗ブライトオーソドンティクス)

宮島 悠旗歯科医師(宮島悠旗ブライトオーソドンティクス)

愛知学院大学歯学部卒業 / 東京歯科大学千葉病院にて臨床研修医終了 / 東北大学大学院歯学研究科口腔発育学口座顎口腔矯正学分野 助教 / 宮島悠旗ブライトオーソドンティクス起業 / 著書「国際人になりたければ英語力より歯を“磨け”-世界で活躍する人の『デンタルケア』-」(幻冬舎)出版 / 合同会社T&Y Connection設立 / ASIA GOLDEN STARAWARD(企業家賞)受賞 / 著書「歯並び美人で充実人生-幸せを呼ぶゴールデンスマイル-」(合同フォレスト)出版 / 株式会社オーティカインターナショナル認定講師 / 現在は宮島悠旗ブライトオーソドンティクス代表としてフリーランス矯正歯科医を行っている / 専門は矯正歯科(Invisalign®︎、小児矯正、Myobrace®︎、マルチブラケット、アンカースクリュー、PBMオルソ(光加速矯正装置))

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