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インプラントはやめたほうがいいといわれる理由は?インプラントをやめたほうがいい人の特徴やメリットも紹介

 公開日:2024/12/18

インプラントを勧められたことがある人は、インプラントについてネットで検索することもあるでしょう。

インプラントについてネットで検索すると「やめたほうがいい」というワードを見かけることがあります。そんなワードを見かけてしまうと、インプラントを埋め込むことが不安になってしまう人も多いはずです。

しかし、インプラントを埋め込むメリットもあるため一概にやめたほうがいいとは言い切れません。

そこで本記事では、インプラントはやめたほうがいいと言われる理由インプラントをやめたほうがいい人の特徴など詳しく解説します。

インプラントはやめたほうがいいといわれる理由は?

男性 歯科医師

インプラントはやめたほうがいいといわれる理由は主に次の5つです。

  • 麻酔を伴う外科手術
  • 歯や顎の骨を削ることもある
  • 感染症・アレルギーのリスクがある
  • 痛みがある
  • やり直しは難しい

ここではそれぞれの理由について詳しく解説します。

麻酔を伴う外科手術

歯医者 治療器具

インプラント治療は外科手術です。手術を行わずにインプラント治療を行うことはできません。手術では強い痛みを伴うため、インプラント治療を行う際にはまず始めに局所麻酔を行います。

中には手術は絶対に行いたくない、という人もいるでしょう。そのような人は、インプラント治療はやめたほうがいいといえます。

手術は誰しも不安を感じるものです。インプラント治療を行っている歯科医院の中でも手術の安全性には差があります。

インプラント治療において手術は必須です。少しでも安心してインプラント治療を行えるように、安全に手術を行う努力をしている歯科医院を探すとよいでしょう。

歯や顎の骨を削ることもある

インプラント治療では歯や顎の骨を削ることもあります。インプラント治療の方法はさまざまですが、骨の移植を行ったり骨造成手術を行ったりする場合があります。

骨の移植方法の1つである自分の骨を移植する自家骨移植では、自分の体の別の部位から骨を採取しなければなりません。骨を採取するには、骨を削る必要があります。

骨造成手術では、何らかの原因で少なくなった顎の骨を増やします。インプラント治療を行う上で、顎の骨の状態は非常に重要です。骨造成手術はさまざまな方法がありますが、顎の骨を削ることもあります。

インプラント治療を行う際には、歯科医師から手術内容について説明があります。説明を聞いても歯や顎の骨を削ることに不安が残る人はインプラントはやめたほうがいいかもしれません。

感染症・アレルギーのリスクがある

インプラントは感染症・アレルギーのリスクがあります。

インプラントの人工歯根にはチタンが使用されることが一般的です。元々の歯と比べると、粘膜との結合が弱く感染症のリスクがあります。インプラント周囲炎というインプラント特有の歯周病には特に注意が必要です。

インプラント周囲炎でよく表れるのはインプラントを埋め込んだ歯肉の腫れやインプラントがグラグラ動くといった症状です。放っておくとインプラント周囲炎が重症化し、インプラントがとれてしまうこともあります。

また、前述したようにインプラントの人工歯根にはチタンが使用されます。そのため、チタンアレルギーの人はインプラントをやめたほうがいいでしょう。

痛みがある

歯が痛む 

インプラント治療には痛みが伴います。インプラント治療の際には局所麻酔を行うと前述しましたが、麻酔が切れた時点で痛みが生じます。

インプラント治療後の痛みのピークは2~3日です。痛みの持続期間は長くとも1~2週間程度といわれています。

しかし時に1~2週間以上痛みが続くこともあります。この場合、何らかの異常が生じている可能性があるため歯科医師に相談しましょう。

痛みの程度は治療方法によって異なります。歯や顎の骨を削る場合は強い痛みを感じやすいです。

強い痛みを伴うこと、痛みが1週間程度続くことは辛いものです。これが、インプラントはやめたほうがいいと言われる理由でしょう

やり直しは難しい

インプラント治療はやり直しが難しい治療方法です。その理由はインプラントの構造にあります。

インプラントはインプラント体(人工歯根)、アバットメント(連結部分)、上部構造(人工歯)によって構造されます。アバットメントと上部構造が比較的容易に交換できるのに対し、インプラント体は交換が難しいです。

インプラント体に異常が生じた場合、インプラント体を撤去し新しいインプラント体を埋め込むのですが、容易にできないことがあります。

新しいインプラント体を埋め込む場合、より大きいサイズのインプラント体を埋め込んだり骨造成術を行ったりする必要があることもあるからです。

インプラント治療は容易にやり直すことができないため、治療を行うかは慎重に判断しなければなりません。

インプラントをやめたほうがいい人の特徴

まる ばつ 悩む

インプラントをやめたほうがいい人には次のような特徴があります。

  • 歯の治療にお金をかけたくない人
  • 重度の歯周病を抱えている人
  • 歯のメンテナンスができない人

このような人たちはインプラント治療にかかるお金がもったいないと感じたり、せっかく治療を行っても治療後の成績が不良であったりすることがあるからです。

ここでは、インプラントをやめたほうがいい人の特徴について詳しく解説します。

歯の治療のお金をかけたくない人

1つ目は歯の治療にお金をかけたくない人です。インプラント治療は保険適用外の治療です。そのため治療費は全額自己負担となります。

インプラント治療は1本の歯につき30~50万円(税込)という高額な治療費がかかります。時には何本か治療が必要なこともあるため、治療費はさらに高額となってしまいます。

失った歯を治療する方法はインプラントだけではありません。ブリッジや入れ歯といった方法もあります。この2つの方法はインプラントと比較すると安価で治療可能です。

中には、インプラント治療を受けたいけどそんなにお金がかけられないという人もいるでしょう。実は、インプラント治療は医療費控除の対象です。そのため、確定申告を行えば全額ではありませんがお金が戻ってくる場合もあります。

歯の治療にお金をかけたくない、確定申告を行うのも手間がかかって面倒だと感じる人にはインプラント治療は向いていないでしょう。

重度の歯周病を抱えている人

2つ目は重度の歯周病を抱えている人です。重度の歯周病は歯槽膿漏と呼ばれることもあります。

重度の歯周病を抱えている人は、治療後のインプラントの寿命が短いことが知られています。そのため、まずは歯周病の治療を行ってからインプラント治療を行うといいでしょう。

歯のメンテナンスができない人

歯ブラシ

3つ目は歯のメンテナンスができない人です。インプラントは「やり直しは難しい」の章で解説したようにやり直しが難しい治療方法です。そのため、インプラントを長持ちさせるために歯のメンテナンスを行う必要があります。

歯のメンテナンスでは定期的に歯科医院へ通うことはもちろん、毎日のホームケアも重要です。歯科医院での定期的なメンテナンスは3~6か月に1回程必要です。ホームケアでは取り切れない汚れを専用の道具を使用し掃除します。

毎日のホームケアでは歯磨きに加え、歯間ブラシ・デンタルフロス・タフトブラシなどを併用します。

歯のメンテナンスができないとインプラントの脱落に繋がるインプラント歯周病のリスクが高まるため、歯のメンテナンスができない人はインプラントをやめたほうがいいでしょう。

インプラントのメリット

食事する女性

インプラントはやめたほうがいいといわれることもありますが、インプラント治療を行うメリットも多くあります。主なメリットは次のとおりです。

  • しっかりと強く咬める
  • 食べ物をおいしく味わえる
  • 歯ごたえのある食べ物の食感を愉しめる
  • 取り外す面倒がない
  • 自分の歯にかかる負担を軽減できる
  • インプラントは虫歯にならない

インプラントの最大のメリットは義歯をしっかり固定できる点です。そのため、歯が抜けてしまった場合の他の治療法と比べて、咬み合わせがよくなったり歯ごたえのある食べ物も食べられたりします。

インプラント治療では、残っている歯を削ったり義歯を安定させるための装置を付けたりする必要がありません。そのため、自分の歯にかかる負担が軽減できます。

インプラント治療を不安に思う人もいるでしょう。しかし、このようなメリットもあるため不安だからと治療を断念せず、治療を行うか慎重に判断しましょう。

インプラントで失敗しないためのクリニックの選び方

インプラント 治療器具

インプラント治療を成功させるためには、クリニック選びが重要です。「やり直しは難しい」の章で述べたように、インプラント治療はやり直しが難しい治療方法です。

またインプラント治療は高額な治療であるため、もし失敗してしまったら金銭的にも精神的にもダメージが大きいです。

インプラント治療で失敗しないためにも、ここではクリニックの選び方について解説します。

インプラントの経験豊富な歯科医師がいる

インプラントの経験豊富な歯科医師がいるクリニックで治療を受けましょう。歯科医師免許を持っていれば誰でもインプラント治療を行えますが、実際にできるかどうかは別問題です。

経験豊富でより良い歯科医師を選ぶポイントは次のようなものがあります。

  • 丁寧な問診・カウンセリング
  • 治療についての徹底した事前説明
  • 定期的な研修会等への参加

インプラント治療に不安を感じる人は多いです。丁寧な問診・カウンセリングを行い、治療への不安を一緒に解消してくれる歯科医師が望ましいです。

また、治療について徹底した事前説明をしてくれる医師を選びましょう。説明の段階で歯科医師へ不信感を覚えた場合には、別の歯科医院への受診をおすすめします。

インプラント治療は先進的な医療の1つです。そのため、治療の知識や技術は日々更新されています。定期的に研修会へ参加している歯科医師は最善の治療を行ってくれる可能性が高いです。

インプラント治療の実績は歯科医院のホームページで確認できます。受診する前に、確認しておくといいでしょう。

歯科用CTを導入している

インプラント治療は歯科用CTを導入しているクリニックで行うことが望ましいです。

インプラント治療は、限られた僅かなスペースに1cm程の人工歯根を埋め込む非常に繊細な治療です。埋め込む位置がずれてしまうと血管や神経を傷つけてしまい、大きなトラブルになることもあります。

歯科用CTでは顎の骨の詳細な情報が得られるため、傷つけてはいけない血管や神経の位置を正確に把握できます。

インプラント治療後の大きなトラブルを回避するためにも、歯科用CTを導入しているクリニックで治療を行いましょう。

衛生管理が適切である

歯科衛生士

適切な衛生管理がされているクリニックでインプラント治療を行いましょう。インプラント治療では血液感染・飛沫感染・空気感染のリスクがあります。

血液感染とは血液を介して感染症が感染することです。インプラント治療では歯肉を切開するため必ず出血が伴うため、治療で使用した器具には血液が付着しています。これらを適切な処置を行わず、使い回すと血液感染を引き起こす原因になるのです。

飛沫感染とは、くしゃみなどの飛沫を吸い込むことで感染症に感染することです。インプラント治療の飛沫感染防止には口腔外バキュームが効果的とされています。飛沫感染を防ぐためにどのような対策を行っているか確認するといいでしょう。

空気感染とは、空気中に放たれた粒子を吸うことで感染症に感染することです。エアクリーナーを使用したり空気を入れ替えたりすることが対策になります。

インプラント治療は以上のような感染リスクがあるため、衛生管理が徹底されていることが非常に重要です。

クリニックがどのような感染対策を行っているか確認しましょう。

インプラントはポイントを押さえれば失敗しない

女性 まる

インプラントはポイントを抑えれば失敗する可能性は低くなります。

インプラント治療は外科手術であるため不安を感じるのも無理はないです。しかし、漠然とした不安は必要以上にリスクを大きく感じさせる原因になります。

インプラント治療は経験豊富な歯科医師がいる歯科用CTを導入している適切な衛生管理を行っている、この3つのポイントを抑えてクリニックを探せば失敗する可能性は低くなるでしょう。

クリニックを受診したら必ずインプラント治療を受けなければならないわけではありません。一度、歯科医師の話を聞いてみてインプラント治療に対する不安を少しでも取り除くことをおすすめします。

まとめ

医師 まとめ

インプラントはやめた方がいいといわれる理由について解説しました。主な理由は次の5つです。

  • 麻酔を伴う外科手術
  • 歯や顎の骨を削ることもある
  • 感染症・アレルギーのリスクがある
  • 痛みがある
  • やり直しは難しい

外科手術は誰しも不安に感じることでしょう。そのため、不安が不安を呼びどんどんインプラント治療のイメージが悪くなっていったのかもしれません。

ですが、インプラント治療はポイントを抑えれば治療に失敗する可能性は低くなります

また、以下のような全身疾患がある方は注意が必要です。

  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 心身症
  • 脳血管
  • 甲状腺

免疫力の低下により歯周病のリスクがあったり、血液をさらさらにする薬を飲んでいる場合はインプラントの手術中に血が止まりにくくなったりします。

インプラント治療を始める前に担当医と相談するようにしましょう。

インプラント治療はさまざまなメリットがある治療方法の1つです。不安だけを理由に治療を断念せず、一度歯科医院を受診してみてはいかがでしょうか。

本記事が、少しでもお役に立てば幸いです。

参考文献

この記事の監修歯科医師
柴原 孝彦歯科医師(東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)

柴原 孝彦歯科医師(東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)

1979年東京歯科大学卒業、2004年東京歯科大学主任教授、2012年東京歯科大学市川総合病院口腔がんセンター長、2020年東京歯科大学名誉教授

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