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インプラント治療の医療費控除の申請方法は?必要なものや申請期限ついても解説

 公開日:2024/12/12

インプラント治療は基本的に保険適用外のため、高額な費用がかかりやすい傾向にあります。そのため、なかなか一歩を踏み出せない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そのような方にぜひ知っていただきたいのが、インプラント治療が医療費控除の対象になることです。

医療費控除とは、自分や扶養家族の医療費が一定の金額を超えた場合に、その超過分が所得から控除される制度です。

所得税の節税につながるため、結果的に費用負担を軽減できるようになる嬉しい制度です。

本記事では、インプラント治療の医療費控除について解説します。申請方法・必要なもの・計算方法などを一挙ご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

インプラント治療の医療費控除の申請方法は?

書く

医療費控除の対象となるインプラント治療ですが、申請をしなければ控除は受けられません。インプラント治療の医療費控除を申請するには、以下の手順を踏んでください。

  • 必要書類を用意する
  • 確定申告書を準備する
  • 必要事項を記入する
  • 提出する

簡単ではありますが、医療費控除の申請方法は以上の4ステップで完了です。

それぞれに必要な書類や医療費の計算方法などは、これから説明するので順に進めていきましょう。

なお、医療費控除は確定申告で申請する必要があるため、提出期限は確定申告期間中の3月15日までとなります。早め早めに準備することを心がけましょう。

医療費控除申請に必要なもの

電卓

確定申告にて医療費控除を申請するにあたり、まずは必要書類を用意しなければなりません。

書類がなければ再発行の手続きを取る必要性も生じるため、余裕を持って取り掛かるようにしてください。

申請に必要なものは以下の通りです。

  • 確定申告書AまたはB
  • 源泉徴収票
  • 医療費控除の明細書
  • 医療費のお知らせ(医療費通知)
  • マイナンバー
  • 還付金の振込先口座(申告者本人名義)
  • 印鑑

それぞれ確認していきましょう。

確定申告書AまたはB

インプラント治療の医療費控除を受けるためには、確定申告書AまたはBを提出する必要があります。

確定申告書Aは給与所得者が申告する用紙であり、確定申告書Bは事業所得者や不動産所得者が申告する用紙です。

どちらの用紙であっても医療費の控除を受けられるので、他に申告する事項があればそちらに合わせて確定申告書AまたはBをご用意ください。

なお、確定申告書は国税庁の公式サイトからダウンロードまたは税務署で入手していただくことで用意できます。

後述にて説明しますが、e-Taxをご利用の場合は申告書を用意せずとも、サイトへログインしていただくだけで申請が可能です。ご自身の事情に合わせて選択しましょう。

インプラントの医療費控除が適用されるには、以下の条件を満たしていなければなりません。

  • 1年間の医療費が10万円を超える(扶養者を含む)
  • 総所得金額が200万円未満の場合は、医療費がその5%を超える場合
  • 1月1日〜12月31日までに実際に支払った医療費である

インプラントの医療費控除申請においてポイントとなるのが、インプラントの医療費だけでなく、他の治療にかかった医療費や扶養者の医療費も含める必要があることです。

確定申告書に記入する際には十分に注意してください。

源泉徴収票

給料袋

源泉徴収票とは、給与に関する様々な情報が載った書類です。様々な控除を取り除いた「所得金額」を確認するのに役立ちます。

2020年度から確定申告書に源泉徴収票を添付する必要はなくなりましたが、確定申告書に記入する際の情報として必要なため用意してください。

医療費控除の明細書

説明
医療費控除の明細書は、国税庁のHPからダウンロードすることが可能です。PDF形式・Exel形式で選択できるので、お好みのものを選びましょう。

基本的には明細書に必要事項が記載してあるので、指示に従って記入するだけで十分ですが、以下の情報を含むように気をつけてください。

  • 医療機関の名称
  • 1つの病院にて支払った合計金額
  • 通院にかかった交通費などの金額
  • 医療費通知に記載された医療費の金額

詳しい記載方法については掲載されているので、参考にしながら進めましょう。

医療費のお知らせ(医療費通知)

医療費通知とは、加入している健康保険組合から送付される書類のことです。基本的に1月から2月にかけて送付されるので、確定申告まで紛失しないように保管してください。

医療費通知があれば、医療費控除の明細書作成にかかる手間を大幅に削減できるようになります。

確定申告書に添付することで、医療費控除の明細書には「医療費通知に記載された事項」を記載するだけで済むのです。

1つ1つ領収書を確認して記入する必要がなくなるため、準備しておくことをおすすめします。

ただ、確定申告書に添付できる医療費通知には以下の項目が必須です。

  • 医療機関名
  • 被保険者の氏名
  • 受診日
  • 合計金額
  • 保険者の名称

これらの項目がなければ無効になるので注意してください。

なお、医療費通知は紛失してしまっても再発行はできません。その場合は、領収書を基に医療費控除の明細書へ記入するようにしましょう。

マイナンバー

マイナンバー

確定申告書にはマイナンバーの記載が、本人確認として必要です。特にe-Taxを利用する場合には、電子証明書としてマイナンバーカードが必須なので用意しましょう。

マイナポータルと連携することで医療費を自動で反映してくれる機能もあるため、活用しながら確定申告を進めてください。

還付金の振込先口座(申告者本人名義)

医療費控除で返ってくる還付金は、確定申告書に記載した口座に振り込まれます。申告者本人の名義である口座情報を準備しておきましょう。

金融機関名・口座番号・支店番号・口座名義人名はいつでも確認できるよう控えを持っておくことをおすすめします。

印鑑

印鑑を押す人

確定申告書を税務署に提出するのであれば、印鑑を用意しなければなりません。

ただの印鑑ではなく、実印の必要があるため注意してください。実印とは、印鑑証明書に使用した印鑑のことです。

確定申告書は公的な申請書のため、実印を用意しましょう。

インプラント治療の医療費控除の申請期限は?

自然由来の電卓

インプラント治療の医療費控除は、確定申告書に記入して申告します。そのため、期限は通常の確定申告の期限と同じです。

通常の確定申告の期限は翌年の3月15日まで

インプラント治療の医療費控除の申請期限は、通常の確定申告の期限と同じく、翌年の3月15日までです。

例えば2021年1月〜12月分の医療費控除を受ける場合、申請期限は2022年の3月15日までとなります。

申請には医療費の明細書や領収書などの多くの書類が必要になるため、早めに用意を進めておくようにしましょう。

また、申請開始は2/16からですが、e-Taxの場合は1月から申請を開始できるようになっています。早めに準備しておきたい方は、先にe-Taxで済ませておくのもおすすめです。

還付申告は翌年1月1日から5年間可能

医療費控除は、その年の確定申告で申告するのが基本です。しかし、忘れてしまう方もなかにはいらっしゃるでしょう。

もし申請を忘れてしまっても、「5年間の猶予」があるためご安心ください。

過去5年分までは還付金を受けられるため、その年に申請できなかった場合でも忘れずに次の年に申告しましょう。

そのため、領収書や明細書等は自宅にて5年間は保存しておくことをおすすめします。

インプラント治療の医療費控除の提出方法は?

インプラント

インプラント治療でかかった費用の医療費控除を受けるためには、確定申告書を提出する必要があります。

確定申告書の提出方法は、紙で税務署へ提出するかインターネットで送信するかの2択です。

確定申告書と一緒に管轄の税務署に持参または郵送する

必要書類が揃い、確定申告書の作成も完了しているのであれば、管轄の税務署に持参もしくは郵送して提出しましょう。

ご自身の管轄の税務署がどちらになるのかは、事前に調べておくとスムーズです。

e-Taxを利用してインターネットで提出する

税務署までわざわざ出向かなくても、e-Taxを利用するとインターネットで提出が完了します。

e-Taxで申請する場合、紙で提出するよりも早い時期から提出できるようになるため、早めに済ませておきたい方にはおすすめです。

また、マイナンバーカードのアプリであるマイナポータルと連携すると、必要事項を自動で入力してくれる機能も活用できます。

手間を削減できるので、活用してみることをおすすめします。

インプラントの医療費控除で戻る還付金はいくらくらい?

税金

インプラントの医療費控除で戻ってくる還付金を計算するには、まず申請する医療費の合計額を明確にしなければなりません。

控除される医療費の種類には以下のような項目が挙げられます。

  • 医療費として支払った代金(クレジット払い含む)
  • 公共交通機関を使った通院時の交通費
  • 公共交通機関を使えなかった場合のタクシー代(領収書が必要)
  • 処方された薬の代金(クレジット払い含む)
  • デンタルローン

交通費やタクシー代については、領収書がなくても申請可能です。金額と日付についてはメモしておくことをおすすめします。

付き添いで通院した場合には、付き添い人の交通費も申請できるので押さえておきましょう。

なお、公共交通機関以外で通院した場合は対象外になるので注意してください。

例えば、所有されている自動車で通院した場合には、ガソリン代・高速代・駐車場代などは対象になりません。

高額な歯科治療向けにデンタルローンがありますが、デンタルローンでインプラントの利用費を支払った場合にも医療費控除を受けられます。

デンタルローンは領収書が発行されないことが多いため、契約書などの金額がわかる控えを用意しておくと安心です。

控除の対象になる医療費の種類について理解できたところで、控除額の計算方法について確認しましょう。

医療費控除額の対象額は、以下の計算式で算出できます。

医療費控除対象額=医療費の合計金額ー保険金で補填される金額ー10万円

保険金については、加入されている生命保険によって支払われない場合もあるため、別途確認してください。

要件を満たしていれば、インプラント治療でも保険金が支払われることがあります。

年収が200万円未満の場合は、以下の計算式で算出できます。
医療費控除対象額=医療費の合計金額ー保険金で補填される金額ー総所得金額の5%

なお、どちらの場合においても上限金額200万円を超える分は控除されませんのでご注意ください。

では、実際の控除額(還付金)はどれくらいになるのでしょうか。こちらは申請者の所得によって変わってきます。

控除額は以下の計算式で算出できます。

控除額=医療費控除対象額×所得税率

所得とは様々な控除を取り除いた課税所得のことです。例えば課税所得が400万円の場合は、所得税率は20%になります。

また、医療費控除を申請すると所得税だけ出なく住民税においても優遇措置を受けられます。住民税の還付金は、所得に関係なく医療費控除対象額の10%分です。

それでは実際に計算してみましょう。年収500万円・インプラント治療を含めた医療費の合計額は100万円・保険金による補填は0円だとして計算してみます。

年収500万円の場合の所得税率は20%なので、そちらも事前に押さえておきます。

まず、医療費控除対象額を計算していきましょう。

医療費控除対象額=医療費の合計金額ー保険金で補填される金額ー10万円
医療費控除対象額=100万円ー0円ー10万円=90万円

上記の計算式から、医療費控除対象額は90万円であることが判明しました。次に、実際に返ってくる金額(控除額)を計算してみます。

控除額=医療費控除対象額×所得税率
控除額=90万円×20%=18万円

つまり、所得税においては18万円が還付されることがわかりました。
最後に、減額される住民税について確認しましょう。

住民税の還付金は医療費控除対象額90万円の10%なので、9万円が減額されることになります。

つまり、100万円の医療費に対し、合計して27万円分の負担が軽減されるのです。医療費控除を申請すると、かなり優遇されることがわかります。

確定申告書を提出する手間はかかりますが、これだけの優遇措置を受けられるのでぜひ皆さんにも進んで検討していただきたい手続きです。

インプラントの治療は特に高額になりやすいため、還付金の金額も多くなります。ぜひ医療費控除の制度を活用して負担を軽減しましょう。

まとめ

家族

インプラント治療には医療保険が適用されないため、全額自費負担になります。費用も高額になりやすいですが、医療費控除を申請すれば負担を軽減できます。

医療費にはインプラント治療だけでなく、生計をともにした家族の分の他の医療費も含まれるため、かなりの負担軽減につながるはずです。

上限額200万円までであれば控除を受けられるため、上手に活用しましょう。

なお、医療費控除を申請するためには確定申告書の提出が必要です。毎年3月15日が期限となっているため、忘れずに申告するように注意してください。

参考文献

参考サイト

この記事の監修歯科医師
柴原 孝彦歯科医師(東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)

柴原 孝彦歯科医師(東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)

1979年東京歯科大学卒業、2004年東京歯科大学主任教授、2012年東京歯科大学市川総合病院口腔がんセンター長、2020年東京歯科大学名誉教授

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